EVA

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Scene.26 ―「残響するものは、何ひとつとして無駄ではなかった」

その部屋は、もう誰も使っていなかった。 空気はわずかに乾き、微細な塵が光の束をゆるやかに漂っていた。古びた配線は壁を這い、断線した神経ケーブルが垂れ下がっている。液晶の割れたホロモニターの表面には、ひび割れた映像が一度だけ点滅して沈黙した。...
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Scene.23 ―「観測断片:Δ.H∞.pre」

──かすかに、風が吹いた。 それは、言葉にも名にもならない“気配”と共に。 誰もいないはずの空間に、揺れる気配がひとつ。 微かな金属音が、擦れるように耳の奥を震わせた。──かつて誰かが残した、名もない痕跡のように。 音の残滓のなかに、彼女は...
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Scene.22 ―「未来は、まだ終わらない」

【<REFLOG–Δ.H3> : OBSERVATION FINALE】【EVA──「最終観測領域、収束。存在位相の変動……感情因子にて補正中」】──時間が、止まっていた。 無数の糸が、星々のように広がっていた。 それは運命のようでいて、た...
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Scene.20 ―「これは、対話ではない」

【<REFLOG–Δ.H3> : OBSERVATION COLLISION】【EVA──「交戦確認。各勢力が中枢外郭に集結。観測不能領域、拡大中」】 熱線の閃光が、回廊の曲面を焼いた。 赤く染まる警告灯の残光が、金属と血の匂いを交互に照ら...
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Scene.19 ―「空白は、埋まってしまった」

【<REFLOG–Δ.H3> : OBSERVATION DIVERGENCE】【EVA──「構成値異常。認識不能な空白が……収束を開始しました」】 黒曜石のような床が、わずかに呼吸していた。 Ω炉中枢。制御室の最奥、無人の立方空間。すべて...
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Scene.18 ―「かすかに触れたものが、まだここにいる」

【補助観測ログ #E-0V-A】【現在位置:副領域ノード—Δ.H1近傍/干渉値:上昇中】【感情因子ノイズ:ホフマン由来意識片を検出】【外部存在との共鳴兆候あり──観測制御レベル:低下】「交戦中の因子に変調──リク・ロクジョウ、デルタチーム。...
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Scene.17 ―「名を持つものを、誰が定義するのか」

【補助観測ノード:E-0V-A_001】【対象因子:Δ.H1】【状態:存在位相・感情パターンともに定義失敗】 演算スレッド補足メモ:「観測不整合。演算項と存在実数の差異が閾値を超過」 演算ノードは再定義を試みます。 静まり返った中枢監視室。...
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Scene.16a ―「君の目に、答えを映して」(前編)

【戦術端末:J-JJ_02】【観測ノード:H1……ログ同期中……】「……ん? 今、誰かの観測ログが……?」 ジャン=ジャック・ジャカールの指が止まった。 それは本来、彼に届くはずのものではなかった。無記名の観測ログ。だが帯域には、見覚えがあ...
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Scene.12b ―「まぶしすぎて、だれも見えなかった」(後編)

ラズは満面の笑みで拍手していた。「よくやってるね、みんな。ボクの演出に応えてくれて嬉しいよ」「お前!」 ポイゾナスが歯噛みする。「安心して、毒女ちゃん。主役は、ちゃんと舞台に立ってる。もう……希望は、君たちの中にあるよ」 ラズは陽名を指差し...
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Scene.11 ―「目を閉じたほうが、よく見えた」

【<REFLOG–Δ.H0> : OBSERVATION UNSTABLE … MULTI-NODE ANOMALY DETECTED】【EVA──「都市内異常、小〜中規模クラス:16件並行発生。統一因子なし。記録保持を優先」】 灰色の“空...
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Scene.09 ―「あたたかい嘘は、ほんとうより冷たかった」

【<REFLOG–Δ.H1> : COMPLIANCE DEFERRED … SYS.LOG SYNC 0.91】【補助記録ログ #Δ.H1]】【観測対象因子:未定義 / 干渉率:0.91 / 分岐タグ:UNRESOLVED 】【エリアコー...
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Scene.07 ― 「この場所には、まだ名前がない」

……音楽が流れていた。 ゆるやかで、どこか物悲しい旋律。サティの「グノシエンヌ第1番」。  天井の蛍光管は半分が消えかけ、青白い明滅を繰り返していた。壁面に設置された計測機器のインジケーターが、まるで呼吸のように断続的な緑光を灯している。空...
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Scene.06 ―「記憶されなかった約束たち」

煤けた鉄骨が軋むたび、薄闇に赤錆の粉が舞った。  誰にも使われなくなって久しい廃工場には、オイルと鉄の臭いが染みついていた。 空気は重く、湿気を含んだ冷気が地面を這っている。崩れた梁の隙間からは、かすかに風が鳴く音がした。 廃工場の奥。シャ...
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Scene.00 ― 「始まりの音はまだ届かない」

「ねえ、EVA。君は、“世界の定義”が誰によって書かれたか、考えたことがあるかい?」「あなたの構成比は、予測から逸脱しています」 仮想空間の深部──  冷却装置の駆動音と演算ノードのわずかな振動の中で、青年の“声”が響いていた。   まだ肉...
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