【ターミネーター：ニュー・フェイト】MY-289

作品データ

あらすじ

メキシコ・シティの自動車工場で働く21歳の女性ダニーは、未来からやって来たターミネーター“REV-9”の襲撃を受けてしまう。
絶体絶命の窮地に強化型兵士のグレースが送り込まれ、更に伝説の女戦士サラ・コナーが駆けつけてREV-9を撃退する。
ダニーの命には人類の未来がかかっているとグレースに言われ、三人の前に旧型ターミネーターの“T-800”が姿を現すのだった。

登場人物＆出演者

・ダニー/ダニエラ・ラモス（演：ナタリア・レイエス）

代表作に『夏の鳥』、『ピックポケッツ/巧妙なごまかしゲーム』などがあります。

自動車工場で働く21歳の女性。未来から来たグレースに守られ、ターミネーターに追われる。

父親と弟がレヴ・ナインに殺害され、状況が分からないままグレースとサラに助けられる。
サラを導いているカールの元に行くと、レヴ・ナインを迎え撃つ作戦に囮として覚悟する。
近い未来ではリージョンが人類を滅ぼそうとして、抵抗軍を率いるリーダーになると知った。
最後はグレースの動力源を使ってレヴ・ナインを攻撃し、T-800の助けで破壊に成功した。

・グレース（演：マッケンジー・デイヴィス）

代表作に『オデッセイ』、『ブレードランナー2049』などがあります。

未来からやって来た強化型兵士。瞬発力に特化し、短い時間だけターミネーターと戦える。

未来では司令官を守って重傷を負うが、強化型兵士に志願してダニエラを守る為に来た。
レヴ・ナインの追撃と活動限界に達するが、サラの助けでピンチを凌いで一緒に行動する。
サラの提案する囮作戦に反対したが、ダニエラの賛同で仕方なくレヴ・ナインを迎撃をした。
最後は自らの動力源をダニエラに使わせるように説得し、レヴ・ナインの破壊に成功させた。

・サラ・コナー（演：リンダ・ハミルトン）

近年の出演作に『タイムトラベラー』、『バトル・オブ・バミューダトライアングル』などがあります。

伝説の女戦士。アメリカ全土で指名手配されている。ターミネーターにより息子を殺された。

それ以降、カールから送られるメールに従って出現するターミネーター狩りをしてきた。
ダニエラたちのピンチに駆けつけるが、当初はグレースと衝突するも次第に信頼する事に。
ジョンを殺したカールに怒りを持っていたが、ダニエラの説得で一緒に行動していく。
最後はレヴ・ナインを道連れにしたカールを見届け、ダニエラとともに旅へ出る事となる。

・T-800/カール（演：アーノルド・シュワルツェネッガー）

近年の出演作に『キリング・ガンサー』、『アフターマス』などがあります。

旧型のターミネーター。逃亡生活していたサラたちを見つけ、ジョンをあっさり殺害した。

任務がなくなってさまよっていると、DV夫に悩んでいた妻子を助けて一緒に暮らしていた。
20年に渡って助けた妻子の夫として目的を持ち、カーテン屋のカールという人間になる。
サラにターミネーターの情報を送っていたが、実際に会うとジョンを殺した事実を悔いる。
最後はサラたちとの共闘でしつこく追うレヴ・ナインを自己犠牲によって破壊させた。

・ジョン・コナー（演：エドワード・ファーロング）

近年の出演作に『ウォールストリート・ダウン』、『ギャング・イン・L.A.』などがあります。

サラの息子。未来からやって来た兵士のカイルが父親。人類抵抗軍の指揮官となる存在。

母親のサラとスカイネットが人類を滅ぼす未来を阻止し、ターミネーターから逃亡していた。
最後は油断していたところでT-800に見つかり、サラの前で無惨にも銃殺されてしまう。

・REV-9/レヴ・ナイン（演：ガブリエル・ルナ）

代表作に『バーニー/みんなが愛した殺人者』、『ザ・ボーダーライン/合衆国国境警備隊』などがあります。

未来からリージョンが送り出した別種のターミネーター。内骨格と液体金属の組み合わせ。

内骨格と液体金属が分離して個別に行動を可能にするが、その際には戦闘力がダウンする。
液体金属が硬化して両手をブレード状にしたり、様々なデータにアクセスする媒体となる。
ずっとダニエラを追撃するも、グレース、サラ、T-800の邪魔に遭って何度も逃してしまう。
最後はグレース、サラ、T-800による連係と、覚醒したダニエラによって破壊された。

感想

［個人的な評価］

本作は『ターミネーター』シリーズ生誕35周年記念作品として、1991年公開の『ターミネーター2』の正統な続編となります。
これまで何本も『ターミネーター2』の続編として作られてきましたが、本作では原作者のジェームズ・キャメロンが製作として正式に参加しています。
何度も焼き直されたシリーズの3作目ですが、本作は残念ながら「ポリティカル・コレクトネス」の犠牲になりました。
通称「ポリコレ」は近年のハリウッドで急速に取り入れられた結果、あまりにも不自然で歪なキャストを生み出して作品の良さを台無しにしています。
まず、物語の中心人物であるダニエラが女性という点の配慮、次に白人だけじゃなく、ラテン系という点の配慮により求められている水準をクリアしています。
しかし、これに対する必然性がまったく感じられないし、ダニエラが将来残った人類を率いて機械を倒すほどの説得力がありません。
サラ・コナーが強い女性になったのは積み重ねがあるからであって、本作におけるダニエラが同じ運命をたどっても同じようにはならないと感じた。
ただ、危惧していたグレースという強化型兵士のキャラクターは意外にも良くて、終始に渡るダニエラを守るという一貫した目的を最後までやったのは素晴らしい。
悪役となるレヴ・ナインもポリコレの影響で白人じゃなくなって、なぜかダニエラたち意外とはフレンドリーな口調にされている。
T-1000は容姿を人間に化ける事ができても、中身は感情のない機械だとすぐに分かり、それがキャラクターの魅力に繋がっていると思います。
レヴ・ナインに人間みたいなユーモアを与えたのは過ちで、差別化を図ろうとしたけど、残念あがら完全に裏目に出ていると感じました。
そして、正統な続編として宣伝される要因となるサラ・コナー役のリンダ・ハミルトンと、T-800役のアーノルド・シュワルツェネッガーは期待を見事に裏切ってくれました。
サラ・コナーはリンダ・ハミルトンが演じる事で期待しましたが、冒頭でジョンが簡単に殺されてしまい、ダニエラたちと合流した理由もまた軽すぎた。
確かに女戦士としての強さはあるかもしれないが、相手がターミネーターや強化型兵士では単なる足手まといになっていました。
T-800がジョンを殺してから、家族を持ったカールという人間として暮らす設定にムリがありすぎてギャグかと思いました。
以前のターミネーターと違って、単なる気のいい爺さんになってしまい、そのせいでアクションから伝わる迫力が失せてしまいました。
どうしても本作は『ターミネーター2』がベースになっているせいで、同じような事を繰り返しているようにしか見えなかった。
しかも、過去になかった事にされた作品から良い要素だけを摘み取って、寄せ集めにした点でも目新しさがなかった。
このシリーズはコアなファンが多いせいでサービスをしているだろうけど、これはシリーズを鑑賞した事ない人の方が楽しめるかもしれない。
それぐらい過去作と似たような展開や設定が多く、その時点で上回るワケがなく、サラやT-800のムダ使いにも感じられてしまう。
まだ「3」や「ジェニシス」の方が新たな事をやろうとしているし、期待感を得られたが、本作は残念ながらそのような気持ちよりも矛盾の方が気になりました。
もう「正統な続編」という言葉は通じないし、今後は続編にしても、リブートにしても、シリーズとして終わったと感じさせる作品となりました。