▼オリジナル小説

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Scene.06 -「記憶されなかった約束たち」

煤けた鉄骨が軋むたび、薄闇に赤錆の粉が舞った。  誰にも使われなくなって久しい廃工場には、オイルと鉄の臭いが染みついていた。空気は重く、湿気を含んだ冷気が地面を這っている。崩れた梁の隙間からは、かすかに風が鳴く音がした。 廃工場の奥。シャッ...
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Scene.05 -「星のない空が見ていた」

廃棄された駅ホームに、三つの黒い影が降り立った。 金属の匂いが、鼻の奥にひっかかる。地下の空気は重く、天井を流れるパイプの継ぎ目から滴る水音が、ひときわ静かな空間に溶けていた。非常灯の冷たい白色が、コンクリートの柱を切り裂くように照らし出す...
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Scene.04 -「火は名前を知らない」

夜が明けきらぬ[トーキョー・シティ]第21区。 かつて物流の拠点として栄えた地下倉庫は、今や瓦礫と沈黙に埋もれた空洞と化していた。空気は乾いているのに、微かにカビのような鉄の匂いが漂っていた。遠くで軋む機械音が響いている──だが、それすらも...
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Scene 03 -「正しさだけが歩いている」

ガンマチームが第4衛星ドーム[カナメ]に到着したのは、薄曇りの朝だった。 メインドームから隔たれたその支部都市は、半球型のアクリル天蓋を通して仄かに陽光を受け止めていた。 静まり返った連絡地下道を抜けた先に、[統律特命局]第4方面支部の重厚...
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Scene.02 -「この街に、涙の匂いがした」

夜の都市、[トーキョー・シティ]第14街区。 そこは、もはや“街”と呼ぶには、あまりにひび割れていた。崩れた舗装路の断面からは、赤錆びた配管がむき出しとなり、倒壊寸前の高層棟が月面のクレーターのような影を落とす。 非常灯に強制切替された街路...
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Scene.01 -「砕けた命の形」

「……で? また“調査任務”ってやつか?」 リョウが、後部座席でポテチの袋をあさりながらぼやいた。黒いスーツ、黒いネクタイに白いシャツを着た大柄で筋肉質な東洋系の男性で、特注の黒いチタン製サングラスをかけている。 黒スーツの襟元には、スナッ...
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Scene.00 -「始まりの音はまだ届かない」

「ねえ、EVA。君は、“世界の定義”が誰によって書かれたか、考えたことがあるかい?」「あなたの構成比は、予測から逸脱しています」 仮想空間の深部──  冷却装置の駆動音と演算ノードのわずかな振動の中で、青年の“声”が響いていた。   まだ肉...
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