リク・ロクジョウ

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クロス・ログ:スモークスクリーン

終章 Scene.04 -「煙幕背影」

――管制室。 暗い空間に、機械の律動が細く響いていた。 無数のモニターは黒い鏡のまま沈黙し、排熱だけがわずかに空気を震わせている。 空調の低い唸りに混じり、小さな羽音が壁際をすり抜けた。 それは虫の音にすぎないはずなのに、耳の奥で機械仕掛け...
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Scene.25 -「未来という名の、まぼろしだった」

──風が、通りすぎた。 ……その風は、もはや熱も匂いも、誰にも届けようとはしていなかった。  乾いた瓦礫の上をなぞるように、細かく砕けた粒子を巻き上げては、ただ世界の記憶を遠ざけていく。──何もかもが過ぎ去ったあとの空気だった。 崩れかけた...
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Scene.23 -「観測断片:Δ.H∞.pre」

──かすかに、風が吹いた。 それは、言葉にも名にもならない“気配”と共に。 誰もいないはずの空間に、揺れる気配がひとつ。 微かな金属音が、擦れるように耳の奥を震わせた。──かつて誰かが残した、名もない痕跡のように。 音の残滓のなかに、彼女は...
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Scene.21 -「君は、まだ選んでいない」

火花が弾け、床を砕いた拳が空気を裂く。 リク・ロクジョウの動きは、まるで光そのものだった。 かつて“全盛”と謳われた男。だが今、その彼自身すらも超えていた。 放たれる銃弾の精度、義手から繰り出される衝撃、そして《ゼロポイント》を軸にした冷徹...
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Scene.20 -「これは、対話ではない」

【<REFLOG–Δ.H3> : OBSERVATION COLLISION】【EVA──「交戦確認。各勢力が中枢外郭に集結。観測不能領域、拡大中」】 熱線の閃光が、回廊の曲面を焼いた。 赤く染まる警告灯の残光が、金属と血の匂いを交互に照ら...
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Scene.18 -「かすかに触れたものが、まだここにいる」

【補助観測ログ #E-0V-A】【現在位置:副領域ノード—Δ.H1近傍/干渉値:上昇中】【感情因子ノイズ:ホフマン由来意識片を検出】【外部存在との共鳴兆候あり──観測制御レベル:低下】「交戦中の因子に変調──リク・ロクジョウ、デルタチーム。...
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Scene.17 -「名を持つものを、誰が定義するのか」

【補助観測ノード:E-0V-A_001】【対象因子:Δ.H1】【状態:存在位相・感情パターンともに定義失敗】 演算スレッド補足メモ:「観測不整合。演算項と存在実数の差異が閾値を超過」 演算ノードは再定義を試みます。 静まり返った中枢監視室。...
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Scene.13 -「風だけが、通りすぎていった」

<REFLOG–Δ.H1> : OBSERVATION INSTABLE … SIGNAL NOISE DETECTED】【EVA──「戦闘領域において未知因子の干渉。映像ログ一部に乱れ発生。記録継続」】 焦げついた空気が、地下の空間に重く...
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Scene.12b -「まぶしすぎて、だれも見えなかった」(後編)

ラズは満面の笑みで拍手していた。「よくやってるね、みんな。ボクの演出に応えてくれて嬉しいよ」「お前!」 ポイゾナスが歯噛みする。「安心して、毒女ちゃん。主役は、ちゃんと舞台に立ってる。もう……希望は、君たちの中にあるよ」 ラズは陽名を指差し...
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Scene.10 -「ふれたとき、それはまだ動いていなかった」

【<REFLOG–Δ.H0> : OBSERVE MODE / TEXT-ONLY】【EVA──「通信接続。対象:リク・ロクジョウ。感情変動値 0.42 ― 安定域外」】 灰色の夕凪が、廃ドーム都市をゆっくりと撫でていた。空はどこまでも鈍色...
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Scene.06 -「記憶されなかった約束たち」

煤けた鉄骨が軋むたび、薄闇に赤錆の粉が舞った。  誰にも使われなくなって久しい廃工場には、オイルと鉄の臭いが染みついていた。空気は重く、湿気を含んだ冷気が地面を這っている。崩れた梁の隙間からは、かすかに風が鳴く音がした。 廃工場の奥。シャッ...
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