作品データ
あらすじ
広告代理店に勤める新田康介は今や忘れ去られたコンテンツである「妖怪人間ベム」の特集の為、後輩の篠原弘樹と渋々訪れた廃墟で偶然にも幻の最終回を目にする。
同じ頃、ある一人の少女である「妖怪人間ベム」の登場キャラクターであるベラが現れ、転校先の高校で同級生の牧野沙織が興味を示して声をかける。
「妖怪人間ベム」の幻の最終回を目撃して以降、執拗にベラを追うようになった康介は、妻の鮎美や息子の陽太との関係が不穏になっていくのだった。
登場人物&出演者
・新田康介(演:森崎ウィン)
代表作に『蜜蜂と遠雷』、『レディ・プレイヤー1』などがあります。
主人公。広告代理店に勤めている。50周年を迎えた「妖怪人間ベム」の特集でアニメをずっと見ていた。
不満を持つ篠原と違って淡々とこなしていたが、幻の最終回でベラのセリフに取り憑かれる。
脚本家が関わっていた研究所を見つけると、そこでベラたちに起きた出来事を幻覚を見た。
精神科に通って療養するも通じず、暴走する中で息子をベロにしようと研究所へ連れていく。
最後はベムを火葬して細胞を取り込んで変異し、妻が放った火とベラの攻撃で始末された。
・新田鮎美(演:堀田茜)
代表作に『CONFLICT/最大の抗争』、『ダウト/嘘つきオトコは誰?』などがあります。
ヒロイン。康介の妻。二人目を妊娠中ながらギリギリまで仕事をさせられている。産休を取って仕事を休む予定。
夜遅くまで帰ってくると分かり、仕事がヒマな夫に連絡を入れて息子の面倒を頼んでいた。
ベラの影響を受けた夫の状態をまったく知らず、会社で上司をケガさせた事を知って驚いた。
夫を精神科に通わせて立ち直ったと思ったら、ウソだと知って息子と二人で暮らすと覚悟。
最後は息子を研究所に連れ出され、霧島と来て変異した夫を火で燃やしてベラに助けられた。
・新田陽太(演:吉田奏佑)
代表作に『189』、『死刑にいたる病』などがあります。
康介と鮎美の息子。サッカークラブに所属している。クラブでは試合に出られるほどの実力を持っていない。
部長をケガさせた父親が笑顔で帰ってくると、出迎えて普通の時間を一緒に楽しんでいた。
サッカーで情けない姿を見せると、ブチ切れた父親に厳しくされて完全に引いてしまう。
療養していた父親に薬をあげていくが、明らかに不信感を持った状態でビビっていた。
最後は研究所に連れ出されるが、霧島と来た母親と一緒に逃げ出してベラに助けてもらった。
・篠原弘樹(演:清水尋也)
近年の出演作に『さがす』、『スパゲティコード・ラブ』などがあります。
広告代理店に勤める新田の後輩。50周年を迎えた「妖怪人間ベム」についての特集をするも不満だらけ。
他の同僚が仕事を上手くやっていく中で、退屈なアニメについて新田に愚痴を垂れ流した。
幻の最終回を見てやる気が出て、新田とともにベラが最後にしゃべったセリフを探し求める。
会社にも出勤しなくなった新田を心配していくが、久々に来た彼の暴走を見て驚いていた。
最後は新田の仕事を引き継いだが、ベラに心酔する康介に殺されて家に箱詰めで送られた。
・綾瀬莉子(演:吉田凜音)
代表作に『はらはらなのか。』、『藍に響け』などがあります。
女子高生の生徒。モデルをやっていて仕事が終わってから登校している。体型や見た目について気にしている。
転校してきたベラをひと目見ると、思わず「キレイ」と呟いて隣に座る牧野に聞かれていた。
ベラの制服が切り刻まれ、机にイタズラ書きなどをされ、その現場を黙って見つめていた。
実はすべて片思いの牧野が暴走した結果で、現像室から出てきた姿をベラと一緒に見ていた。
最後は牧野に屋上へ呼び出され、ベラを目の前で殺すと、傘で胸を貫かれて死亡してしまう。
・牧野沙織(演:桜田ひより)
代表作に『脳内ポイズンベリー』、『東京喰種/トーキョーグール』シリーズなどがあります。
女子高生の生徒。写真部に所属して常にカメラを持ち歩いている。モデルをやっている綾瀬とは親友。
制服を切られ、食事にミミズを入れられたベラを助け、一緒に帰るほど仲良くなっていく。
写真を撮って現像室にベラを閉じ込めると、綾瀬の為に全部自分がやったと告白して狂う。
ベラをハサミで刺し屋上から突き落とし、傘で綾瀬の胸を刺殺して死体の写真を撮っていた。
最後は信号待ちしていたベラを押して新田の車に轢かせ、写真を撮って笑いながら姿を消す。
・霧島拓/ベム(演:六角精児)
代表作に『相棒』シリーズ、『超高速!参勤交代』シリーズなどがあります。
精神科医。ベラの囚われてしまった康介の診察をしていた。余裕を持った態度で康介の様子を見ていた。
笑顔で診察を受けていた康介の状態を見透かすような言葉を送り、鮎美に様子見だと説明。
その正体こそがベラと同じ妖怪人間であり、ベロが軍に殺処分される前に研究所を出ていた。
息子を妖怪人間に変えようとした康介が来た研究所に鮎美を連れて、二人を脱出させていく。
最後はベラに仲間じゃないと言われ、康介による火炎放射器を食らって肉体が崩壊して死亡。
・百合ヶ崎ベラ(演:emma)
代表作に『CAST;』などがあります。
女子高生に転校してきた。転校初日では牧野や綾瀬に視線を合わせるも自分の席に座った。
制服を切り刻まれ、机に悪戯書きされ、食事にミミズを入れられるイジメを受けてしまう。
実はすべて牧野の仕業で現像室に閉じ込められるも、逆に彼女を閉じ込めて発狂させた。
狂気に駆られる康介に車で轢かれるも無傷で、彼をひと目見て強い人間として言葉を残した。
最後は研究所でベムが仲間じゃないと話し、変身して康介を葬って一人で森を歩いていた。
感想
[個人的な評価]
本作は『妖怪人間ベム』に登場するキャラクターのベラを主人公に迎えたスピンオフの作品となっています。
この作品は前日譚となる全10話のネットドラマも配信されており、ベラ役を引き続きemmaが演じています。
残念ながら原作の方は実際に鑑賞した事がなく、ネットドラマの方は鑑賞していないので内容はほとんど知りません。
主人公がアニメの幻と言われる最終回を見た事で取り憑かれた状態になって、強い人間になろうと暴走を始めるところに不気味さがあります。
肝心のベラは女子高校でのエピソードが終わってしまうとほとんど出番がなくなり、基本的に狂気へ囚われる主人公を演じる森崎ウィンがメインとなります。
明らかにおかしくなっていく夫に何もできない妻、ただビビっているだけの長男という構図がギャグのように見えてしまう。
特に終盤で息子を追い詰めていく主人公の動きがギャグそのものであり、不気味さよりも面白さが上回ってしまっていた。
完全に狂ってしまった森崎ウィンの演技が最も光っていたが、さすがにやり過ぎるとギャグになってしまったのは残念としか言えない。
ベラを演じたemmaが美女として描かれているけど、個人的には「?」という感じでちょっと説得力に欠けていました。
本作では主人公が狂っていく過程を描いているのはいいが、問題はなぜそこまでのめり込んだのかが分かりません。
ここら辺の動機づけがラストの方で家族を守る為に強くなりたいと判明するが、それは序盤から描写するべきです。
そんな事をラストの方でいきなり言われても説得力どころか、戸惑うほどのインパクトしか与えなかったです。
森崎ウィンの頑張りに対して脚本と演出がまったく追いついておらず、ラストの変身した妖怪人間のCGもまた微妙でした。
なんだか上辺だけのインパクトにこだわったような演出に見えてしまい、もっと登場人物たちの中身を描くべきだったと思います。
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