作品データ
公開年月 | 1997/12/27 |
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ジャンル | ホラー |
原作 | なし |
監督 | 黒沢清 |
脚本 | 黒沢清 |
製作 | 加藤博之 |
製作国 | 日本 |
鑑賞方法 | 動画配信サービス |
あらすじ
犠牲者の首から胸にかけてX字型に切り裂かれた奇妙な殺人事件が立て続けに発生していた。
事件の犯人たちに繋がりはないが、彼らは犯行直前まで明確な殺意がなく、捜査する高部刑事は妻の精神病もあって苛立っていた。
やがて、一連の事件に関連のある記憶喪失の放浪者・間宮が捜査線に浮かび上がると、高部刑事は尋問をするも逆に追い込まれていくのだった。
登場人物&出演者
感想
[個人的な評価]
本作は『第10回東京国際映画祭』にて最優秀男優賞を受賞しています。
この作品では黒沢清が監督と脚本を務めているが、過去に『クリーピー/偽りの隣人』しか鑑賞していません。
そこまで面白くなかったので本作はあまり期待していなかったが、ホラー映画好きが選ぶ作品なので鑑賞しました。
ハッキリ言って、本作は一度鑑賞しただけじゃ分からず、色々と考えさせるタイプで解説サイトを見ないと理解できません。
どうやら黒沢清監督はそのような手法を得意とするタイプで、残念ながらエンターテイメント性とは正反対となります。
つまり、軽い気持ちで映画鑑賞したい人からは退屈に感じられるが、いわゆる玄人好みの作品となっています。
すべての描写を明確に表現せず、敢えて説明を削ぎ落として不気味な雰囲気と答えを考えさせる構成にしていると感じられる。
なんと言っても、本作の主人公を演じた役所広司の演技が素晴らしく、深みにハマっていくけど、彼自身の心が解放される感じが伝わります。
タイトルである「CURE」は「癒やし」の意味を持っていて、それこそが本作の本質に当たる部分だと言えるだろう。
発生していた異様な殺人事件の引き金となった間宮を演じる萩原聖人だが、記憶障害の青年として不気味な存在でした。
自分が何者である事どころか、さっき聞いた事ですらすぐに忘れるぐらい記憶を保持できなくなっている。
ただ、物語が進んでいくと、それは本当なのかと疑いたくなり、実際は催眠暗示をかける儀式の一つとも思えました。
それと、間宮が使うのはライターの火と流れる水であって、そこに相手のすべてを聞いてネガティブな感情を表に解放させる。
それによって、催眠暗示をかけられた当人は凶行だと思える行動を平常心で行わせ、そう言ったしがらみから癒やしを与えるという事になります。
エンターテイメントとして退屈であるけど、この作品についての真実を考えたい人間にとって最高の素材になるのは言うまでもないだろう。
ただ、間宮や受け継いだ高部が人を癒やしたい伝道師について、もう少し細かい描写や動機の説明が欲しかったです。
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