【CURE/キュア】VD-488

スポンサーリンク
▼メインジャンル

作品データ

公開年月 1997/12/27
ジャンル ホラー
原作 なし
監督 黒沢清
脚本 黒沢清
製作 加藤博之
製作国 日本
鑑賞方法 動画配信サービス 

あらすじ

犠牲者の首から胸にかけてX字型に切り裂かれた奇妙な殺人事件が立て続けに発生していた。
事件の犯人たちに繋がりはないが、彼らは犯行直前まで明確な殺意がなく、捜査する高部刑事は妻の精神病もあって苛立っていた。
やがて、一連の事件に関連のある記憶喪失の放浪者・間宮が捜査線に浮かび上がると、高部刑事は尋問をするも逆に追い込まれていくのだった。

登場人物&出演者

高部賢一(演:役所広司)

近年の出演作に『すばらしき世界』、『オーバー・エベレスト/陰謀の氷壁』などがあります。

主人公。刑事。妻の文江は認知症を患っていて、いつもフォローをしている日々を送る。

妻の為に気分転換に旅行を計画するが、認知症は悪化して事件も行き詰まってしまう。
ようやく重要参考人である間宮を捕まえるが、記憶障害が原因で捜査は進展せず苛立つ。
重要参考人として尋問を受ける間宮をひと目見て、すぐに彼の言葉に魅了されていく。
最後は間宮から受け継いだ伝道師としての資格を保有し、彼よりも簡単に催眠暗示を使う。

高部文江(演:中川安奈)

代表作に『敦煌』、『蒼白者』などがあります。

高部の妻。若年性認知症を患っている。佐久間が紹介して精神科医に通院している。

家ではクセで何も入っていない洗濯機を回し、夫が電源を消しているとは知らない。
通い慣れた道で急に記憶が飛んでしまい、無意識のうちに病院へたどり着いていた。
間宮の事件捜査に集中するべく、高部によって通っていた精神病院に入院させられた。
最後は間宮を始末した高部が伝道師となる間、病院では殺された状態で運ばれた。

佐久間(演:うじきつよし)

代表作に『226』、『グッド・ストライプス』があります。

精神科医。関連性がなく同じような手口の殺人事件について高部から意見を聞かれる。

単なる偶然で犯行動機を魔が差したとしか考えず、共通性を考える高部を笑っていた。
催眠術の可能性を高部から言われ、間宮が捕まった時にペンライトで試してみた。
実は間宮と会っていて、その危険さと高部との接触を恐れて独断で病院へ収容させた。
最後は催眠暗示にかかっていて、自分で首を切って自殺したとして片付けられた。

大井田巡査(演:でんでん)

近年の出演作に『タイトル、拒絶』、『一度死んでみた』などがあります。

交番に勤務する警察官。間宮が屋根から飛び降りる姿を見て慌てて声をかけていた。

捻挫だけで済んだ間宮を交番へ連れて行くが、まったく記憶がなく調書も取れず笑う。
間宮から質問をされて笑顔で対応し、彼がタバコを吸いたいと言われると快く与えた。
次の日に同僚の若い警察官を後ろから銃殺し、その後は首にあの殺人事件と同じくした。
最後は高部たちから事情聴取されると、無意識のうちに相手を切り刻もうとした。

間宮邦彦(演:萩原聖人)

代表作に『教祖誕生』、『ナミヤ雑貨店の奇蹟』があります。

記憶喪失の放浪者。白里海岸をさまよっていた時に教師と出会って家まで保護された。

その後は交番の警察官、病院の女医とも会うが、いずれも殺人事件を起こしている。
正体は武蔵野医科大学の精神科の学生で、廃品回収センターの住み込みバイトしていた。
佐久間の判断で病院に収容されたが、癒やされた高部によって解放されて逃亡した。
最後は廃病院に来た高部と再会して記憶を取り戻し、彼が伝道師になって始末された。

感想

[個人的な評価]

評価 :3/5。

本作は『第10回東京国際映画祭』にて最優秀男優賞を受賞しています。
この作品では黒沢清が監督と脚本を務めているが、過去に『クリーピー/偽りの隣人』しか鑑賞していません。
そこまで面白くなかったので本作はあまり期待していなかったが、ホラー映画好きが選ぶ作品なので鑑賞しました。
ハッキリ言って、本作は一度鑑賞しただけじゃ分からず、色々と考えさせるタイプで解説サイトを見ないと理解できません。
どうやら黒沢清監督はそのような手法を得意とするタイプで、残念ながらエンターテイメント性とは正反対となります。
つまり、軽い気持ちで映画鑑賞したい人からは退屈に感じられるが、いわゆる玄人好みの作品となっています。
すべての描写を明確に表現せず、敢えて説明を削ぎ落として不気味な雰囲気と答えを考えさせる構成にしていると感じられる。
なんと言っても、本作の主人公を演じた役所広司の演技が素晴らしく、深みにハマっていくけど、彼自身の心が解放される感じが伝わります。
タイトルである「CURE」は「癒やし」の意味を持っていて、それこそが本作の本質に当たる部分だと言えるだろう。
発生していた異様な殺人事件の引き金となった間宮を演じる萩原聖人だが、記憶障害の青年として不気味な存在でした。
自分が何者である事どころか、さっき聞いた事ですらすぐに忘れるぐらい記憶を保持できなくなっている。
ただ、物語が進んでいくと、それは本当なのかと疑いたくなり、実際は催眠暗示をかける儀式の一つとも思えました。
それと、間宮が使うのはライターの火と流れる水であって、そこに相手のすべてを聞いてネガティブな感情を表に解放させる。
それによって、催眠暗示をかけられた当人は凶行だと思える行動を平常心で行わせ、そう言ったしがらみから癒やしを与えるという事になります。
エンターテイメントとして退屈であるけど、この作品についての真実を考えたい人間にとって最高の素材になるのは言うまでもないだろう。
ただ、間宮や受け継いだ高部が人を癒やしたい伝道師について、もう少し細かい描写や動機の説明が欲しかったです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました