作品データ
あらすじ
真菌の突然変異によって人類に感染爆発が広がり、思考能力を失って生きた肉のみを食す“ハングリーズ”が増殖蔓延した近未来。
ロンドン郊外にある基地に暮らす教師のヘレン・ジャスティノーは、厳重な監視下で“セカンド・チルドレン”と呼ばれる感染した子供たちに勉強を教えていた。
その中でメラニーという少女は高い知性を持ち、他のセカンド・チルドレンとは違うと気付くが、同時に科学者のキャロラインも研究の対象にしようとするのだった。
登場人物&出演者
・メラニー(演:セニア・ナニュア)
代表作に『The Fight』、『ポルトガル、夏の終わり』などがあります。
主人公。真菌感染症の保菌者でハイブリットと呼ばれる。感染した状態で人や動物の生きた肉に対して食欲が爆発する。
ジャスティノーに母親のような感情を持ち、保管おハイブリットよりも知的好奇心が強い。
基地を脱出してパークス軍曹に警戒されるが、襲われるリスクがない事で緊張感がほぼない。
食料調達に行ったギャラガーを助けようとして、野生化したハイブリットの子供を威嚇した。
最後はウイルスを世界中にバラ撒き、ジャスティノー先生の授業を他のハイブリットと聞く。
・ヘレン・ジャスティノー先生(演:ジェマ・アータートン)
近年の出演作に『キングスマン:ファースト・エージェント』、『ビルド・ア・ガール』などがあります。
小学校の教師。ハイブリットたちに教育をしているが、メラニーに対して母性に近い感情を持ち甘やかしている。
ハイブリットは人間だと考えて、解剖されそうになったメラニーを助けようとして捕まる。
基地がハングリーズの襲撃から脱出し、メラニーは重要な存在としてパークス軍曹を説得。
食料調達に行ったギャラガーが危険だと分かって探すも、手遅れでメラニーに助け出された。
最後は世界中にウイルスがバラ撒かれ、メラニーを含めたハイブリットたちに授業をした。
・エディ・パークス軍曹(演:パディ・コンシダイン)
代表作に『思秋期』、『ワールド・エンド/酔っぱらいが世界を救う!』などがあります。
生存者が避難していた基地の兵士。以前は国防義勇軍に所属していたが、ハングリーズの世界で厳しい態度になる。
メラニーに対し警戒心を持っていて、子供として扱うジャスティノーに何度も警告している。
基地がハングリーズに襲撃されて脱出すると、装甲車が動かずメラニーを頼るしかなくなる。
移動式研究室を見つけ、ギャラガーが食料調達に行くが、メラニーに危険だと言われ追った。
最後は消えたメラニーを追ったが、発芽したウイルスで感染し、彼女に始末を頼み死亡した。
・キーラン・ギャラガー一等兵(演:フィサヨ・アキナデ)
代表作に『真夏の夜の夢』、『ナショナル・シアター・ライブ2022/ロミオとジュリエット』などがあります。
生存者が避難していた基地の兵士。パークス軍曹の下で管理されるハングリーズを教室まで移動させていた。
基地がハングリーズに襲撃されると、装甲車に乗ってジャスティノーたちを拾って脱出した。
水を補給する段階でハングリーズの気を引き、装甲車がダメになって散歩するも怯えていた。
移動式研究室を発見するが、食料がないと分かって廃墟となった街を一人で調達しに行く。
最後は雑貨店で食料とエロ雑誌を手に入れるが、ハイブリットに襲われて食い殺された。
・キャロライン・コールドウェル博士(演:グレン・クローズ)
近年の出演作に『ヒルビリー・エレジー/郷愁の哀歌』、『天才作家の妻/40年目の真実』などがあります。
ハングリーズとハイブリットを研究している責任者。感染した人間の為にワクチンを作ろうと必死に研究している。
基地がハングリーズに襲撃されると、ギリギリで逃げ出して、パークス軍曹たちと脱出した。
移動式研究室を発見するが、基地を脱出する際に手を切ったせいで敗血症になってしまう。
パークス軍曹たちを気絶させるが、効果がないメラニーを説得しようとする失敗して追った。
最後は野生化したハイブリットの子供たちに囲まれ、諦めた瞬間に襲われて食い殺された。
感想
[個人的な評価]
本作はマイク・ケアリーが原作小説の執筆と並行して映画向けの脚色を行っていたようです。
この作品はベースとしてゾンビ映画であるけど、すでに人類が劣勢に立たされている状態から物語がスタートしています。
外の世界ではウイルスに感染したゾンビ「ハングリーズ」がいて、生き残った兵士たちが基地で隔離してワクチンの研究をしている。
その中に主人公のメラニーを含めたウイルスと共生関係にあるハイブリットから、ワクチンを作り出そうとしている。
ワクチンがないと人間はあっという間に滅んでしまう中、ハイブリットである主人公にはそのような現実をあまり理解していない。
一見して普通の子供に見えるが、強い食欲に駆られてしまうと、ハングリーズのように凶暴性が表に出て容赦なく生きた肉を散らかします。
ここら辺のギャップがあって、メラニーは他のハイブリットよりも知的であるが、凶暴性を見せた時の姿はまるで別人となっています。
そんなメラニーを娘のように思うジャスティノー先生の考え方が一番危ないように感じられ、安全第一に考えるパークス軍曹の方が説得力がありました。
ただ、物語はジャスティノー先生の裏切りになると思ったら、基地の外へ出ると、メラニーの視点になって進んでいきます。
そうなってくると、賢いメラニーがどういう行動を取るのか分かってきて、これは人工知能が導く答えに近いのではないかと思います。
つまり、ハイブリットは新たな人類の進化であり、それに対応ができない時点で淘汰される自然の摂理が適応されたと考えられます。
本来のゾンビ映画というのは主人公たちがサバイバルで生き残って、崩壊した文明を再興させるハッピーエンドがほとんどです。
しかし、本作は上記のように自然淘汰される人類がいなくなり、ハイブリットやハングリーズが生きる世界になるのは納得できる部分が多くありました。
主人公のメラニーにとって理想的な世界であるが、ジャスティノー先生を含めた人類にとって終わりと言えるラストは良かったと思います。
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