作品データ
あらすじ
幼い頃に交通事故で頭部を損傷し、頭蓋骨にチタンプレートを埋め込まれたアレクシアは以来、なぜか「車」に対して異常な執着心を抱くようになっていた。
そんなある日、追われる身となり逃亡を図るアレクシアは、少年の姿となって孤独な消防士のヴァンサンの前に現れる。
ヴァンサンはアレクシアを10年前に失踪した息子だと思い込み、こうして二人は奇妙な共同生活を送り始めるのだった。
登場人物&出演者
・アレクシア(演:アガト・ルセル)
本作が長編映画デビュー作となります。
主人公。幼少期に父親が車事故を起こしてしまい、頭蓋骨にチタンのプレートを埋め込んだ状態になっている。
マッスルカーのショーガールとして人気を博し、異常なまでに車への欲情でなぜか妊娠する。
同じショーガールの女性や同居人を殺害し、両親も家事で殺し、指名手配となって逃げ回る。
ヴァンサンの息子として迎え入れ、彼の元妻やライアンに疑われてもそのまま続けていた。
最後は臨月を迎えてヴァンサンの部屋で助けを求め、赤ん坊を産んで力尽きて死亡した。
・ヴァンサン(演:ヴァンサン・ランドン)
代表作に『女と男の危機』、『ティエリー・トグルドーの憂鬱』などがあります。
消防隊の隊長。過去に息子が行方不明となってずっと探している。加齢でステロイド剤を打って体力を維持している。
警察に保護されたアレクシアが息子だと名乗り出て、そこへ案内されて思わぬ再会に喜んだ。
アレクシアを他の隊員たちに紹介し、消防士として育てていく事を宣言して納得させていた。
元妻にアレクシアを息子と言い張るも疑われ、ライアンから言われても息子として接した。
最後は臨月を迎えたアレクシアから生まれた赤ん坊を取り上げ、代わりに育てると宣言した。
・ジュスティーヌ(演:ギャランス・マリリエ)
代表作に『RAW/少女のめざめ』、『ワーニング』などがあります。
マッスルカーのショーガール。アレクシアと一緒に出演して、シャワールームでは隣で体を洗っていた。
石鹸を落としたアレクシアがかがむと、髪の毛が乳首のピアスに引っかかり名前を聞けず。
普段は仲間たちと大きな家で同居していて、人を求めたアレクシアといい感じとなる。
過激するアレクシアの愛撫にキレてしまうが、結局は家に迎え入れて続きをしようとする。
最後はブチ切れたアレクシアのヘアピンを顔に刺され、結局は同居人たちと殺されてしまう。
・ライアン(演:ライス・サラーマ)
本作が長編映画デビュー作となります。
消防隊の若い隊員。ヴァンサン隊長を尊敬していて、何があっても必ず愚直に指示に従っている。
アレクシアを息子だと言い張る隊長の言葉を信じて、挨拶しようとするも拒まれ不審に思う。
仲間内ではアレクシアを病気だと揶揄している中、隊長の言葉は絶対として肯定しなかった。
ニュースで指名手配犯にアレクシアが似ていると分かり、息子じゃないと考えて問い詰める。
最後は森の火事でヴァンサンからガスボンベを持つように言われ、引火して爆死してしまう。
・アドリアンの母親(演:ミリエム・アケディウ)
代表作に『サンドラの週末』、『その手に触れるまで』などがあります。
ヴァンサンの元妻。息子が行方不明となってから別居状態。息子がいなくなった日から部屋をそのままにしている。
元夫に呼び出されて息子が帰ってきたと聞いて、アレクシアを見て偽物だとすぐに直感した。
アレクシアと二人っきりになろうとするもできず、元夫の幻想は止められないと判断する。
部屋で苦しんでいたアレクシアを見かけ、息子じゃないと分かってもがく姿を見下していた。
最後は元夫の妄想に付き合うアレクシアに面倒を見るように言葉を残して帰っていった。
・アレクシアの父親(演:ベルトロン・ボネロ)
映画監督や脚本家として活躍し、本作が長編映画デビュー作となります。
医者。アレクシアが幼い頃に車を運転するが、後部座席でシートベルトを外した彼女を注意しようと事故を起こした。
結果的にアレクシアの右側頭部にチタンのプレートを埋め込む事になるも険悪な関係となる。
数年後、成長したアレクシアとは一切の会話はなく、自分から関わろうとしない態度を取る。
アレクシアが腹部の痛みを訴えると触診して何もないと話し、すぐに止めて部屋を出た。
最後は殺人を犯したアレクシアが帰る姿を見かけ、そのせいで妻と火事によって殺された。
感想
[個人的な評価]
本作は『第74回カンヌ国際映画祭』にてパルム・ドールを受賞した作品となります。
この作品は『第47回セザール賞』にて最優秀監督賞、有望若手女優賞、撮影賞、視覚効果賞にノミネートされています。
基本的にカンヌやアカデミーで受賞する作品は自分との好みが合わず、そもそも最初から期待していません。
ただ、実際に鑑賞しないと何も判断ができないから、映画好きと名乗る以上は一応チェックしないといけない。
どうやら本作は『カンヌ国際映画祭』で異質な作品となっているようで、独特な世界観が物議を醸し出していたようです。
ジャンルはヒューマンドラマがベースだが、そこにホラーやファンタジーの要素が組み込まれているよく分からない感じになっている。
まず、主人公が頭蓋骨にチタンプレートを埋め込まれ、なぜか車への欲情をしてしまうという設定の繋がりがよく分かりません。
この作品はアート系に分類されるだろうから、そのようなツッコミは野暮であるけど、個人的にはまったく納得できなかった。
それで、車との性行為で妊娠してしまう流れも、完全にファンタジーとしか思えないのにリアルで妊娠する展開も何かの表現なのかも分からない。
とにかく、説明のつかない展開が非常に多く、そこに整合性を求めるのは間違っているだろうけど納得がいかない部分が非常に多い。
結局、主人公と息子として迎え入れた消防士のお互いに求めている利害の一致に近い関係性に見えて、傷の舐め合いを監督の世界観で見せつけられている印象でした。
第一、本作は世界最高峰の映画賞と呼ばれる『カンヌ』でパルム・ドールを受賞しているが、もうそれだけで評価してしまう意味もよく分かりません。
娯楽映画の方が好きな人間として、こういう作品は面白いとは思えないし、監督の世界観と合わない時点で評価できるはずもないだろう。
やはり、映画賞を受賞して話題となっている作品は、何か見えない力が働いているようにしか感じられません。
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