作品データ
公開年月 | 2021/01/29 |
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ジャンル | SF/サスペンス |
原作 | なし |
監督 | ガルデル・ガステル=ウルティア |
脚本 | ダビド・デソーラ、ペドロ・リベロ |
製作 | カルロス・フアレス |
製作国 | スペイン |
鑑賞方法 | 動画配信サービス |
あらすじ
中央に大きな長方形の穴が開いた部屋で目を覚ましたゴレンは、同じフロアにいる老人にここが48階層だと告げられる。
ゴレンは穴を覗くと、上下の階層にどこまでも続いており、戸惑っているところで老人から3つのルールを明かされる。
“プラットフォーム”と呼ばれる巨大な台座が自分のフロアにある間だけゴレンは食事が取れるが、それは残飯しか言えないモノだった。
登場人物&出演者

代表作に『ラスト・デイズ』、『ミリオネア・ドッグ』などがあります。
主人公。自ら望んで穴に入った。一つだけモノを持ち込めるが「ドン・キホーテ」の本を持ってきた。
初日はすぐに目を覚ますと、同室のトリマガシから簡単な説明を受けるもすぐに理解できず。
残飯のような食事に慣れていくと、171階層でトリマガシに捕まるもミハルに助けられた。
イモグリの説得を脅迫で実現するも意味がなく、6階層でバハラトと抗議の意味で協力する。
最後は最下層の333で子供を伝言として考え、0階層へ送り届ける為に自分は降りて見送る。

代表作に『Felicidad Perfecta, La』、『All the moons』などがあります。
48階層にいた老人の男性。口癖が「明らか」であって、持ち込んだモノは切れ味が鋭い調理用ナイフ。
何かと質問していたゴレンに最初は答えていたが、メリットがないと分かって黙っていた。
穴についての説明をしていき、やって来た食事を貪って最後はツバを吐きかけるような態度。
あくまで下の階層を見下すような態度で、202階層になるとゴレンを食料にしようとした。
最後は降りてきたミハルに殺され食料にされるが、ずっとゴレンの頭の中に住み着いた。

代表作に『オール・アバウト・マイ・マザー』、『靴に恋して』などがあります。
垂直自主管理センターで25年間も働いていた中年の女性。持ち込んだのは愛犬のラムセス2世となる。
何人も面接して穴に送ってきたが、その実情を知らずに自分からやって来て現実を知った。
実は末期ガンでもう助からない健康状態で、穴の事情を知ってシステムを変えようとする。
ケガしたミハルを助け出したが、呆気なくラムセス2世を殺されたせいで諦めてしまう。
最後は202階層に行くと、ゴレンが生き延びる為に首吊り自殺をして彼の頭の中に住み着く。

代表作に『Bwana』、『¡Ni te me acerques!』などがあります。
6階層にいた壮年の黒人男性。持ち込んだのはロープで、神の啓示を受けて上の階層へ行こうとした。
衰弱していたゴレンと同じ部屋になると、上の階層へ行こうとしたが落とされてしまう。
抗議をするべきだと思いついたゴレンの提案に乗ると、一緒に下の階層まで行くと協力する。
途中で導いてくれた賢者に合うと、伝言として手つかずのパンナコッタを守り通そうとした。
最後はミハルの襲われた階層で重傷を負い、最下層で見つけた子供が伝言で多量出血で死亡。

代表作に『1898:スペイン領フィリピン最後の日』、『Project Emperor』などがあります。
穴ではなぜかゴレンよりも常に上の階層にいる若いアジア系の女性。穴にいる子供をずっと探し続けている。
食事の台に乗って最下層まで降りて子供を探すが、その度に争いを起こしてケガしている。
ゴレンと出会って襲われている時にゴレンが助けようとして、彼に対して特別な感情を抱く。
トリマガシに食われそうになったゴレンを助けるが、イモグリから天涯孤独だとバラされる。
最後は下の階層で男たちに襲われ、ゴレンが助けようとしたが、めった刺しを受けて死亡。

本作が長編映画がデビュー作となります。
穴の最下層にいたアジア系の少女。同室には他に誰もおらず、ベッドの下にずっと隠れていた。
ゴレンとバハラトがやって来ると、彼らが守っていたパンナコッタをもらって懸命に食べた。
最後は食事の台が行き止まりまで行き、ゴレンが降りて抗議の伝言として0階層まで行く。

代表作に『ダーティ・セブン』、『Don Juan in Hell』などがあります。
最下層まで行こうとしたゴレンとバハラトが降りた階層にいた老人の男性。車椅子に座っていた。
暴力で管理者たちに訴えようとしたゴレンたちに対して、その真意について問うていた。
最後はゴレンたちに食事を届けるよりも、手つかずの食事を0階層に戻すべきだと助言した。
感想
[個人的な評価]
本作は『第44回トロント国際映画祭』のミッドナイト・マッドネス部門で観客賞を受賞しています。
他に『第52回シッチェス・カタロニア国際映画祭』で優秀作品賞など4部門を受賞しています。
この作品は同じ場所で展開するワンシチュエーションというタイプで、主人公たちが置かれた状況についての謎が解かれる。
とは言っても、主人公は面接を受けた上で自ら穴にやって来るが、それは何かの認定書を手に入れるというモノである。
主人公目線で観客に対しても説明がなされるが、登場する道具や数字が意味深な演出となっていました。
どうやら本作は聖書を元にしたネタが散りばめられているが、これはキリスト教圏に通じるような作品と言えるだろう。
欧米での作品には聖書を元にした映画が当たり前のように作られるが、日本人にとっては馴染みのない描写が多いと思います。
聖書について多少の知識があるならば、本作に登場する道具や数字に意味があって、そのメッセージ性が伝わるような演出になっている。
ただ、これは逆に聖書への知識がないと、全部が中途半端に見えてしまい、何がしたいのかよく分からないと思います。
それにかなり抽象的な描写が多くて、聖書への解釈から作られている事もあって、すぐには理解できない可能性があります。
しかしながら、そこら辺の演出は興味を引き立てるような感じがあって、聖書の元ネタが分からなくてもある程度楽しめる人は楽しめるだろう。
それに本作では格差社会にも言及するような演出にもなっていて、そこには人間の環境による善悪の違いも表現しています。
作家性の強い作品であるけど、まだエンターテイメントに寄せている分、玄人好みの映画になっていると思います。
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