作品データ
あらすじ
美しい街のフォルテ・デイ・マルミのある冬、一人の少女が路地裏で周辺住宅のインターホンを鳴らして助けを求めていた。
ラファエリ警備の監視カメラが少女の姿を捉えていて、セキュリティを担当するロベルトが現場に派遣される。
ロベルトは少女を見つけられなかったが、代わりに道中で止まっていた車から不倫関係にあったエレナの息子を発見するのだった。
登場人物&出演者
・ロベルト・ラファエリ(演:マルコ・ダモーレ)
代表作に『穏やかな暮らし』、『愛さえあれば』などがあります。
主人公。警備会社「ラファエリ警備」を経営している。主に金持ちが住む家に防犯カメラを設置している。
家庭が崩壊する寸前で不眠症になっていて、ベッドじゃなくソファでずっと眠っていた。
妻の市長選とピラティが気に入らず、娘が小説家崩れの大学教授と寝ていると知ってキレる。
昔の不倫相手と会って、その息子がマリアの暴行事件に関わっていると知って守っていた。
最後はワルテルが警察に撃たれ、ピラティの悪事の映像を編集して市民たちに見せていた。
・クラウディア・ラファエリ(演:マヤ・サンサ)
代表作に『輝ける青春』、『レッド・スネイク』などがあります。
ロベルトの妻。市長選に出馬をしている。資金面では大金持ちであるピラティから支援を受けている。
すでにロベルトとは夫婦として終わっていて、彼がエレナとまた会っていると気付いていた。
街を平和にしたい気持ちを持っているが、家庭崩壊していると気付いても修復を考えない。
ピラティから友人以上の関係を仄めかされると、拒否する事なくロベルトに言いつけた。
最後はロベルトが編集した防犯カメラの映像でピラティの悪事が流れると、泣き崩れていた。
・アンジェラ・ラファエリ(演:ルドヴィカ・マルティーノ)
代表作に『The Champion』、『リッチョーネの日差しの下で』などがあります。
ロベルトとクラウディアの一人娘。大学に通っているが、両親が仮面夫婦だと分かって家にほとんどいない。
大学では有名な小説家であるステファノの講義を受けていたが、実は恋人で肉体関係もある。
ステファノが書いている小説に期待していたが、両親にバレてしまうも逆ギレで乗り越えた。
ピラティのゴーストライターになったステファノから別れを切り出され、父親に慰められた。
最後はマリアを大学に復帰させ、過去にあった出来事は誤解だと話して教室から出て行った。
・ダリオ(演:ジュリオ・ブランノ)
代表作に『Volare』、『Comedians』などがあります。
エレナの一人息子。シングルマザーの家庭環境で自然と不良になって何度も警察の世話になっている。
泥酔状態で車を運転し、ロベルトに見つかって事故を起こす前に家へ送ってもらっていた。
実はピラティから管理人のバイトに誘われ、実際は指示されて女の子とやって金をもらった。
マリアが暴行を受けた現場にいて、ピラティが犯人だと知っていたがずっと黙っていた。
最後はワルテルが復讐に来るが、ロベルトの証言で助かってもらい、警察にすべて証言した。
・エレナ(演:ヴァレリア・ビレロ)
代表作に『ボローニャの夕暮れ』、『ワンチャンス』などがあります。
過去にロベルト不倫関係にあった女性。シングルマザーでダリオと次男を懸命に育てている。
ダリオが泥酔状態でロベルトによって家に送られると、久しぶりに再会して何かを感じた。
ロベルトが妻と上手くいっていない事を知っていて、気持ちが止められず会う約束をした。
肉体関係を持ったロベルトから、ダリオがマリアの暴行事件に関わっていると聞いてキレた。
最後はロベルトが妻と別れて自分の元に来て、ワルテルが庭先で警察官に撃たれてしまう。
・マリア・スペッツィ(演:ベアトリーチェ・グランノ)
代表作に『Mi chiedo quando ti mancherò』、『Gli indifferenti』などがあります。
アンジェラと同級生の女子大生。父親が過去にアンジェラへ猥褻事件を起こしたせいで負い目を感じている。
金持ちが住む通りで暴行された状態で監視カメラに映り、フラフラしながら助けを求めた。
駆けつけた父親が保護するも、過去の事を知る住民たちに遠ざけられて病院へ運ばれた。
記憶が曖昧で警察の証言もしなかったが、ようやく動けるようになるも覚えていなかった。
最後はアンジェラの説得で大学へ復帰すると、猥褻事件は誤解だと作文で聞いて軽くなった。
・ワルテル・スペッツィ(演:トンマーゾ・ラーニョ)
代表作に『孤独な天使たち』、『幸福なラザロ』などがあります。
以前は「ラファエリ警備」で主任技師をしていた。過去に起こした猥褻事件によって解雇されている。
事件についての詳細を誰も知られていないが、唯一、娘だけが真実を知っていている。
それ以降、酒浸りになって周囲から変人扱いされていたが、精神的に娘が支えてくれていた。
マリアを暴行したのがピラティに雇われたダリオと勘違いし、豪邸を訪れるもかわされた。
最後はダリオを殺そうとしてロベルトに説得され、警察官を襲おうとして撃たれて死亡した。
・ステファノ(演:シルヴィオ・ムッチーノ)
代表作に『イタリア的、恋愛マニュアル』、『ザ・プレイス/運命の交差点』などがあります。
過去にヒット作を出していた小説家。大学で小説についての学生たちに自由な講義をしていた。
あくまで純粋に芸術を追い求めていると学生たちに話すが、実はアンジェラと長く付き合う。
アンジェラが小説を書いていると信じていたが、実際はピラティの援助で彼の自叙伝を書く。
ロベルトによりマリアの暴行事件に関わっているとバレて、警察にすべてを証言していた。
最後はアンジェラと別れを切り出し、講義では彼女の過去を聞かされるとそのまま別れた。
・ピラティ(演:ファブリッツィオ・ベンティヴォリオ)
代表作に『作家マゾッホ/愛の日々』、『ブルーノのしあわせガイド』などがあります。
大富豪の老人。市長選に出馬するクラウディアを支援している。人に触れられる事を極端に嫌っている。
クラウディアにとって資金面で重要な役割を果たし、彼女に対して支援以上の気持ちがある。
実はダリオを雇って女とやらせて、その光景をカメラ越しで鑑賞しながら性欲を爆発させる。
マリアを呼んで泥酔すると、服を脱がせようとして肌が当たって、発狂して暴行を加えた。
最後はロベルトが編集した防犯カメラの映像で悪事が流され、市民に知れ渡る事になった。
感想
[個人的な評価]
本作はNetflixで独占配信された作品となります。
Netflixでは様々な国の映画が配信されていますが、意外にもそこまで数がないイタリア産となります。
イタリア映画というと、古くはウェスタン・マカロニやゾンビと言った両極端の作品を思い浮かべます。
しかしながら、本作はそれら尖ったジャンルとは違って、イタリアらしくない大人しいサスペンスとなります。
原題が『SECURITY』となっているが、相変わらずのNetflix仕様なやる気のない邦題が逆に目立っていました。
まず、本作はラストからみると作品としてシンプルであり、そこまで難しい事をほとんどやっていません。
普通に作っていけば90分程度で収まるような内容だが、なぜか120分近くもあって鑑賞すれば理由が分かります。
なんと言っても、本作はムダなエピソードや設定が多く、本題と関係ない描写があるせいで30分も長くなっていると思います。
主人公は警備会社を経営して、主にお金持ちの豪邸に防犯カメラを設置して監視するという職業をやっています。
物語の冒頭ではそんな監視カメラに暴行を受けた少女が映り込んで、誰がやったのか主人公が独自に調査する内容なら分かりやすいです。
なのに、本作では主人公が不倫をしている過去があったり、妻が市長選に出たり、娘が大学教授と恋人だったりと要素を詰め込みすぎている。
当然ながらほとんどの設定が本筋とまったく関係ない流れになっていて、そのせいで何がしたいのか終盤まで分からない。
ラストだけをみれば金持ちが暴行したという事実だけで、そこに大きな謎やサスペンスがあるワケじゃなかった。
多分、監督は欲が出てしまい、やりたい事と物語の本筋が大きく乖離している事に気付かなかっただろうと思います。
現代のイタリア映画の主流がこのような作品ならば、残念ながら過去の作品を鑑賞した方が面白いと感じさせるぐらい退屈でした。
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