作品データ
あらすじ
1955年のデトロイト、ある書類を盗む為に集められた三人の男たちは、その在処を知る男の家へ押し入って家族を人質にする。
簡単な任務のはずだったが、計画が当初よりも大幅に狂い始め、予想外の展開に陥ってしまう。
三人は謎の雇用主の正体と本当の目的を探るべく、その文書にはデトロイトの根幹を揺るがす情報が書かれていると判明していくのだった。
登場人物&出演者
・カート・ゴインズ(演:ドン・チードル)
近年の出演作に『アベンジャーズ/エンドゲーム』、『キャプテン・マーベル』などがあります。
主人公。黒人のギャング。謎の雇用主に集められた一人。出所して街を離れたくても金がなくて困っていた。
3時間で5000ドルが得られる仕事を引き受けるが、同じギャングのロナルドと組んで実行した。
本物の文書を手に入れると、それを欲しがる人間に大金を吹っかけて取引に持ち込もうとした。
マフィアのボスであるオルドリックに助けを求め、ロナルドを裏切ろうとする逆に裏切られた。
最後はカンザスシティに連れられ、5000ドルを渡され、二度と地元に戻れず新たな人生を送る。
・ロナルド・ルッソ(演:ベニチオ・デル・トロ)
近年の出演作に『フレンチ・ディスパッチ/ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』、『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』などがあります。
ギャング。白人のギャング。謎の雇用主に集められた一人。人生をやり直した為に大金を必要としている。
ダグの依頼で仕事を引き受けると、同じギャングのカートを警戒しながら物事を冷静に進める。
本物の文書を手に入れると、カートと共謀して取引に使おうとするもフランクに助けを求める。
カートの裏切りを切り抜けてローウェンから大金を手に入れて、ヴァネッサと高飛びを目論む。
最後は警戒しながら人気のないところに行くが、ヴァネッサの裏切りに遭って殺された。
・チャーリー(演:キーラン・カルキン)
近年の出演作に『サクセション』、『トッド・ソロンズの子犬物語』などがあります。
若い白人のギャング。謎の雇用主に集められた一人。ダグに連れられたカートとロナルドと家に会う。
カートとロナルドについて良く知っておらず、あくまでダグからの指示にしか従わない。
予定通り会計士のマットの家に入ると、極秘文書を手に入れる為に会社まで同行していた。
偽物の文書だとダグが判断して、マットの家族をリビングに集める指示を受けて興奮していた。
最後はマットが反論して殺そうとしたが、危険だと判断したカートによって殺されてしまう。
・マット・ワーツ(演:デヴィッド・ハーバー)
近年の出演作に『ブラック・ウィドウ』、『タイラー・レイク/命の奪還』などがあります。
会計士。GM社の会計士。極秘文書を所持しているとして、ダグが集めたギャングたちのターゲットとなる。
家族を人質に取られてしまい、チャーリーが同行して会社から文書を取ろうとするもなかった。
ダグにまったく違う文書を渡し、当然バレて殺されるところをカートに助けられて協力する。
上司から文書を強奪してカートたちに渡し、家に帰れず不倫相手に会うも計画が崩れて振られる。
最後は会社をクビになった状態となり、すべてが解決すると、家に帰って妻に謝罪してやり直す。
・ジョー・フィニー刑事(演:ジョン・ハム)
近年の出演作に『アンブレイカブル・キミー・シュミット:キミーVS教祖』、『リチャード・ジュエル』などがあります。
組織犯罪対策課の刑事。マットの家で殺人が起きると、捜査の為にやって来て全員から証言を聞いていた。
辻褄の合わない証言に疑いを持ち、マットの息子から複数人の存在を直感で察知して捜査する。
マットの息子と道端で会って質問をすると、彼から真実を聞いてマフィアたちの動きを静観する。
後始末についてオルドリックから選択を提示されると、街の混乱よりも保身を迷わず選んだ。
最後は文書を高額で取引したローウェンの元に行き、それ以上の金を渡して報酬を得ていた。
・ヴァネッサ・カペリ(演:ジュリア・フォックス)
代表作に『アンカット・ダイヤモンド』、『PVT Chat』などがあります。
フランクの妻。ロナルドと浮気をしている。いつもテニスに行くというウソでロナルドの家に通っている。
極秘文書を手に入れたロナルドが夫に協力を求めると、浮気している事がバレて暴行を受ける。
ロナルドたちの裏切りに失敗したフランクが帰って、大金を手にして彼を容赦なく射殺した。
ローウェンから大金を手に入れたロナルドと合流して、一緒に高飛びする為に車を走らせた。
最後はロナルドを油断させて射殺するが、フィニー刑事の手回しで金を取られて呆然としていた。
・ダグ・ジョーンズ(演:ブレンダン・フレイザー)
近年の出演作に『ポイズンローズ』、『ギミー・シェルター』などがあります。
フランクの指示で動いていた大柄の男。会計士のマットから文書を奪う為にギャングを雇っていた。
評判を聞いてカートとロナルドに依頼して、もう一人のチャーリーに引き合わせていた。
マットが持ってきた文書を確認するが、偽物だと分かって電話でカートに皆殺しを指示した。
ロナルドがフランクに協力関係を築くが、裏切る為に取引現場へ銃を持ってやって来る。
最後はカートが抵抗した事をキッカケに他のギャングが銃撃し、逃げられずに射殺された。
・フランク・カペリ(演:レイ・リオッタ)
近年の出演作に『ヒュービーのハロウィーン』、『マリッジ・ストーリー』などがあります。
マフィアのボス。ヴァネッサの夫。人生をやり直したいロナルドから協力を求められる。
ロナルドが妻と浮気している事を知っていて、カマをかけて真実だと分かって正直に応じる。
アメリカ社会を揺るがす極秘文書について話すと、大金を用意して取引しようとした。
ダグを使って横取りしようとしたが、他のギャングたちにバレて銃撃戦の中で逃げ出した。
最後は大金を持ち出して出ていこうとした妻を止めるが、銃を向けられてそのまま射殺された。
・オルドリック・ワトキンズ(演:ビル・デューク)
近年の出演作に『ハイ・フライング・バード/目指せバスケの頂点』、『マンディ/地獄のロード・ウォリアー』などがあります。
マフィアのボス。カートが過去に世話になっていた大物。警察からも存在が知られている。
極秘文書の片方を手に入れたカートがやって来ると、協力を求められて言葉少なに賛同した。
ローウェンとの取引を成功させると、ロナルドを裏切ろうとして逆に裏切ってカートを連れ出す。
フィニー刑事の前に突き出すと、二つの選択からカートの命を助ける方になって再び連れ出す。
最後はカンザスシティまでやって来ると、カートに5000ドルの報酬を渡して立ち去った。
・マイク・ローウェン(演:マット・デイモン)
近年の出演作に『スティルウォーター』、『最後の決闘裁判』などがあります。
合併自動車協会の会長。自動車産業が長年隠している排ガス減少技術についての極秘文書を欲しがる。
過去にフォードの会社員であったが、現在は自動車産業全体を相手に商売して大金持ちとなる。
自動車産業大手4社が共謀していた事を知り、カートとロナルドから連絡を受けて取引に応じる。
排ガス減少技術の極秘文書を手に入れるが、はした金だと話し、もっと金を儲けられると主張。
最後はフィニー刑事がヴァネッサから押収した自分の金以上が戻り、最大の勝利者となった。
感想
[個人的な評価]
本作は『トライベッカ映画祭』にてプレミア上映された作品となります。
この作品は『オーシャンズ』シリーズなどで知られるスティーヴン・ソダーバーグの最新作です。
舞台が50年代のデトロイトとなっていて、当時はアメリカの自動車産業が右肩上がりでした。
今のデトロイトはほとんど廃墟となっていて、治安も最悪レベルで当時とはまったく違います。
そんな本作では単純な仕事だと思っていた主人公たちだが、真実を求めるうちにアメリカ社会をひっくり返るような状況に巻き込まれる。
まず、スティーヴン・ソダーバーグ監督の特徴として、大量の登場人物で物語を構成していくところが強く出ています。
つまり、本作は最初から名前しか登場しないキャラクターが当たり前のように出てきて、その関係性が良く分かりません。
ただ、物語としては難しいワケじゃなく、主人公たちが手に入れた極秘の文書をめぐる争奪戦となります。
しかしながら、その裏にある個々の思惑が展開されるせいで、しっかりと物語を把握しないと置いていかれてしまう。
これは玄人好みの作り方であって、映画を娯楽的に鑑賞したい人間にとって一番厳しいタイプだと感じました。
最初は普通の犯罪映画だと思って流しながら鑑賞していたが、物語が進むにつれて状況がややこしくなるので気持ちを入れ替えました。
物語を簡潔に言えば、主人公たちが手に入れた文書こそ、自動車産業がずっと隠していたヤバい技術というモノです。
これを取り戻す為に主人公たちは大金を吹っかけるが、それぞれが犯罪者なので誰も信用できずに疑心暗鬼となっていきます。
しかも、それだけに留まらず、主人公たちが助けを求めた先にも思惑があって、最終的に抜かれた剣は元の鞘に戻るという構図になります。
欲をかいた人間は始末され、命が助かった者は二度と戻れない新たな土地へ行き、最後まで誰が生き残るのか分かりません。
誰を信用すればいいのか分からない上に、スティーヴン・ソダーバーグ監督らしい豪華なキャストは玄人好みだと言える作品でした。
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