作品データ
公開年月 | 2020/04/23 |
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ジャンル | 武侠/ファンタジー |
原作 | プー・ソンリン 『聊斎志異』 |
監督 | フランシス・ナム |
脚本 | スー・ユーニェン |
製作 | ジン・リンドン、スー・ユーニェン |
製作国 | 中国 |
鑑賞方法 | レンタルDVD |
あらすじ
悪霊や妖怪が渦巻く黒山は、4人の女妖霊が守る扉によって千年もの間封印されていた。
怪異な世界を好む小説家のプー・ソンリンはある日、特殊な霊力を宿した筆で女妖霊が守る扉の封印を解いて黒山を解放してしまう。
黒山を封じようと天女たちは戦いに挑むも負けて肉体を失うと、プー・ソンリンの妻に乗り移って彼の協力を得て黒山の封印をしようと魔界へ向かうのだった。
登場人物&出演者

代表作に『Killer Bee Invasion』、『タイガーハンター/水滸外伝』などがあります。
主人公。怪異小説家。小説を書き上げる事に人生を捧げる。その正体は霊隠人で黒山を封じる役目を持つ。
門を守る妖霊たちが黒山の言葉に惑わされ、物語を書かされて封印を解こうと誘導される。
ジェンニアンに乗り移った天女から警告を受け、門を封じ込めるべく一緒に妖霊を説得する。
黒山に対抗できる愛の力を知って、ジェンニアンと天女から封じる筆を手に入れて倒した。
最後はジェンニアンが病で死んでしまい、彼女に会う為に小説を書きながら孤独に旅をする。

代表作に『Qing Tian Xiang Yao Lu』、『Shushan Subdues Evil』などがあります。
ヒロイン。プーの妻。嫁いで三年目になるが、物語を書く事に集中するプーに不満を持っている。
物語を完成させようと躍起になるプーにブチ切れて、彼の作品をすべて燃やそうと暴走する。
戦いで傷ついた天女に乗り移られ、門を封じる中でプーに対する想いが伝わっていく。
実は家に侵入した野盗によって頭に重傷を負ってしまい、そのせいで寿命が短くなっていた。
最後はあの世へ旅立とうとしたところでプーと再会し、彼に対する愛を伝えて消えていった。

本作が長編映画デビューとなります。
千年間に渡る黒山の封印が解かれようとして登場し、一戦を交えるもケガを負って人間界にやって来る。
封印する役目を担っていたプーの妻ジェンニアンの肉体を借りて、冷静に説明をしていく。
黒山の誘惑に負けた妖霊たちを説得して、プーに物語の結末を書き換えるべく旅に出る。
愛の力によって具現化した筆の力で黒山を倒させ、ジェンニアンの肉体から離れていった。
最後はジェンニアンと再会できるのはウソだとプーに話し、あの世に行く彼女を導いた。

代表作に『将界十日决』、『七剣下天山之封神骨』などがあります。
千年前に黒山を封印する為に「生の門」を守っている妖霊。本当の姿は九尾の狐。
プーの小説では「画皮」の物語に登場し、恋人に裏切られて千年間も悲しみ続けている。
不貞を働く者を見抜いてしまうと、物に変えて永遠に酷使するという力を持っている。
プーが妻に対する愛を持っているか試していき、違う女に想いがあると指摘していた。
最後はプーがジェンニアンを愛していると分かって、涙を流して門の封印に協力した。

千年前に黒山を封印する為に「老の門」を守っている妖霊。赤い宮殿に太鼓が数個も置いている。
プーの小説では「嬰寧」の物語に登場し、命がけで愛してくれた者と石の花の開花を待つ。
愛する者同士の別離や不貞を憎み、愛する者との再会を求めて太鼓を鳴らし続ける。
黒山の復活を止めようとする天女を邪魔し、プーの愛は妻に負けていると指摘していた。
最後はプーが命がけで妻を守りたい気持ちで石の花が咲き、愛の力を彼に託して封印した。

千年前に黒山を封印する為に「病の門」を守っている妖霊。暗い洞窟の中で香を炊いている。
プーの小説では「小謝」の物語に登場し、愛する者を待ち続けたせいで病に倒れている。
待ち続ける事に苦痛を感じていて、愛の苦痛から生まれた香を炊いて悲しみを味わう。
プーが妻の病を気遣っている姿を見ていたが、苦しみから納得ができず外へ出ようとした。
最後はプーと妻の強い絆を見て、外に出ても意味がないと理解して封印に協力した。

代表作に『Mystery Camera』などがあります。
千年前に黒山を封印する為に「死の門」を守っている妖霊。
プーの小説では「蘭若寺」に登場し、死んでも愛する者を待ち続ける幽霊となっている。
物語が未完成の状態で、ちょうどジェンニアンの邪魔で封印が解かれずに済んでいた。
再び3つの封印をしたプーの前に現れると、彼に物語を完成させて外に出ようと企んだ。
最後はプーが妻をどれだけ愛しているか言われ、急に心変わりして封印に協力した。
感想
[個人的な評価]
本作は中国の清時代に活躍したプー・ソンリンの物語を実写映画化した作品となります。
プー・ソンリンは『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』や『ナイト・オブ・シャドー/魔法拳』の原作者として知られています。
主人公であるプー・ソンリンは中国の清時代に活躍した作家で、芥川龍之介や太宰治らに大きな影響を与えた人物として有名です。
やはり、なんと言っても『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』の原作者と言った方が個人的に分かりやすいです。
もちろん、本作でも『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』の小説について触れていて、原作者である事が分かります。
ただ、この作品におけるプー・ソンリンの実話というワケじゃなく、あくまでファンタジー的な要素で物語を構築しています。
ファンタジーとは言っても、プー・ソンリンが書いてきた物語と同じくラブロマンスの要素が非常に強いです。
近年では資金豊富な中国が香港のノウハウを吸収して、映画業界に参入していますが、ほとんどがクォリティの低いモノが多いです。
それでも金をかけて作っている分、それなりに見栄えはいいが、実際は中身がなくて薄っぺらい作品が多いです。
本作は主人公であるプー・ソンリンと妻とのラブロマンスを中心に描かれるが、アクションの面に関してはオマケ程度でした。
それに邦題では『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』を期待させられますが、残念ながら中身は数倍に薄めたモノです。
登場人物は片手で数えられるぐらい分かりやすいが、千年間もガマンしてきた妖霊を数分だけで説得できる展開にムリがありすぎる。
そもそも、違った意見を持った人間の考え方を変えるのは容易じゃないのに、本作はたった数分で根本的な考え方を変えているのはご都合主義にもほどがある。
それに主人公は妻の愛に気づくけど、その妻は寿命で死んでしまい、残された夫に孤独な人生を送らせています。
果たしてこれはハッピーエンドなのかと疑うような結末となったけど、主人公がそれで満足ならば何も言えないだろう。
ただ、冒頭での主人公が小説を書く事に人生を捧げているのに、振り向かない為にヒステリックとなって作品を焼く妻の暴走は恐ろしかったです。
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