作品データ
あらすじ
シングルマザーのポリーンは叔母の家を相続し、二人の娘ヴェラとベスを連れて移り住むも引っ越してすぐに二人組みの暴漢に襲われた。
16年後、家を出て小説家として成功したベスは、家庭を持ち幸せな生活を送っていた。
そんなある日、ヴェラからただならぬ電話を受けたベスは、惨劇のあった家へ久々の帰郷を果たすのだった。
登場人物&出演者
・10代のベス(演:エミリア・ジョーンズ)
代表作に『海賊じいちゃんの贈りもの』、『ブリムストーン』などがあります。
ラヴクラフトを敬愛する文学少女。ラヴクラフトの影響を受けてホラー小説を書いている。
恋人に振られたばかりの姉にからかわれるが、母親に小説を続けるべきと助言される。
実際は悲劇に耐えられず、自分が成功した世界に意識を飛ばし、現実逃避をしていた。
ヴェラによって現実世界へ引き戻され、殺人鬼たちに反撃して一度逃げ出すも捕まった。
最後は殺される寸前に反撃していると、連絡を受けた警察がやって来て生還を果たした。
・10代のヴェラ(演:テイラー・ヒックソン)
代表作に『デッドプール』、『エブリシング』があります。
恋人に振られたばかりで傷心気味。田舎にある屋敷に来るが、不満しか持っていない。
何かと目をかけられる妹に嫉妬していて、キツイ言葉や態度を出して母親に言われる。
架空の世界に意識を飛ばすベスを連れ戻し、過酷な現実世界について説明をしていた。
ベスが反撃して家から抜け出して警察と出会って、連絡するも目の前で殺されてしまう。
最後は殺人鬼コンビに連れ戻されるが、踏み込んだ警察に助けられて病院へ運ばれた。
・ポリーン(演:ミレーヌ・ファメール)
代表作に『Giorgino』、『アーサーとミニモイの不思議な国』などがあります。
ベスとヴェラの母親。シングルマザーで遠い親戚の叔母が死んで屋敷を手に入れて引っ越す。
ベスが自作のホラー小説を読み聞かせられると、褒めちぎって才能があると話していた。
生理を迎えたベスの面倒をみるが、態度の悪いヴェラに少しだけ厳しい態度を取った。
殺人鬼の二人がやって来ると、ケガしながらもなんとか倒して娘たちを助け出した。
最後はあの悲劇で死んでいて、自分の意思で架空の世界から出るベスを見送っていた。
・16年後のベス(演:クリスタル・リード)
代表作に『ラブ・アゲイン』、『スカイライン/征服』などがあります。
16後に成人したベス。母親が期待したようにホラー小説のベストセラー作家になっている。
夫と息子に恵まれる成功者になるが、過去に起きた悲劇による悪夢を見るようになった。
夜遅くに叫びまくる姉から電話がかかると、心配になって悲劇の起きた実家へ向かう。
実は10代の自分が作り上げた架空の世界で、現実逃避の為に意識を飛ばしていたと判明。
最後はパーティで敬愛するラヴクラフトに出会い、姉を助ける為に現実世界へ戻った。
・16年後のヴェラ(演:アナスタシア・フィリップス)
代表作に『Nonsense Revolution』、『Tammy’S Always Dying』などがあります。
数年後に成長したヴェラ。過去の悲劇をずっと引きずって実家で母親と暮らしている。
巣立って自分の家族を持つベスに電話をして、何かに怯えながら助けを求めていた。
実家に戻って来たベスと再会するが、依然として怯えたような言動で自傷行為をする。
実は架空の世界を創り出したベスが見ていた姿で、実際はまだ10代の少女のままである。
最後は意識を架空の世界に飛ばすベスを呼び戻す為に、現実だと強く訴えてビンタした。
・肥満の殺人鬼(演:ロブ・アーチャー)
代表作に『バレットモンク』、『アントマン&ワスプ』などがあります。
スキンヘッドで唇の一部が欠損し巨大な体と怪力を持つ。人形が好きで言葉はしゃべれない。
常に女装の殺人鬼とキャンディのトラックで移動し、ターゲットになる家族を狙う。
電話していたポリーンに体当たりし気絶させ、姉妹を物色してヴェラを連れ去った。
ポリーンに殺されているが、実際はベスと妄想で生きていてヴェラを壊れるまで遊ぶ。
最後はベスを殺そうとするが、連絡を受けて踏み込んできた警官によって射殺された。
・女装の殺人鬼(演:ケヴィン・パワー)
代表作に『私が乳房切除術をした理由』、『ホースメン』などがあります。
スキンヘッドだが女性用のカツラを被り、キャミソールのような女性の服を着ている。
キャンディを売るトラックを運転して、屋敷に向かっていたベスたちに煽り運転をした。
肥満の殺人鬼とともに屋敷を襲撃するが、娘を助けたいポリーンの反撃で殺された。
実際は反撃したポリーンを殺害し、肥満の殺人鬼の為に姉妹を人形のように化粧させる。
最後は逃げた姉妹を連れ戻し、ヴェラを殺そうとして踏み込んだ警官に射殺された。
感想
[個人的な評価]
本作は『マーターズ』や『トールマン』で知られるパスカル・ロジェが監督と脚本を務めています。
この作品は監督がパスカル・ロジェと分かっていれば、どのような内容か予想がつく。
最近ではパスカル・ロジェ監督の『トールマン』を鑑賞していたので、どのような作風ななんとなく分かっていました。
本作でも同じ手法を使っていて新鮮味はあまりなかったが、代わりに精神的なストレスの負荷かあったと思います。
やはり、予想外の展開が来ると思って身構えたら中盤からラストまで仕掛けを忘れていたかのようにまったくなかったです。
もし、パスカル・ロジェ監督を知らなかったら、この作品から受けるイメージは違っていただろうと思います。
この作品では現実だと思っていた事が実は架空の世界になっていて、それが偽物と分かって一気に雰囲気が変わりました。
ストーリーとしてそこまで練られているのではない王道的な展開だが、パスカル・ロジェは見せ方に違いを出していると感じました。
主人公が架空の世界で幸せにしている生活があって非常に退屈なのは言うまでもない。
しかし、実際は現実に耐えられず、自分の創り出した世界に閉じ込めていて、必死に呼びかける姉によって引き戻されていく。
これについては解離性人格障害に近いような代わりの人格が背負う現実と、本来の自分が理想の世界にいる違いを映し出している。
一度鑑賞してからまた鑑賞すると、結末とネタバレしている状態で改めて伏線などが見えてくるはず。
ただ、主人公的なポジションとなる10代のベスが途中まで役立たずすぎてイライラして、そこから生還するのは少し強引な主人公補正に感じてしまいました。
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