作品データ
公開年月 | 2015/07/17 |
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ジャンル | ヒューマンドラマ |
原作 | なし |
監督 | カビール・カーン |
脚本 | カビール・カーン、パルヴィーズ・シャイク、ほか |
製作 | ロックライン・ヴェンカテーシュ、サルマン・カーン、ほか |
製作国 | インド |
鑑賞方法 | レンタルDVD |
あらすじ
パキスタンの小さな村に暮らす口がきけない女の子シャーヒダーは、インド国境付近のイスラム寺院にやって来るが母親とはぐれてしまう。
ヒンドゥー教の敬虔な信者であるバジュランギは迷子になっているシャーヒダーに気付き、彼女を保護して居候先に連れて帰った。
ところがその後、シャーヒダーがパキスタン人と判明し、好意的なだった周囲の態度が一変すると、バジュランギは彼女を家族まで送り届ける事になるのだった。
登場人物&出演者

代表作に『踊るツインズ』、『スルターン』などがあります。
主人公。ヒンドゥー教の敬虔な信者。ウソがつけない。小さい頃は何もできず怒られていた。
大人になって11回目の挑戦で大学を卒業し、父親の言葉に従ってラスィカーの家に来た。
迷子となったシャーヒダーを見つけて事情を聞くも話せず、彼女の家を探そうとしていく。
シャーヒダーがパキスタン人と判明し、ビザもなく国境を渡り、バカ正直に家を見つける。
最後はインドとパキスタンの国民から賞賛を受け、シャーヒダーと再会を果たした。

本作が長編映画デビュー作となります。
ヒロイン。パキスタン人の小さな村に住む女の子。生まれてから両親とも口を利いた事がない。
しゃべれるように母親とインドのニザームッディーン廟で祈りに来るも迷子になっていた。
バジュランギに出会って助けてもらうが、名前すら言えない状態で家も分からないまま。
パキスタン人だと判明し、バジュランギとビザなしで国境を越えてナワーブと出会った。
最後は両親たちと再会を果たし、インドに帰ろうとしたバジュランギと国境で抱擁した。

代表作に『きっと、うまくいく』、『ラ・ワン』があります。
バジュランギが居候するダーヤナンドの一人娘。父親が結婚相手を決めるもバジュランギと付き合う。
結婚相手が家にやって来るが、その場でハッキリとバジュランギと結婚したいと話した。
結果的にバジュランギが家を半年以内に構える条件で、二人の婚約を父親に許された。
バジュランギがシャーヒダーを連れて来ると、お人好しの彼に色々な可能性を説明した。
最後はパキスタンにいたバジュランギが国境から帰る時、父親や弟をやって来ていた。

代表作に『医学生ムンナ・バーイー』、『血の抗争』シリーズなどがあります。
パキスタンの記者。相棒とカメラマンとスクープを狙って街中で起きる事件を撮影してテレビ局に売っている。
祭りが開催される取材中にインドのスパイが捕まったと聞いて、警察署で取材をした。
バジュランギが逃げると追いかけて警察に連絡するが、事情を聞いて気持ちを入れ替える。
シャーヒダーを家に帰そうとするバジュランギを撮影し、不器用な彼に変わって協力する。
最後はインドとパキスタンにバジュランギの愛を伝え、シャーヒダーとの再会を実現した。

代表作に『Saaya』、『シークレット・スーパースター』などがあります。
パキスタンの山にある小さな村に家族で住んでいる。生まれてから話さないシャーヒダーを心配する。
夫が飼っていた羊たちを売って、得た資金でニザームッディーン廟に祈りへやって来る。
疲れて寝ていた時にシャーヒダーが列車から降りて、探すも見つからずに号泣していた。
バジュランギのバカ正直な約束と、ナワーブの協力でシャーヒダーと再会を果たした。
最後は国境でインドに帰るバジュランギとシャーヒダーが抱擁する姿に涙を浮かべていた。

代表作に『スィンガム・リターンズ』、『クリッシュ』などがあります。
ラスィカーの父親。バジュランギの父親と知り合いで、彼を居候させて仕事を娘から紹介させる。
当初からラスィカーの結婚相手を決めていたが、バジュランギとの付き合いに困惑する。
ラスィカーの気持ちを知り、バジュランギに半年の時間を与え、家を買うように指示した。
シャーヒダーがムスリムでパキスタン人と知って、ブチ切れて家から追い出してしまう。
最後はバジュランギが体と人生を賭けた勇気ある行動を認め、国境まで彼を出迎えた。

代表作に『ぼくの国、パパの国』、『マダム・マロリーと魔法のスパイス』などがあります。
宗教学者。警察から追われていたバジュランギたちの事情を理解し、モスクの中に匿ってくれた。
当初は異教徒という事でモスクの中に入ろうとしないバジュランギに歓迎の意を示した。
村の風景によく似ているカレンダーの写真から、生徒たちに心当たりはないかと尋ねた。
カシミール地方にある山の村だと判明すると、バジュランギたちをバイクで外に送り出す。
最後はムスリムの言葉で別れを告げたが、敬意を表しヒンドゥー教の言葉で別れを告げた。

代表作に『スペシャル26』、『M.S.ドーニー/語られざる物語』などがあります。
警察の幹部。バジュランギがインドのスパイだと聞いて、必死に捜索を出して捕まえようとしていた。
バジュランギに何度も逃げられてしまい、焦っているところでナワーブの相棒を捕らえた。
ナワーブの携帯電話からニザームッディーン廟に行くと聞いて、先回りしようとした。
結局はバジュランギのウソで振り回されるが、村に到着する寸前になんとか捕まえた。
最後は上層部に逆らってバジュランギを解放し、シャーヒダーとの再会に協力した。
感想
[個人的な評価]
本作は『第63回ナショナル・フィルム・アワード』や『第61回フィルムフェア賞』などで受賞やノミネートされています。
他に中国の『第5回豆瓣映画賞』では最優秀外国語映画賞にもノミネートされています。
数多くの映画賞にノミネートや受賞していますが、この作品は実際に鑑賞すれば納得するぐらいの内容でした。
インド映画なので2時間半という長尺ですが、それだけ積み上げるだけの内容を丁寧に描いています。
タイトルにあるような感じで物語の中心となるのは、バジュランギとシャーヒダーとなりますが、他に彼らを助ける人々の存在も大きい。
何より本作はインドとパキスタンの問題に深く足を踏み入れていて、これは両者の問題を知らない意味が分からないだろう。
この作品を鑑賞する前にインドとパキスタンの問題を少しでも勉強して、予備知識としてあればなぜそのような事になるのか理解できる。
ただ、本作に関して国家間の問題があっても、それをぶっ飛ばすだけの「愛」というテーマが非常に強いと感じました。
住んでいる国も違えば、信仰している宗教も違う青年と女の子が出会い、そこから両者の運命が変わって成長していく物語でもある。
主人公となるバジュランギはバカ正直でヒンドゥー教の信者で、ウソをつく事ができない真っ直ぐな性格を持つが頭の出来は今ひとつ。
一方でヒロインのシャーヒダーはムスリムで、6歳になっても誰とも話せず、勝手に動き回ってトラブルに巻き込まれる。
そんな二人が出会った本作では単純にバジュランギがシャーヒダーを家に帰すという普通に考えれば造作のない物語です。
しかし、そこには国家間の大きな問題が立ちはだかって、隣国であってもインドとパキスタンは反目し合っている。
大きな壁が立っても諦めないバジュランギと、そんな彼を信じて付いていくシャーヒダーのコンビは見ていても微笑ましい。
政治的な問題、民族的な問題、宗教的な問題とどれも軽く扱えない問題だらけの国家間をバジュランギとシャーヒダーが「愛」で乗り越える物語に感動しかない。
本作はインド製作の作品なのでインド側をよく見せるのは当然だが、意外にもパキスタン側もいいところを描いているのは面白い。
今まではパキスタンを悪人としか描かなかったが、これは新たな世代が出てきて、国家間の問題はくだらないというメッセージを伝えています。
シャーヒダーがしゃべれない設定、頑固なバジュランギの設定、この二つが非常に上手く融合してラストの感動で盛り上げます。
さすが世界一の映画大国だけあって、人の感情を揺さぶる演出の上手さ、役者たちの演技力は作品を更に一段階上げていると感じさせました。
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