作品データ
あらすじ
本能剥き出しの状態にしてしまう「ID7ウイルス」が世界各地に発生していた。
一方、高層ビルに居を構える大手法律事務所に勤める弁護士のデレクは、同僚のミスを擦り付けられ社長からクビを宣告される。
デレクが荷物をまとめていると「ID7ウイルス」が社内に発生し、ビルが封鎖されると狂暴化した感染者で溢れる中で社長室を目指すのだった。
登場人物&出演者
・デレク・チョー(演:スティーヴン・ユァン)
代表作に『アイ・オリジンズ』、『オクジャ/okja』などがあります。
主人公。タワーズ&スマイスコンサルティングに勤める。絵を描く才能を持つも時間はない。
最初の感染者を無罪にする提案で昇進するが、それと同時に希望を持った感情を失った。
大きな取引の案件で失敗したカラに責任をなすり付けられ、その結果としてクビになった。
ウイルスで社内が汚染させると、どうしても許せずメラニーとともに上階へ直訴する。
最後は役員の満場一致で社長を上階から突き落とし、社長に就任するもその場で辞表した。
・メラニー・クロス(演:サマラ・ウィーヴィング)
代表作に『モンスタートラック』、『スリー・ビルボード』などがあります。
ヒロイン。自宅が差し押さえになり、取り消すべく依頼するもデレクが素っ気なく追い払う。
ウイルスで社内が汚染させると、外に出る事もできずに地下室に軟禁状態になっていた。
そこに放り込まれたデレクに襲いかかるも、敵の敵は味方という事で協力して上階を目指す。
ウイルスの影響で理性を失い殺人を平然とやっていくが、デレクにとって心強い味方に。
最後はデレクのおかげで担当した幹部に物理的な復讐を果たし、彼と恋人関係となる。
・ユアン(演:マーク・フロスト)
代表作に『ファウスト』、『消されたスキャンダル』などがあります。
デレクの同僚で親友。常に心を落ち着かせる為にお香を焚きながら瞑想をしている。
デレクがカラの罠にハマって対策しようとしたが、すでに上層部が知っていて頭を抱えた。
ウイルスが社内を汚染させると、暴走するデレクをなんとか止めて部屋で待つよう訴えた。
最後は地下室でコルトンに暴行されるデレクを助けるが、杭が頭に刺さって死亡した。
・コルトン・スナイダー(演:アンドレ・エリクセン)
代表作に『パイオニア』、『ドラゴンハート/新章 戦士の誕生』などがあります。
アダ名を“猛牛(ブル)”と呼ばれ、タワーズ社長にとって非公式の左腕として暗躍する。
ID7ウイルスに感染したデレクが直訴に来る途中で捕まえ、社長の命令で鉄拳制裁を加える。
ウイルスが社内を汚染させると、復讐の為にやって来るデレクを止めるべく幹部と同行。
最後はデレクから銃を取り上げると、催涙スプレーで怯んでドライバーで頭を刺され死亡。
・レスター・マギル(演:ダラス・ロバーツ)
代表作に『ベティ・ペイジ』、『コレクター』などがあります。
人事部長。アダ名は“死神”と呼ばれ、社長の命令によって冷血に解雇通告をする人物。
上司であるカラを毛嫌いしているが、あくまで会社の方針に従順で他の感情を持たない。
デレクに解雇通告するも無視されてしまうと、強硬手段で強引に出て行くようにする。
ウイルスが社内を汚染させると、手入れしていた盆栽を乱暴に扱うほど理性が飛んでいた。
最後はキーカードを求めたデレクに反撃し、メラニーを殺そうとするも逆に殺された。
・カラ・パウエル(演:キャロライン・チゲジー)
代表作に『エラゴン/遺志を継ぐ者』、『エヴァリー』などがあります。
業務部長。アダ名は“セイレーン”で常に社長の耳元で囁いて権力を手にしてやりたい放題。
昇進して大きな案件を任されるようになったデレクに自分の失敗をなすり付けてクビにした。
ウイルスが社内を汚染させると、助手をこき使って何度も大声でコーヒーを要求していた。
上階へのキーカードを欲するデレクを行かせない為、社長との取引に応じて助手に渡した。
最後は助手の裏切りでキーカードを失うと、それまで溜まっていたストレスで殺された。
・アイリーン・スマイス(演:ケリー・フォックス)
代表作に『シャロウ・グレイブ』、『インティマシー/親密』などがあります。
タワーズ&スマイスコンサルティングで役員を務めている。ジョンに次ぐ地位を持っている。
自宅が差し押さえになったメラニーの書類を担当し、取り消せないように細工している。
ウイルスが社内に広がると、感染拡大防止を目的として会社に閉じ込められて不満を漏らす。
デレクが最上階に行く為、パソコンのデータを人質にされ、コルトンとともに下へ行く。
最後はデレクの罠で拘束されていたメラニーが自由になり、油断したところで撲殺された。
・ジョン・タワーズ(演:スティーヴン・ブランド)
代表作に『スコーピオン・キング』、『ヘルレイザー:レベレーション』などがあります。
タワーズ&スマイスコンサルティングの社長。典型的な成り上がりで自己中心な人物。
大きな取引相手のミスを知ると、その責任を常に部下をクビにする事で難を逃れてきた。
カラのミスを昇進したばかりのデレクになすり付け、彼の正統な訴えを門前払いしていた。
ウイルスが社内をさせると、復讐の為にやって来るデレクをあらゆる手段で止めようとする。
最後はデレクに好条件の取引を出すも拒否され、役員たちの満場一致で上階から落とされた。
感想
[個人的な評価]
本作は『未体験ゾーンの映画たち2018』にて上映された作品です。
『未体験ゾーンの映画たち』で上映される作品のほとんどはマニアックな内容が多いです。
これまで何作も鑑賞してきたが、10本に1本程度しか面白い作品がないと感じている。
今回も「またか」と思って大して期待していたが、まさかの予想を裏切る面白さでした。
本作は典型的な感染系ホラー映画に分類されるタイプだが、そこがメインではないのが肝とも言えるだろう。
この作品に込められているのは実社会で仕事をしている人間の欲望を叶えた内容だと言える。
最初は希望を持って入社するも、仕事をしているうちに人間性を失い、会社の方針に黙って従うしかない状況をリアルに描写する。
序盤は主人公の置かれた立場を描いているが、そこでは権力を持った無能な上司に振り回される部下を演じている。
これは実際の社会でも大いにある事であり、その怒りをどこにぶつければいいのか分からないのが現実です。
しかし、本作はその怒りをウイルスという力を借りて、自分の正当性を主張する場を設けてくれています。
確かに本作でやっている事はモラルの崩壊したメチャクチャな展開だが、誰もがやりたい凶行を惜しみなくやっている。
一度は理性をぶっ飛ばして本能のままにやりたい人間の欲望を如実に表現し、主人公が追い求める正義を血で汚しながらも達成します。
そこには爽快感がないけど、単純に「イヤな上司をぶっ飛ばす」という事を気持ちよく実現させています。
実は単なるホラーアクションではなく、社会派の映画と分類してもおかしくないほど、現実社会の問題を提言しています。
そんな主人公を演じたスティーヴン・ユァンはハマリ役で、理性がぶっ飛びながらも自分の正当性を訴える姿のギャップが強烈でした。
そこに巻き込まれた形だが、同じ敵に復讐をしたいヒロインを演じたサマラ・ウィーヴィングの美しさと危なさも良いギャップだったと思う。
本作は邦題について意味不明だが、主人公とヒロインの存在、社会に対する痛烈な皮肉を描いた本作は良作だと言える作品でした。
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