作品データ
あらすじ
南アフリカのヨハネスブルクでは、胸に何かのイニシャルを書かれた連続殺人事件が発生する。
一方、人身売買組織の撲滅を目指して捜査するジョディ刑事は失敗を重ね、上司の指示で殺人事件を担当する事になる。
現場で鑑識をする恋人のヌントビから情報を取ると、被害者たちは人身売買に関係ある人物だと判明するのだった。
登場人物&出演者
・ジョディ(演:エリカ・ウェッセルズ)
代表作に『Alles Wat Mal Is』、『Love & Me』があります。
主人公。ヨハネスブルグの女性刑事。人身売買組織を撲滅しようと私生活まで犠牲にしている。
鑑識のヌトンビとは公私に渡って付き合っているが、仕事に没頭して生活が荒れている。
家宅捜査をしても三度も失敗し、上司のジョージから別の事件を担当するように言われる。
ヌトンビこそが連続殺人をしていると分かり、人身売買のボスを追うも事故で気絶する。
最後はヌトンビが殺され、代わりに大臣を殺害して、次はイランの大富豪たちの元へ飛んだ。
・ヌトンビゾンケ・バパイ(演:フルビー・ンボヤ)
代表作に『デス・レース3/インフェルノ』、『裏切りの獣たち』などがあります。
ヨハネスブルグ警察の鑑識を務めている。ジョディとは恋人で公私ともに付き合っている。
その実像は過去に国民党の大臣の部下に誘拐され、その後は売春宿に売り飛ばされてしまう。
自力でなんとか大学に合格して売春宿を出ると、復讐する為に人身売買の関係者を殺害する。
ジョディにすべてがバレると調べた資料を置いて、大臣を殺そうと空港までやって来る。
最後は邪魔したジョディのせいで敵の流れ弾に当たり、無念を抱いたまま呆気なく死んだ。
・サミュエル(演:ブレンドン・ダニエルズ)
代表作に『裏切りの獣たち』、『ファイブ・ウォリアーズ』などがあります。
殺人課の刑事。人身売買組織の撲滅に失敗したジョディに違う事件の捜査に協力させる。
人身売買に関わる人物が無残な死体で発見されると、ジョディとともに現場へやって来た。
極秘に進められていた捜査が外部に漏れた事によって、内部犯の可能性をジョージに話した。
人身売買のボスが誘拐され、ジョディが何かを知っているとして病院を出た彼女を追った。
最後は人身売買が行われる現場を見て、止めようとするも狙撃手によって射殺されてしまう。
・ジョージ(演:モツスィ・マッハーノ)
代表作に『ツォツィ』、『ザ・ナンバー』などがあります。
ジョディの上司。人身売買組織を潰そうとするジョディの情熱に賛同して協力を惜しまなかった。
成果がまったく上がらなかったジョディのやり方にダメ出しし、捜査から外そうとしていた。
人身売買に関わった人物が次々と殺されると、内部の犯行だとしてジョディを疑っていた。
家族の身に危険が迫ってしまい、令状なしで人身売買のボスを逮捕したジョディを責めた。
最後はヌトンビの代わりに大臣を殺害し、どこかへ逃亡していたジョディを追う事になる。
・ノルト(演:デオン・ロッツ)
代表作に『カイト/KITE』、『ザ・ナンバー』があります。
国民党の大臣。イランの石油を手に入れる代わりとして、国内の少女を誘拐させて交換していた。
過去にヌトンビもその一人でイランに売り飛ばさず、自分で楽しんだ後に売春宿に売った。
長年に渡ってインド人の人身売買組織とも関わりを持ち、次々と処刑されるも気にしない。
イランの大富豪を迎えるが、ジョディを追っていたサミュエルが出てきて部下に射殺させた。
最後はなんとか逃げたが、死んだヌトンビの代わりにジョディによって射殺されてしまう。
感想
[個人的な評価]
本作はNetflixで独占配信された作品となります。
この作品は1980年代にヨハネスブルグで実際に起きた事件を基に作られています。
現在では人身売買の被害を受けた女性が年間で50万人~70万人と異常な数字を出しています。
その大半が子供であって、ほとんど行方不明のままになってしまい、この界隈が持つ闇の深さがよく分かります。
本作はそんな人身売買という現実的な出来事をベースにしていて、物語として最初から最後まで非常に重いと思います。
シリアスな雰囲気の中で人身売買を潰そうとする側の登場人物は誰一人として笑っておらず、逆に行っている方は笑っています。
この対比は意図的なモノだと言えますし、何より監督が『ハンターキラー/潜航せよ』のドノヴァン・マーシュが務めている意味があります。
『ハンターキラー/潜航せよ』は地味な作品でありながら、人間ドラマや心理を上手く表現している内容でした。
そんな本作でも同様に被害者側の一人であるヌトンビがトラウマを抱えながら、静かで残酷な復讐をしていく気持ちが伝わってきます。
本作はかなり配慮している部分があって、直接的な描写をなるべく避けているので、その効果で想像させる部分があります。
本来なら映像ですべてを伝えるべきだろうが、敢えて想像させる余地を与える演出は上手く機能していました。
ジャケットから激しいアクション映画だと思ったら、シリアスで重たい人間ドラマが含んだサスペンスという違った雰囲気でした。
主人公のジョディは情熱があって私生活まで犠牲にするが、頑張った分も成果を出せず、逆に失敗や足を引っ張るところに人間味があります。
ちょっとばかりポリコレ配慮を強く感じてしまう作品ですが、南アフリカという土地柄を考えればおかしくないと思います。
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