作品データ
あらすじ
留学先のベルギーで悲しい失恋を経験し、傷心のまま帰国したジャグーはテレビ局のニュース番組で働き、不思議な格好をした“神様が行方不明”というチラシを配る男を見かける。
ジャグーは早速と取材してみると、PK(酔っぱらい)と名乗る男は、自分が宇宙人で宇宙船と交信する為のリモコンを失い帰れなくなったと語る。
そのリモコンを見つけてもらう為に神様を探すPKの旅に興味を持ったジャグーは、彼に密着して取材を続けるのだった。
登場人物&出演者
・PK(演:アーミル・カーン)
近年の出演作に『シークレット・スーパースター』、『ダンガル/きっと、つよくなる』などがあります。
主人公。宇宙人で宇宙船のリモコンをなくしている。神様を探す為に街中でチラシを配っていた。
バイロンに拾われて、おかげで地球の言葉を覚えると、リモコンを探す為にデリーへ来る。
ネタを探すジャグーに興味を持たれ、宗教への疑問を解くユニークさでテレビ出演する。
導師たちへの“かけ間違い”を説いて、多くのインド国民から支持を受けて有名人となる。
最後はジャグーへの恋心を捨て故郷へ帰っていたが、一年後調査の為に仲間と地球へ戻った。
・ジャグー(演:アヌシュカ・シャルマ)
代表作に『命ある限り』、『スルターン』などがあります。
ヒロイン。ベルギーにテレビ制作の勉強をする為に留学し、その時にサルファラーズと恋人になる。
導師の助言は間違っているとしてサルファラーズと結婚を約束するが、手紙で勘違いした。
テレビ局に勤めていると、PKがリモコンを取り戻したい事と、宗教への批判で協力する。
導師と対決するPKのおかげでサルファラーズとの誤解が解かれ、再び付き合う事になった。
最後は故郷へ帰るPKを見送って、彼の想いを理解して、出会いについての本を出版した。
・サルファラーズ(演:スシャント・シン・ラージプート)
代表作に『きっと、またあえる』、『DRIVE/ドライヴ』などがあります。
ベルギーに留学しているパキスタン人。詩人の演劇のチケットを欲しがってジャグーと争っていた。
高すぎるチケットが手に入らず、結局はジャグーと一緒に散歩をしてお互いに惹かれていく。
導師の助言は間違っているとしてジャグーから結婚を言われるが、置き手紙で勘違いする。
番組で導師と対決するPKの言葉によって、パキスタン大使館を通じてジャグーと誤解を解く。
最後はPKについて本を書いたジャグーの朗読会に参加し、父親に認められて付き合っていた。
・バイロン(演:サンジャイ・ダット)
代表作に『サージャン/愛しい人』、『希望の光』などがあります。
楽隊を経営している男性。逃げていたPKを車で轢いてしまい、記憶喪失だと診断されて面倒をみていた。
当初は言葉が理解できなかったPKの素性が分からず、インドの常識が通じずに注意していた。
言葉を理解しようとPKに手を握られるが、男同士でやる事じゃないとしてブチ切れていた。
PKが有名人になって喜んでいると、リモコンを売った犯人を見つけて縛って連絡をした。
最後は列車で犯人とともにやって来るが、テロ組織による爆弾に巻き込まれて死亡した。
・チェリー(演:ボーマン・イラニ)
代表作に『きっと、うまくいく』、『SANJU/サンジュ』などがあります。
テレビ局の局長でジャグーの上司。昔は宗教を批判する番組を作っていたが、現在はくだらないニュースを取り上げる。
過去に導師にツッコミを入れたせいで、信者に襲撃されてケツを三箇所刺されてしまう。
そのせいで現在は緩い番組をやっていたが、PKを連れて来たジャグーの企画に可能性を見る。
PKと導師が対決する番組でジャグーにスポットライトが当てられると、現場まで来ていた。
最後はパキスタン大使館に電話をかけさせ、ジャグーが持っていた誤解を解いて成功させた。
・ジャグーの父親(演:バリークシト・サーハニー)
代表作に『きっと、うまくいく』、『その調子で、ムンナ・バーイー』などがあります。
ジャグーの父親でヒンドゥー教の熱心な信者。株取引をする資産家だが、導師のグッズはすべて買っている。
ジャグーが生まれた時に導師を名付け親にして、素晴らしい名前に多大な感謝をしていた。
留学先からジャグーに恋人ができたと言われるが、相手がパキスタン人と知ってキレていた。
導師の助言で別れると言われても勘当状態となって、PKとの番組に対して注意をしていた。
最後はPKのおかげで導師の助言が違うと理解し、以前のようにジャグーを一番応援していた。
・導師(演:サウラブ・シュクラ)
代表作に『女盗賊プーラン』、『スラムドッグ$ミリオネア』などがあります。
ヒンドゥー教の導師。シヴァを神として崇め、その代理人として声を聞いて信者たちに助言を与えている。
ジャグーの父親も敬虔な信者で彼女の名付け親であり、自分の言葉は神の言葉だと言い切る。
PKのリモコンをシヴァ神の太鼓の宝玉だとして飾って、新たな寺院を建てようと画策する。
リモコンを取り戻したいジャグーの“かけ間違い”作戦のターゲットにされ、名声が落ちる。
最後はテレビでPKと直接対決するが、ジャグーの問題を解決されるとともに負けてしまう。
感想
[個人的な評価]
本作は『第9回したまちコメディ映画祭』にて特別招待作品として上映されました。
この作品は世界興行収入で100億円を突破し、インド映画の歴代興行収入では第6位にランクインしています。
主人公のPKは宇宙人という設定なので、必然的にSF映画に分類されるが、実際はインド映画らしく様々な要素が組み込まれています。
なんと言っても、本作の注目するべきはインドの宗教について切り込んでいる部分だろう。
インドは多民族国家であり、必然と様々な宗教が混在していて、それについて本作は深くツッコミを入れています。
日本人のほとんどは無神論者なので、本作における一般的な常識はちょっと違っていて、疑問を持つ主人公の言動に納得する部分が多いです。
宇宙人という設定については便宜上であって、あくまで本作の目的は妄信的に宗教へ没頭するインド国民に向けられたメッセージだろうと思います。
これは決して日本でも無視できないメッセージで、宗教というより、最近流行っているネットビジネスに対するメッセージと考えるべきだろう。
インドでは国民のほとんどは思考停止状態で宗教を盲信しているけど、主人公のPKはそれに縛られないからこそ自由な発言や疑問を持つ。
特にインドでは宗教は強い影響力を持つだけに、主人公のPKが投げかける言葉には相当のリスクがあると思います。
一般国民がそのような事を主張すれば、当然のように迫害を受けるだけじゃなく、厳格な宗教家の家族だと勘当される可能性だってあります。
インド映画はそう言った意味では、妄信的な国民に対して痛烈なメッセージを送って、自分たちの頭で考えて行動するべきと訴えていると思います。
日本では情弱ビジネスが横行している現代、何かすがって成功を夢見るだろうけど、同時に思考する力が失われている事を警鐘している作品でもありました。
そこにインド映画らしい歌と踊りがあり、人間ドラマもしっかりとあって、ちょっとしたロマンスだってありました。
純粋なSF映画として微妙だ言えるかもしれないが、それ以外の部分ではエンターテイメントとして非常に面白い作品です。
何より詐欺まがいの信仰心を煽って信者から金を巻き上げる導師を叩くところは、爽快感があって見ていて気持ちがいいです。
やはり、インドは世界で最も映画を作られている国だけに、人を楽しませる構成力や演技力は高く、とてもいい時間を過ごす事ができる良作でした。
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