作品データ
あらすじ
芸術家志望のヘルマンは創作活動に行き詰まってしまい、更に実家からも追い出されて自暴自棄となっていた。
そんな時、芸術家として成功した叔父のフェリックスから、所有するアパートの一室を貸すという申し出を受けた。
入居早々にヘルマンは部屋の壁に空いた穴の向こう側から語りかける女の声を聞き、彼女から捜索のインスピレーションを得ていくのだった。
登場人物&出演者
・ヘルマン(演:ショーン・マグラス)
代表作に『戦火の最前線/バルジの戦い』、『ニュームーン/トワイライト・サーガ』などがあります。
主人公。芸術家志望。天井から吊るすモービル作りをしているが、認められず母親のスネカジリをしている。
上手くいかない事で行き詰まり、叔父の助言でアパートに滞在して壁女に出会って開花する。
なぜかデボラに作品を気に入られると、ジョエルと入れ替わりで契約して成功を手にする。
デボラと公私ともに仲良くなっていくが、壁女との仲が微妙になってジョエルと争った。
最後はデボラの裏切りで争って彼女の指を切り落とし、壁女が消滅して額縁を穴に飾った。
・穴の声(演:デニース・ポワリエ)
代表作に『支配者の黄昏』、『ゴルゴ13/Queen Bee』などがあります。
ヘルマンの叔父が昔住んでいたアパートにある壁の穴。長らく放置されていて絵を飾られて見えなくなっていた。
ヘルマンが滞在していると、芸術に行き詰まった彼に存在を示して会話するようになった。
肉玉をヘルマンに与えて芸術の一部にすると、デボラに認められて彼と一緒にいようとする。
邪魔する者は容赦なく攻撃し、ジョエルが独占しようとしてヘルマンを助ける為に殺害した。
最後は欲に駆られたデボラに切り刻まれるが、ヘルマンに助けられるも結局は消滅した。
・デボラ・クライン(演:アン・ソース)
代表作に『わたしに会うまでの1600キロ』などがあります。
ギャラリーのオーナー。新人の芸術家を募集して、才能ある人物を雇って展示物を顧客に売っている。
新しい才能としてジョエルの作品に目をつけるが、当初はヘルマンの存在する認知せず。
壁女のおかげで芸術作品を作ったヘルマンを気に入ると、ジョエルをクビにして彼を入れる。
実は芸術の才能がなく、それを売る才能があって芸術家を使い捨てにする自己中心的な人間。
最後は壁女を手に入れようとノコギリで切るが、ヘルマンの反撃で指が切り落とされ逃げた。
・ジョエル・ウィンドル(演:テイバー・ヘルトン)
代表作に『あなたに言えなかったこと』、『All the Wilderness』などがあります。
ヘルマンの芸術仲間。新しい技法である「瞬間的芸術」を試していて、完成するのに何ヶ月も費やしている。
新人募集の中で勝ち上がっていくと、見向きもされないヘルマンを見下すような態度になる。
必ず成功できると信じるヘルマンが最高作の約束すると、業界の追放を口にしていた。
ヘルマンがデボラを魅了する作品を作り上げると、彼女から捨てられるようにクビとなった。
最後は壁女を独占しようとヘルマンを殴り倒したが、彼女に腸を引き出されて死亡した。
・レイラ(演:モニカ・グレイブス)
代表作に『Westender』、『Actual Reality』などがあります。
ヘルマンの叔父が住んでいたアパートの管理人。連絡を受けていて、ヘルマンが来ると笑顔で出迎えていた。
芸術家であるヘルマンに興味を持っていて、接触しようとパイを持ってくるも不発に終わる。
お皿を取りに来てヘルマンの社交辞令に気を良くして、彼にもっと接近しようとしていた。
夜に食事を持ってきたとしてヘルマンの部屋に来て、彼がいないと勝手に色々と見ていた。
最後は壁の穴を発見して覗いていると、何かが飛び出して片目を潰されて逃げ出してしまう。
感想
[個人的な評価]
本作はマイケル・メダリア監督にとって長編映画デビュー作となります。
この作品は芸術家の卵が制作に集中する為、芸術家として成功した叔父が使っていたアパートで壁の女に出会うという物語です。
主人公は自分の才能を信じて生きている青年が世間から認められず、追い込まれているような状態で藁にすがるような感じになっています。
こういう人間は世の中に多く存在していて、実際に成功するのはホンの一握りで才能だけじゃやっていないと分かります。
その中で苦しんでいる主人公が自分を追い込みながら、制作に集中している時に出会った壁女という正体不明の何かに助けてもらう。
これに関しては完全なるファンタジーであるが、芸術家のみならず、才能で飯を食っていく人間は共感するだろうと思います。
自分の中にある才能を信じて生きていたが、必ずどこかで枯れてしまうか、スランプになってしまう状況になると何かに頼りたくなる。
それを壁女というファンタジーという手法でやっていますが、現実ではドラッグに走る芸術家も少なくありません。
それだと普通のドキュメンタリーに近い内容となってしまうので、そこに壁女という存在を設ける事で違いを出しています。
もちろん、本作ではその壁女について何者か説明されず、とにかく主人公に対する欲望を体現している存在になっています。
ハッキリ言って、異様な雰囲気があっても物語の展開はごく普通で、ラストはある程度予測できるぐらい常識から逸脱していません。
なんなら、もっと主人公が堕落していくと思ったのに、周囲の人間がひどい目に遭う状況に監督の優しさを感じました。
こういう場合だと、必ず主人公が大きなリスクを負うはずなのに、最終的に壁女を失っただけで彼自身は何も失っていない。
ここら辺がちょっと弱いと感じてしまう部分で、もっと大胆なラストにしても良かったんじゃないと思いました。
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