作品データ
公開年月 | 2021/01/29 |
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ジャンル | ヒューマンドラマ |
原作 | なし |
監督 | 藤井道人 |
脚本 | 藤井道人 |
製作 | 佐藤順子、角田道明、ほか |
製作国 | 日本 |
鑑賞方法 | 動画配信サービス |
あらすじ
1999年、両親を亡くし、荒れた生活を送る19歳の山本賢治はある日、行きつけの食堂で偶然居合わせた柴咲組組長の柴咲博をチンピラの襲撃から救う。
やがて義理人情に厚い昔気質の柴咲は、自暴自棄だった山本に手を差し伸べ、二人は父子の契りを結ぶ事になる。
こうしてヤクザの世界に足を踏み入れた山本は、初めて“家族”という居場所を手にして、次第に男を上げていくのだった。
登場人物&出演者

近年の出演作に『ホムンクルス』、『ドクター・デスの遺産/BLACK FILE』などがあります。
主人公。父親は柴咲組だったが、ヤク中になって死亡。天涯孤独になって柴咲組長に拾われる事になる。
当初はヤクザを嫌っていたが、親身になって心配してくれた柴咲組長に恩を返そうとする。
組員の一人が敵対する加藤の組員に殺され、報復として川山を殺害して14年服役してしまう。
出所してから世界が変わったと感じ取り、由香と再会して父親と名乗らず娘の彩と暮らす。
最後は元ヤクザとすべてを失い、加藤たちを殺害し、同じく失った細野によって殺された。

近年の出演作に『アルキメデスの大戦』、『終わった人』などがあります。
柴咲組の組長。賢治の父親が組員でよく知っていて、天涯孤独となった彼を誰よりも心配していた。
愛子の店で敵対する中国系マフィアに狙われるが、たまたま居合わせた賢治に助けられた。
フラフラと暮らす賢治の面倒をみると声をかけ、親子の盃を交わしてヤクザに出迎えた。
賢治が川山を殺害して服役して出所すると、挨拶にやって来た彼に頭を深く下げていた。
最後はガンが全身に転移して危篤状態になり、ヤクザを辞めた賢治と再会して喜んでいた。

近年の出演作に『影踏み』、『台風家族』などがあります。
柴咲組がシノギで稼ぐクラブに所属するホステス。学業の為に一生懸命お金を集めていた。
実は賢治と同じく天涯孤独で身寄りがおらず、そのせいで気が非常に強く当初は拒んでいた。
賢治が自分と同じ境遇にあると分かって、ヤクザに「家族」を求めた事に少し共感を抱いた。
川山を殺害し逃げた賢治を家に入れて、一夜を共にして娘の彩を授かって一人で育てた。
最後は賢治の存在で仕事と家を失い、彼を拒否して彩とともに違う町へ移り住む事になる。

近年の出演作に『太陽は動かない』、『劇場版 おいしい給食』などがあります。
賢治とは昔からつるんでいる親友。賢治と同じくヤクザに対して嫌っているところがある。
加藤の売人からシャブと金を盗んだのがバレて、ボコボコにされて内蔵を売られそうになる。
柴咲組長のおかげで助かると、賢治とともに組員としてシノギの仕事を監視していた。
賢治が服役する間に結婚して娘が生まれ、ヤクザを辞めていたが、かなり苦労をしていた。
最後はSNSに元ヤクザと騒がれ、仕事と家族を失い、元凶となった賢治を刺して殺した。

代表作に『恋は雨上がりのように』、『今日から俺は!!劇場版』などがあります。
愛子の一人息子。柴咲組の組員だった父親が過去に殺されている。子供の頃から賢治たちと交流を持っていた。
小学生時代は店でマジメに宿題をしていて、賢治たちからヤクザにならないよう言われる。
賢治が出所して店にやって来ると、半グレのような感じでシノギの仕事を監視していた。
加藤から柴咲組がダメだからとスカウトされるが、上から目線が気に食わずに拒んでいた。
最後は父親の報復をしようとして賢治が先にやって、彩がやって来ると色々話す事になる。

代表作に『太陽の蓋』、『浅田家!』などがあります。
柴咲組の幹部。ヤクザが漢を磨く道だと自負していて、マジメで昔気質で将来を有望視されている。
組長が気になっている賢治に対し、多少の嫉妬心を持っているが、マジメに仕事をしていた。
組員が加藤の部下に殺されると、黙っていられず川山を殺すが、賢治が代わりに服役した。
柴咲組を14年間も支えてきたが、加藤と大迫による締め付けでシマをすべて失っていた。
最後はシャブを売って金を稼いでいたが、結局は現実逃避の為に自分もクスリに溺れていた。

代表作に『湯を沸かすほどの熱い愛』、『浅田家!』などがあります。
侠葉会の若頭補佐。柴咲組がシマにしているクラブに来て、会計にイチャモンをつけていた。
呼び出された賢治たちがやって来ると、素直にシマを渡すべきと警告して立ち去ろうとした。
背後から賢治にビンで頭をかち割られると、すぐに加藤へ報告して組員一人を殺害させた。
柴咲組長と中村が話し合いの食事にやって来るが、大層な包帯を頭に巻いてイキっていた。
最後は店でホステスをレイプしていたが、乗り込んできた中村と賢治によって殺された。

代表作に『WILD LIFE』、『亡国のイージス』があります。
侠葉会の若頭。昔から柴咲組と抗争を繰り広げ、過去に翼の父親を殺害するも罪に問われていない。
地域開発によって取り締まりが厳しくなるが、大迫刑事と裏でつるんで安泰となっている。
組員が柴咲組の組員を殺害し、柴咲組長と会ってシマを譲るように命令するも拒否された。
成長した翼に目をつけるも拒否され、大迫刑事を使って店の捜査させて営業を妨害した。
最後は大迫刑事と会合している時、すべてを失った賢治がやって来て呆気なく殺害された。

代表作に『悪の教典』、『クロユリ団地』などがあります。
刑事。昔からヤクザの抗争を熟知している。柴咲組や加藤の抗争も昔から知っている。
賢治の父親がヤク中で亡くなってしまい、遅れてやって来た彼に忠告するも無視されていた。
地域の開発に伴ってヤクザたちの取り締まりを厳しく指示が出て、ヤクザの抗争を警告した。
実は加藤と裏でつるんでいて、弱体化していた柴咲組のシノギをすべて取り上げていた。
最後は翼に脅迫されて父親を殺したのが加藤と話し、すべてを失った賢治に殺されてしまう。
感想
[個人的な評価]
本作は『新聞記者』が「日本アカデミー賞最優秀作品」を受賞した藤井道人が監督と脚本を務めています。
この作品では昔ながらのヤクザについて一人の青年の人生を背景に、時代の移り変わりによる違いを描写しています。
ヤクザをテーマにした作品は非常に多く、劇場公開されるよりも、オリジナルビデオとして製作される方が圧倒的に多い。
日本の近代史における一つの文化とも言える存在であり、今では反社会勢力として徹底的に排除されています。
そんなヤクザたちが時代を経て段々と生きにくい世の中になっていく様子を主人公の人生を通じて物語にしています。
主人公の山本賢治を演じるのは綾野剛となっていて、最近ではかなりの頻度で映画に引っ張りだことなっている。
圧倒的な演技力というよりは、しっかりとキャラクターに成りきっていて安定した演技をしてくれています。
ヤクザの世界を描いているので、多少は脚色しているだろうが、それでも主人公が求めたのは「家族」なのは分かります。
周りにたまたまヤクザがいて、彼らのおかげで「家族」になれたというだけで、本人が憧れて入った世界ではないところもポイントだろう。
あくまで面倒をみてくれた組長の為に働いていて、そこには組長と組員以上の関係性があったと思います。
本作は主に三部構成となっていて、主人公がヤクザになるまでの物語、なってからの物語、服役して出所してからの物語に分かれる。
その中で主人公はただ「家族」を求めていたが、ヤクザだという事ですべてを壊してしまう悲しい結末なのは仕方ないだろうと思います。
自分で選んだ道に対して文句は一切言わず、子供にも父親だと名乗らないところも、ヤクザは社会で認められる存在じゃないと自覚していたと感じられる。
ラストでは昔ながらの義理人情の為にカタキを取り、仲間に引導を渡されたのは、本人が望んでいた因果だろうと思います。
ヤクザに人権がないのは否定も肯定もしないが、今の世の中は彼らにとって生きづらいのはよく分かる作品でした。
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