作品データ
あらすじ
一人暮らしの平凡なOL生活を送るミチはある日、同僚が自殺し勤め先の社長は失踪し、友達や家族が次々と消えていく。
一方で大学生活を送る亮介にはインターネットを介して奇妙な現象が起き始める。
胸騒ぎを覚えた亮介は同じ大学で奇妙なインターネット・サイトを研究している春江に相談を持ちかけるのだった。
登場人物&出演者
・川島(演:加藤晴彦)
代表作に『アナザヘブン』、『AIKI』などがあります。
主人公。経済学部の大学生。なんとなくインターネットを始めようとするが上手くいかない。
勝手にインターネットが繋がってしまい、気になって工学部の春江と出会って話を聞く。
春江の指示に従ってサイトを記録し、周囲に異様な空気を感じて吉崎から説明を受ける。
人がいなくなっていく中で春江を引き止めるが、いなくなってミチと出会い一緒に探す。
最後は幽霊と出会って、ミチに引き止められて船に乗るが、結局は抵抗できず消えた。
・ミチ(演:麻生久美子)
代表作に『CASSHERN』、『翔んで埼玉』などがあります。
ヒロイン。植物を売る会社に勤める。同僚が出社して来ないから気になって家まで向かう。
勝手に家へ入って必要なデータを探すと、当人がいたが、首吊り自殺をされてしまう。
他の同僚たちにも異変が起きてしまい、赤いテープが貼ったドアに入って何かを見る。
母親の元に行くが見つけられず、車が動かなくなって春江を探していた川島と出会う。
最後は消えそうになる川島と船を見つけるが、生存者を求めるも彼が消えてしまう。
・唐沢春江(演:小雪)
代表作に『ラストサムライ』、『ALWAYS/三丁目の夕日』シリーズなどがあります。
工学部の女子大学生。生きるという事について、プログラムを使って解明しようとしている。
インターネットが勝手に繋がる川島が相談に来ると、興味を持って記録の仕方を教えた。
亮介が積極的に話を聞いてくると、死んだ後について独自の持論を語っていた。
人が消えていく中で川島にどこかへ連れて行ってと頼むが、結局は自分の家に帰った。
最後は探しに来た川島とミチが廃工場に来ると、そこにいて銃で自殺を遂げてしまう。
・順子(演:有坂来瞳)
代表作に『マヌケ先生』、『荒川アンダー・ザ・ブリッジ THE MOVIE』などがあります。
ミチの職場の同僚。しばらく顔を出さない同僚を心配して、ミチが家に行くと聞いて頼む。
同僚が自殺して現場を目撃したミチを励ましながら、何が起きているのか話していた。
今度は矢部も同じような魂が抜けた感じになってしまい、ミチとともに心配していた。
赤いテープが貼ったドアに入って、そこで何かを見て自分も死んでしまうと不安になる。
最後はミチに介護してもらっていたが、吹っ切れると、黒いシミになって消えてしまう。
・矢部(演:松尾政寿)
代表作に『がんばっていきましょい』、『気球クラブ、その後』などがあります。
ミチと順子の職場の同僚。顔を出さなくなった同僚と彼が作成する販売リストも心配する。
ミチが同僚の家から販売リストを手に入れると、彼女を励ましながらもらっていた。
販売リストを確認すると、その同僚が映った画像を見つけてミチたちに見せていた。
気になって自殺した同僚の家に行くが、そこで違う何かを見つけて抜け殻となっていた。
最後はミチたちに心配されると、実は職場にいたが、次の瞬間に黒いシミとなり消えた。
・吉崎(演:武田真治)
代表作に『七人のおたく』、『Diner/ダイナー』があります。
工学部の男子大学院生。春江と同じくプログラムで生きるという意味を解明しようとする。
春江からデータを受け取って分析しようとすると、ちょうど来ていた川島と出会った。
最後は図書館で黒い影を見た川島に話しかけ、それについて独自の理論を語っていた。
・船長(演:役所広司)
近年の出演作に『すばらしき世界』、『オーバー・エベレスト/陰謀の氷壁』などがあります。
避難してきたミチと川島を保護した。生存者を求めて可能性のある場所へ向かっている。
ミチから何があったのか尋ねると、実際に彼女が体験した不思議な現象を聞いていた。
最後はすべてを語り尽くしたミチに正しい事をやっている言って、次の場所を目指す。
感想
[個人的な評価]
本作は『カンヌ国際映画祭』にて国際批評家連盟賞を受賞しています。
更にアメリカで2006年に『パルス』というタイトルでリメイクされ、続編として三作まで作られています。
今回もホラー映画好きたちが選んだ作品の鑑賞となりますが、『CURE/キュア』に引き続き黒沢清が監督と脚本を務めた作品となります。
個人的には『CURE/キュア』がエンターテインメント性がないけど、ホラー映画の上級者ならば楽しめる作品だと感じました。
そんな本作は2000年に製作されているが、インターネットをテーマに持ってきています。
まず、最初に感じたのは時代の古さで、当時はダイヤル回線を使っていました。
今とは格段に違う古さを感じさせるのは仕方ないが、当時はそれでも最先端の技術でした。
そこに幽霊や違う世界について語っていて、タイトルにもある「回路」が繋がった事で不気味な現象が起きてしまう。
黒沢清監督が演出にこだわっているタイプであって、終始に渡って映像に色合いが少ないのは狙っているだろう。
ただ、そのせいで暗い映像が多くて明るい部屋で鑑賞すると自分の顔をみる事になる。
電気を消して鑑賞しないといけないが、これはもしかすると黒沢清監督の狙いかもしれない。
しかしながら、物語が進んで世界が何かに侵食されていくが、途中でちょっとした説明がされているが全体的に意味不明な内容です。
そもそも、黒沢清監督の作品は明確な説明を意図的にせず、鑑賞する側に委ねる作品が多いように思えます。
その中でも本作はクセが強くて、物語が進むにつれてエンターテインメント性を失っている。
それでも幽霊の描写について、個人的に少し詳しいので、その表現はかなり近いじゃないかと感じさせました。
ストーリーがそこまで響かなかったが、幽霊だけの描写は秀逸だったと思います。
リンク
コメント