作品データ
あらすじ
家族で東京から過疎の町に引っ越してきた少女・野咲春花は、転校早々によそ者として壮絶なイジメを受けてしまう。
担任教師は過去にイジメを受けたトラウマから見て見ぬふりをして、リーダー格の小黒妙子が主導するイジメはますますエスカレートしていた。
ところがある日、何者かに我が家を放火され、両親を奪われた上、純真無垢な妹までもが瀕死の重傷を負ってしまい、持ち堪えていた春花の心は壊れてしまうのだった。
登場人物&出演者
・野咲春花(演:山田杏奈)
近年の出演作に『山女』、『HOMESTAY/ホームステイ』などがあります。
主人公。東京から田舎へ引っ越して転校するが、妙子をリーダーにしたイジメグループからターゲットにされる。
高熱で学校を休んでいると、流美がターゲットになって彼女を暴走させる原因になっていた。
晄と出かけていた時に両親が焼死し、妹が重傷となってショックで声が出なくなってしまう。
橘から真実を聞いて逆上して三人組を殺害し、反撃しようとした真宮たちも返り討ちにした。
最後は流美に刺され晄が殺害するも彼の本性を知って、ボウガンで殺すも自身も死亡した。
・相場晄(演:清水尋也)
近年の出演作に『さがす』、『スパゲティコード・ラブ』などがあります。
春花のクラスメイトの男子生徒。元々は都会から転校したが、とある事情から祖母の家で暮らしている。
イジメを受ける春花にとって唯一の味方で、調子に乗る久賀を睨んで引かせる態度を見せる。
写真が趣味で「ミスミソウ」について春花に教え、火事では妹を助け出してくれていた。
その正体は父親を刺殺し、母親を暴行していて、祖母から許可をもらう為に殴り倒していた。
最後は春花の裏切りで逆上して流美を殺害するが、反撃でボウガンを右目に受けて死亡した。
・小黒妙子(演:大谷凜香)
代表作に『犬鳴村』、『牛首村』などがあります。
イジメグループの女子生徒でリーダー格。金髪に髪の毛を染めている。将来は美容師を目指そうとしていた。
春花がイジメを受ける状況をただ傍観しているだけで直接手を出さず興味を持たなかった。
流美たちが春花の家に火を放った時は現場におらず、それを知って自分の手を噛んでいた。
実は転校したばかりの春花と親友だったが、晄の登場で奪われた事からイジメを開始した。
最後は流美を見捨てたせいで襲われるが、一命を取り留めて唯一卒業式を無事に迎えた。
・佐山流美(演:大塚れな)
本作が長編映画デビュー作となります。
春花のクラスメイトの女子生徒。過去にイジメグループの対象だったが、春花がターゲットになって解放されていた。
春花が高熱で学校を休むと、橘たちから連れてくるように言われてCDを借りて証拠にした。
絵を描くのが好きで、それ以上に妙子への強い憧れを持っていて認めてもらおうとしていた。
妙子を振り向かせる為に春花の家に火をつける首謀者となり、成功して不気味な笑顔となる。
最後は妙子に裏切れて逆恨みで刺し、春花を追い詰めるも晄にボコボコにされて殺された。
・真宮裕明(演:大友一生)
代表作に『カゾクデッサン』、『青葉家のテーブル』などがあります。
イジメグループの男子生徒。細身でボウガンを持っている。退屈な田舎でカラスをボウガンで殺している。
池川と一緒に行動して彼がカラスを撃ち落とすと、ボウガンでトドメを刺して笑っていた。
火事現場では春花の父親の足をボウガンで撃ち抜き、それを面白いと思いながら楽しんだ。
春花が復讐でイジメグループの仲間を殺していると分かり、流美に反撃すると連絡をした。
最後は春花を挑発するも池川に誤射し、パニックになってしまい腹などを斬られて死亡した。
・池川努(演:遠藤真人)
代表作に『想像だけで素晴らしんだ/GO TO FUTURE』などがあります。
イジメグループの男子生徒。肥満体でエアガンの改造が趣味。田舎に面白さがないとして文句を言っている。
常にエアガンを持ち歩いていて、真宮と一緒に行動しているが基本的に敬語を使っている。
エスカレートする春花へのイジメを傍観しているが、実際は転校した時から気になっていた。
春花が復讐でイジメグループの仲間を殺していると分かり、真宮と反撃しようと迎え撃った。
最後は春花の思わぬ反撃で我を失い、真宮の誤射でボウガンを頭に食らって死亡してしまう。
・久賀秀利(演:遠藤健慎)
代表作に『ホットロード』、『私の知らないあなたについて』などがあります。
イジメグループの男子生徒。妙子と対等な態度で接して橘たちより上の立場として好き放題している。
学級崩壊する中で春花を率先してイジメていたが、晄から睨まれるの仕方なく退散をする。
ブチ切れた流美が春花を殺す言葉を聞き返し、現場では誤って火をつけて指を火傷していた。
春花が復讐でイジメグループを殺害していると知らず、橘たちが行方不明になり焦っていた。
最後は春花と遭遇してナイフで刺され、逃げ回るも落ちて足を骨折し、放置されて死亡した。
・橘吉絵(演:中田青渚)
代表作に『3月のライオン/後編』、『犬も食わねどチャーリーは笑う』などがあります。
イジメグループの女子生徒。常に三人組で動き、リーダー格として他の二人を手下のように従わせていていた。
率先して春花のイジメをやっているが、妙子や久賀に気を使いながらも調子に乗っていた。
家では酒浸りの父親から恫喝される状況で、溜まっているストレスを春花にぶつけていた。
火事現場で春花の母親が苦しそうに死んだのを見て、死にたい気持ちが逆に消えていた。
最後は手下たちを連れて春花に自殺をさせようとするが、反撃を受けて逆に殺されてしまう。
・南京子先生(演:森田亜紀)
代表作に『へんげ』、『俺と○○○すれば売れる』などがあります。
春花の担任。春花がイジメを受けている事を知りながらも咎めず、見て見ぬふりをずっと続けていた。
元々は学校の出身者だったが、過去にイジメを受けていたせいで心がすでに壊れている状態。
春花の父親がイジメを訴えても事を荒立てないように注意するなど、感覚が麻痺している。
生徒たちが行方不明になって保護者が問い詰めても無視して、逆に問い詰める態度を見せる。
最後は保護者の一人に過去を暴かれゲロを吐くと、外に飛び出して除雪車に轢かれて死亡。
・野咲満雄(演:寺田農)
近年の出演作に『夢と雫と星の花』、『ニッポニア・ニッポン』などがあります。
春花の祖父。イジメグループによって息子夫婦が殺され、末孫が重傷となると東京から急いで駆けつけた。
ショックを受けていた春花を心配しながら、危篤状態となっている末孫の病院を手配する。
春花が学校へ行けない状態でも優しい表情と言葉で話しかけ、晄に孫の事を任せようとした。
返り血を浴びた状態で帰ってきた春花を問い詰めず、その後も彼女が話すまで待っていた。
最後は田舎に残りたい春花を尊重するが、晄の暴力で重傷を負うも自力で救急車を呼んだ。
感想
[個人的な評価]
本作は押切蓮介の同名漫画を実写映画化した作品となります。
この作品は『高速ばぁば』や『ホムンクルス』で知られる内藤瑛亮が監督を務めています。
残念ながら漫画の方はまったく知らなくて、今回の実写映画で初めて知りました。
タイトルから内容は一切分からない状態であったが、あらすじからどのような展開になるのかある程度は予測できました。
都会から田舎への転校というのはイメージ的に極端な状況になるというのがあって、とても仲良くなるか、最初からイジメられるかの2パターンだと思ってしまいます。
本作は主人公がイジメの対象になって徹底的に否定されてしまうが、それだと単なる不快な状況だけで特筆した部分はないと思います。
しかし、漫画が原作というだけに中盤からの展開があまりにも急激すぎて、序盤とはまるで違う作品のように感じてしまう。
いわゆる血しぶきが飛び散るスプラッター系の作品であり、容赦なく登場人物が惨殺されていく展開となっています。
最初は主人公による復讐劇で完了したら終わりだと思ったら、実際は周囲の人間も狂気に駆られるような形で暴走するのは予想もしなかった。
両親が焼死して妹が生死をさまよう大火傷を負って、主人公の保っていた心が完全に壊れて復讐に走っていくのはある意味仕方なくと言えるだろう。
序盤でのイジメの描写は不快この上ないし、孤立している状況でどうしようないのが伝わってくるから、主人公の復讐劇にはスッキリする部分がありました。
ただ、本作は単なる復讐劇だけに留まらず、雪国を舞台にしているからこそ、白い積雪と飛び散る赤い血との色の兼ね合いに映像美を追求していると感じました。
確かに主人公のやっている事は犯罪であり、決して認めちゃいけないが、そこには残酷ながら純粋な怒りの感情を表現したスプラッターがありました。
こういうタイプの作品というのは得てしてチープになりがちだが、本作は映像美を意識した事から見事に脱却していると思います。
関わった人間がほぼ死ぬような状況の中で、最後に少しだけの希望が残されるところはパンドラの箱に似ているような気がしました。
主人公を演じた山田杏奈の演技力が安定して高かったおかげで、作品全体の説得力を持たせている大きな役割を果たしていました。
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