作品データ
あらすじ
南の小さな海辺の町にある空港に一機のプロペラ機が着陸し、大きなトランクを持ったタエコが出迎えた人々に一礼する。
タエコは地図を片手に不安げに向かった先は小さな宿「ハマダ」で、主人のユージと犬のコージが出迎えていた。
翌朝、寝ていたタエコは、足元に佇む常連客サクラの唐突な挨拶に度肝を抜かれ、不思議な体操や奇妙な人たちの言動にペースを狂わされていくのだった。
登場人物&出演者
・タエコ(演:小林聡美)
近年の出演作に『スズさん/昭和の家事と家族の物語』、『騙し絵の牙』などがあります。
主人公。携帯電話が通じないところに行きたいという理由で島にやって来た。一人の時間を過ごしたい。
島では「たそがれ」事が当たり前でまったく理解できず、最初は馴染めずに不快感を持つ。
もう一つの宿泊施設に行くが、畑仕事があると知って、戻ろうとサクラが自転車で来て乗った。
「先生」と呼ぶヨモギがやって来るが、彼から「たそがれ」についてなんとなく理解する。
最後は一度帰るも、サクラが島に来る春にカキ氷屋に来て、みんなと彼女を出迎える事になる。
・ユージ(演:光石研)
近年の出演作に『おそ松さん』、『マイ・ダディ』などがあります。
浜辺の民宿「ハマダ」の主人。飼い犬の「コージ」とともに経営している。宿の看板を意図的に小さくしている。
シーズンオフの予約客だったタエコを珍しがり、描いた地図で迷わず来た彼女の才能を褒める。
サクラのカキ氷屋をハルナと開いて、カキ氷を頂く代わりにオセロの相手やマンドリンを弾く。
タエコがもう一つの宿泊施設から戻る時、サクラの後ろに乗った事を羨ましがっていた。
最後はサクラがカキ氷屋を開く季節が訪れると、タエコを加えてハルナたちと出迎えていた。
・ハルナ(演:市川実日子)
近年の出演作に『罪の声』、『よこがお』などがあります。
島にある高校学校の生物教師。かわいい男子生徒を目的にするが、いないと口癖が「死にたい」となってしまう。
シーズンオフで「ハマダ」に来たタエコに興味を持ち、すぐに理由を聞こうとしてかわされる。
もう一つの宿泊施設へタエコを車で送り届けるが、四度目の遅刻が決定しても気にしなかった。
サクラの自転車にタエコが後ろに乗った事を羨ましく思い、早く帰って欲しい気持ちを持つ。
最後は馴染んだタエコを空港まで送り、再び春になると、みんなとサクラを出迎える事になる。
・サクラ(演:もたいまさこ)
近年の出演作に『ハローグッバイ』、『モヒカン故郷に帰る』などがあります。
毎年の春に島を訪れてカキ氷屋を開いている。独自に「メルシー体操」を考案して毎朝浜辺でやっている。
タエコが起きるまで部屋にいて、目を覚ました彼女に笑顔で挨拶をして朝ごはんを伝えていた。
何者か誰も知らず、出されるカキ氷に不思議な魅力があって、お金じゃなく物をもらっている。
もう一つの宿泊施設から帰ろうとしたタエコを自転車で出迎え、後ろに乗せてみんなが羨む。
最後は雨とともに帰っていくが、春が訪れて再び島にやって来ると、タエコたちが出迎えた。
・ヨモギ(演:加瀬亮)
近年の出演作に『旅のおわり世界のはじまり』、『鈴木家の嘘』などがあります。
タエコを追って島にやって来た青年。タエコを「先生」と呼び、ユージに勧められてビールを飲みまくる。
宿に帰ってきたタエコが驚いていたが、ビールを飲みながら確実に探し出すと豪語していた。
タエコと違って「たそがれ」が得意であり、彼女よりも島に馴染んで住民のような感じになる。
先に帰る事になってドイツ語で詩を口にして、タエコがまだ帰らないと分かって何も言わず。
最後はサクラがカキ氷屋にやって来ると時期に戻ってきて、タエコたちから歓迎されていた。
・森下(演:薬師丸ひろ子)
代表作に『セーラー服と機関銃』、『ALWAYS/三丁目の夕日』シリーズなどがあります。
島にあるもう一つの宿泊施設「マリン・パレス」の経営者。ハマダがイヤになったタエコを受け入れた。
事前に連絡を受けていて、タエコが建物の前まで来ると、すぐに裏へ連れて行っていた。
そこでは宿泊者はみんな畑仕事をして、自分で採った野菜で食事をするというルールを話す。
最後はタエコに鍬を手渡すと、一緒に畑仕事をしようと笑顔で話すも、結局は拒否された。
感想
[個人的な評価]
本作は荻上直子が監督と脚本を務める5本目の作品となります。
この作品は『ベルリン国際映画祭』のパノラマ部門のマンフレート・ザルツゲーバー賞を受賞しています。
なんと言っても、本作は『かもめ食堂』のスタッフが再集結して作ったのは大きいだろう。
『かもめ食堂』が好きならば、本作は簡単に受け入れる事ができるが、逆に苦手意識があるなら厳しいかもしれない。
とにかく、本作は舞台が島という事もあって、都会にある慌ただしい雰囲気が一切ありません。
本作で何度も出てくる「たそがれ」という言葉は物語を表現していて、これを上手くイメージできたら本作は非常に面白いです。
これも『かもめ食堂』にあったように、大きな出来事があるワケじゃないが、それはそれでいいという雰囲気があります。
作品の中で漂うゆったりとした時間に加え、複雑な人間関係などなく、本当に「たそがれ」に向いている場所である。
人間は常に何かに追われるような事があるけど、本作に登場する島の住民たちはそこから解放されたような印象を持ちます。
個人的には都会の便利さは捨てがたいので、住む場所というよりは、春になったら訪れたいような場所だと感じました。
何にも縛られる事なく、ただ過ぎていく時を感じながら、ボーッと海を眺めるだけで一日が終わるような憧れを抱かせる作品でした。
どうやら個人的に荻上直子が監督した作品が合うようなので、他の監督作にも興味が出てきたぐらい良かったです。
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