作品データ
あらすじ
遣唐使として唐に渡った沙門空海は、時の権力者の不可解な死と長安の役人の家に起こる怪事件に立ち会う事になる。
それらの事件には一匹の黒猫が関係していると空海は疑い、白楽天と力を合わせて事件の謎を探っていく。
やがて、人の言葉を話し始めた黒猫に空海は真相を問いかけ、数々の怪事件について解明していくのだった。
登場人物&出演者
・空海(演:染谷将太)
近年の出演作に『パンク侍、斬られて候』、『ポンチョに夜明けの風はらませて』などがあります。
主人公。倭国(日本)の僧侶。唐の都である長安へ遣唐使としてやって来た。
本来の目的は密教について知る事だったが、皇帝が病に倒れて治す為に宮殿へ招かれた。
祈りを唱える時に黒い化け猫の姿を目撃し、記録係だった白楽天と病死の真相を追求する。
様々な証言や記録を調べていくと、楊貴妃が原因だと分かって彼女の死の真相に鞍替えする。
最後は楊貴妃の真相を知って解決させ、当初の目的であった密教について教えを乞う事に。
・白楽天(演:ホアン・シュアン)
代表作に『ブラインド・マッサージ』、『グレートウォール』などがあります。
皇帝の記録係を務めていた。本来は詩人で玄宗皇帝と楊貴妃の悲恋についての詩を詠む。
楊貴妃について独自に調べていたが、皇帝の病死に関係あると主張して罷免されてしまう。
黒い化け猫を見た空海と行動をして、楊貴妃の死の真相を確かめようと共に調査を始める。
詩に詠んだ内容と食い違っていると判明すると、化け猫の言葉を信じる空海にブチ切れる。
最後は詩の通りだったと分かり、楊貴妃の死を悲しみながら直す事はせずに完成させた。
・春琴(演:キティ・チャン)
代表作に『ミラクル7号』、『少林少女』などがあります。
雲樵の妻。庭にいた黒猫に瓜をあげて、その代わりとして大量の金が埋まっていると知る。
化け猫に乗り移られてしまうと、雲樵を惑わせて大金を使わせ、次第に追い詰めていく。
楊貴妃の死について調べる空海と白楽天を家に招き入れるが、そこで化け猫の正体を現す。
最後は化け猫に気付いた雲樵に首を絞められ、楊貴妃の死を彷彿させる演出に使われた。
・陳震樵(演:チン・ハオ)
代表作に『スプリング・フィーバー』、『東京に来たばかり』などがあります。
金吾衛の責任者。父親も金吾衛で世襲制として受け継いでいる。妻がいても遊びまくる。
春琴が大金を見つけると、部下を引き連れて遊郭で遊びまくるが化け猫に脅迫されてしまう。
妻が化け猫に取り憑かれていると知らず、遊郭に保護を求めるが拒まれて空海たちと出会う。
ようやく妻に取り憑いた化け猫を空海が浄化するが、喜んでいたところで首を絞めて殺す。
最後は楊貴妃を殺した父親のせいで妻を自ら殺し、現実に耐えられる発狂してしまう。
・白龍(演:リウ・ハオラン)
代表作に『北京愛情故事』、『唐人街探案』などがあります。
妖術士・黄鶴の弟子で実の息子。丹龍とともに極楽の宴に呼ばれて術を披露していた。
実際は楊貴妃に一目惚れして、彼女の為ならばなんでもするという覚悟を持っていた。
金吾衛の反乱で楊貴妃が仮死状態にされると、丹龍と墓へ来て生き返らせようとした。
結局は叶わず、楊貴妃の体を蝕む毒を取り込んで、肉体が死ぬ前に黒猫へ自分の魂を移した。
最後は空海たちの活躍で丹龍と和解し、復讐をやめて、亡き楊貴妃を思いながら亡くなる。
・阿倍仲麻呂(演:阿部寛)
近年の出演作に『のみとり侍』、『北の桜守』があります。
倭国(日本)からやって来た人物。長安で唐の朝廷に仕え、皇帝の側近として長く務める。
その時に楊貴妃を見て恋に落ちてしまい、皇帝が催した極楽の宴で告白の機会を狙っていた。
皇帝に考えを見透かされ、楊貴妃の前で彼に釘を刺して告白できないような仕打ちを受ける。
金吾衛たちの反乱で楊貴妃を日本に連れて行く時提案するが、結局は彼女に却下される。
最後は日記にすべてを書き記し、楊貴妃の死を知る者として皇帝に粛清されてしまう。
・楊貴妃(演:チャン・ロンロン)
代表作に『一年之初』、『光にふれる』などがあります。
玄宗皇帝が愛した絶世の美女。異国の血が入っていて、他の唐人とは違った雰囲気を持つ。
玄宗皇帝を愛しているが、自分の存在で多くの人間を惑わせて道を外す事に注意している。
盛大に玄宗皇帝が行った極楽の宴で主役となり、敵対する勢力の反乱を焚きつけてしまう。
動じない玄宗皇帝の命を助けるべく、妖術士の黄鶴に術をかけた仮死状態になると決意する。
最後は茶番と分かって演じて、蘇る事なく白龍と丹龍たちに見守られて遺体は処分された。
・玄宗皇帝(演:チャン・ルーイー)
代表作に『The Chef, the Actor, the Scoundrel』、『The Devotion of Suspect X』などがあります。
唐の皇帝。楊貴妃を誰よりも愛していて、彼女為になんでもするぐらい溺れていた。
その分だけ楊貴妃に近寄る男を警戒し、常に彼女を側に置いて誰にも近づけさせなかった。
楊貴妃の誕生日を祝う極楽の宴を催し、絶対的な権力を見せつけながら国に彼女を見せる。
そのせいで反乱分子が立ち上がり、自分を守るはずの金吾衛が楊貴妃の危険さを主張される。
最後は楊貴妃を仮死状態にすると偽って殺し、皇帝の座を保つもずっと後悔に苛まれる。
感想
[個人的な評価]
本作は夢枕獏の『沙門空海唐の国にて鬼と宴す』が基になった作品です。
空海は学校の歴史でも習う平安時代初期の僧で、別名を弘法大師として知られる真言宗の開祖である。
本作ではそんな空海が若き日に唐(当時の中国)に渡り、そこで起きた謎を解いていく物語となっています。
いわゆる「お金アルヨ、チャイニーズ・ファンタジー」という作品でした。
近年のチャイニーズ・ファンタジーは不自然なCGを大量に使って、キラキラした映像が多くて中身がない場合がほとんどです。
そもそも、ベースにしているのは昔の物語だから、現代的なアレンジがないのです。
その分、映像には惜しまない投資をして、その勢いでごまかそうとするイメージがある。
本作はタイトルに大きく「空海」とあるので、多くの人は彼の活躍を期待するでしょう。
しかし、実際は謎解きの狂言回しという程度であり、ほとんどが他人の書いた記録から真実を知るだけとなります。
チャイニーズ版シャーロック・ホームズという感じだが、上記のように鋭い推理はほとんどなく、あくまで知っている人の証言や記録を探しているだけでした。
ファンタジーとしては物足りないし、推理モノとしても物足りないし、楊貴妃が絶世の美女にも感じなかったし、そもそも空海がずっとニヤニヤした表情も好きじゃない。
それにファンタジーだからと言って、当たり前のように妖術や幻術が出てくると、それだけで緊張感がなくなってしまう。
もう途中から「空海の映画を観ているんだ」と自己暗示しないと迷路に入りそうなぐらいワケが分からなくなってしまう。
しかも、本作は中国の映画業界で巨匠と呼ばれるチェン・カイコーが監督を務めているが、完全に独り善がりの自己満足になってしまっているように思いました。
映画としてつまらないし、映像も中身がないから記憶からすぐ消えるし、謎解きもなんちゃってレベルですし、楊貴妃に魅力を感じなかったなど、何一つ心に響く要素はなかった。
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