作品データ
公開年月 | 2017/05/19 |
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ジャンル | コメディ |
原作 | なし |
監督 | サケート・チョードリー |
脚本 | サケート・チョードリー、ジーナト・ラカーニー、ほか |
製作 | ディネーシュ・ヴィジャン、ブーシャン・クマール、ほか |
製作国 | インド |
鑑賞方法 | レンタルDVD |
あらすじ
デリーの下町で衣料品店を営む中流家庭の夫婦であるラージとミータ。
経済的には裕福だったが、ミータの目下の関心は娘のお受験であり、名門校に入学できるのは両親の教育水準や社会階級だと知る。
すぐに家族で高級住宅街へ引っ越し、お受験に臨むも全滅し、低所得者層の優先枠を設ける有名校があると知って入学を狙うのだった。
登場人物&出演者

代表作に『ダージリン急行』、『ジュラシック・ワールド』などがあります。
主人公。衣料品店「バトラ・ファッション・スタジオ」を経営している。経済的に富裕層と遜色ない。
下町で育った為に英語は苦手だが、娘を名門校へ行かせたい妻に押し切られて従っていた。
志望校にすべて落ちてしまい、妻に責められるが、RTE法で低所得者を装って合格を狙った。
貧困街でシャームたちの助けを受けて、娘が抽選で合格を果たして元の豪華な生活に戻る。
最後は良心の呵責に苛まれ、富裕層を優遇するグラマー校長にブチ切れて娘を転校させた。

代表作に『Manto』、『Lahore Se Aagey』などがあります。
ヒロイン。ラージの妻。昔からオシャレにこだわって、英語も少しできて、ステータスにこだわっている。
公立校で苦労した過去を娘に味わせたくない事から、夫に名門校へ行かせようと主張した。
コンサルタントの言う通りにプログラムをこなすが、志望校にすべて落ちて夫のせいにする。
RTE法に活路を見出し貧乏暮らしをする中で、助け合う事を知るも合格して元の生活に戻る。
最後は良心の呵責に苛まれた夫を止められず、急に心変わりして娘を公立校へ転校させた。

代表作に『Baby』、『War』などがあります。
ラージとミータの一人娘。非常に頭が良く、両親が望むようなポエムすら作れるほど優秀。
公立校よりも名門校へ通わせたい両親の期待に応え、コンサルタントのプログラムを突破。
RTE法の為にグラマー校の教師が調査に来る事に備えて、貧困街に引っ越して過ごしていた。
シャームの息子と仲良くなり、貧困街の子供たちとも打ち解けて楽しく遊んでいた。
最後は良心の呵責に苛まれた父親に決断で、名門校から公立校へ転校しても文句を言わない。

代表作に『Space MOMs』、『Skater Girl』などがあります。
シャームの妻。貧しい生活ながらたくましく生きていて、夫とともに息子を名門校に入れようとする。
破産した金持ちとして貧困街に来たバトラ夫妻を出迎えて、ミータに生きる術を教えていた。
自分の問題は自分で解決しないといけないルールを教え、役人には逆らうなと教えていた。
抽選で息子が外れてミータの娘が選ばれると、少ない金をかき集めて夫を彼らを祝った。
最後は学校の近くに引っ越すバトラ夫妻に、少ないながら数日分のお米を渡して見送った。

代表作に『デリー6』、『タイガー・バレット』などがあります。
日雇い労働者。何世代にも渡って貧困層として生きてきたが、RTE法で息子を名門校に入れようとする。
RTE法で娘をグラマー校に入学させたいラージたちがやって来ると、正体を知らずに助けた。
グラマー校の教師が調査にやって来ると、ラージが破産して仲間入りしたと本気で信じた。
息子は抽選で外れてラージの娘が選ばれると、入学金の為に体を張って金を手に入れていた。
最後はラージの正体を知って告発しようとするが、彼の娘を見て諦めて立ち去っていった。

代表作に『モンスーン・ウェディング』、『あなたの名前を呼べたなら』などがあります。
名門校に入学する為に様々な依頼人の子供に受かるプログラムを組み立て、合格させるノウハウを教えている。
バトラ夫妻がやって来ると、すでに時間が足りないとしてプログラムを細かく組んでいた。
下町出身であるラージの面接に問題があって、英語も微妙すぎてなんとか矯正させた。
願書を出した4校にすべて落ちたバトラ夫妻に中流校を紹介しようとするも断られてしまう。
最後は低所得者が名門校に受かるRTE法について説明し、ラージには覚悟が必要だと話した。

代表作に『ラジュー出世する』、『フライング・ジャット』などがあります。
名門校である「デリー・グラマー校」の女性校長。トップクラスの難関校として多くの富裕層が入りたがる。
元々は使用人の娘として名門校に入っていたが、そのせいで差別を受けて悲惨な人生を送る。
現在では校長として富裕層が頭を下げて頼む姿を見て、過去の自分が受けた差別をやり返す。
ラージが詐欺を正直に告白したが、貧乏人を代わりに入学するメリットがないと断った。
最後は大講堂でラージによって公立校のパフォーマンスを見せられ、保護者に弁明していた。
感想
[個人的な評価]
本作は『第63回フィルムフェア賞』で最優秀作品賞、最優秀主演男優賞を受賞しています。
インド映画歴代興行収入ではベスト20に入るほどの大ヒットをしている作品となります。
個人的なイメージとして、インド映画の大半は社会問題を取り上げる作品が非常に多いです。
本作に関してもインドの格差社会をテーマにしていて、富裕層と貧困層との違いによる教育環境を描いていました。
これはインドに限った事じゃないだろうが、学歴というのは親世代の経済状況によって大きく左右されます。
日本でも比較的裕福な家庭は良い大学に通わせられるが、ギリギリの生活をする家庭は高卒かFラン大学という現実があります。
例外があったとしても、大半は上記のような状況になるだろうし、本作でも主人公たちは中流家庭という位置づけです。
ただ、どう見ても富裕層にしか見えないので、タイトルには少し違和感がありました。
この作品には他に違和感が強かったが、最近はインド映画を鑑賞する機会が増えているが、インドの女性の立ち回りが気になります。
他に鑑賞した作品でもそうでしたが、富裕層のインド女性はなんだか悲劇のヒロインを気取っている印象がありました。
あれだけワガママを夫に押し付けておいて、状況が悪くなると自分は何も悪くないという立場を取ってしまう。
本作での主人公の妻はステータスにこだわるだけで、実際に夫や娘を振り回しているだけで彼らの気持ちを一切考えていない。
まだ夫は自分で意見を言えるけど、ステータスの道具となった娘は何も言わず、どんな気持ちで振り回されていたのか一切描かれていない。
多分、この作品では富裕層に対する皮肉を描いているだろうけど、それを体現する主人公たちに共感はまったくできなかった。
主人公たちはあくまで自分たちのステータスを気にしていて、多少は良心の呵責に苛まれて動いたようにしか見えない。
結局、根本的に主人公たちのステータスを優先的に考えるところが変わっていないように感じました。
日本に入ってくるインド映画のほとんどは高いレベルだが、本作に関しては皮肉を描きたい為に作っただけの上っ面な印象を受けました。
コメディでもシリアスでもない中途半端な立ち位置は、もしかするとタイトルを意味しているのかもしれない。
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