作品データ
あらすじ
最愛の妻に先立たれて以来、ずっと孤独な日々を送る男オットーは、偏屈で怒りっぽい性格ゆえに町内でもすっかり嫌われ者になっていた。
生きている意味を見いだせず、死ぬ事ばかりを考えていたある日、向かいの家にメキシコ出身のマリソルとその家族が引っ越してくる。
陽気なマリソルはとにかくお節介焼きで、不機嫌なオットーにも物怖じすることなく話しかけ、いつの間にか彼女のペースに巻き込まれてしまうのだった。
登場人物&出演者
・オットー・アンダーソン(演:トム・ハンクス)
近年の出演作に『ピノキオ』、『エルヴィス』などがあります。
主人公。長年連れ添おった妻に先立たている。普段から厳しい態度で近所とはあまり付き合いがない堅物。
生きる希望を失くし、妻の後を追う為に自殺を計画するもマリソルたちのせいで中止する。
死ぬ事が簡単じゃないと理解し、マリソルに過去の出来事を話して生きようと覚悟を決める。
アニータたちを助ける為に不動産会社を追い出し、近所から英雄として交流を深めていく。
最後は持病の心臓病によって亡くなるが、自分の物を友人たちに渡して妻の元へ旅立った。
・マリソル・メンデス(演:マリアナ・トレビーニョ)
代表作に『オーバーボード』、『ロドリゲスと来世』などがあります。
メキシコ出身の女性。夫と娘たちとアナハイムから引っ越してきた。現在は妊娠中でオットーの前の家を借りた。
運転が下手な夫を見ていられなかったオットーに助けられ、そこから積極的に交流を持つ。
オットーが自殺する度にタイミング良く現れ、彼の気難しさをあまり気にせずに会話した。
ようやくオットーの過去を知って一緒に悲しんで、アニータを助けたい彼に従っていた。
最後はオットーが心臓病で亡くなり、受け取った遺言から家具や車などをもらい感謝した。
・トミー・メンデス(演:マヌエル・ガルシア=ルルフォ)
代表作に『マグニフィセント・セブン』、『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』などがあります。
マリソルの夫。ITコンサルタント。元々はメキシコ出身のだったが、アナハイムに住んでいたが引っ越してきた。
運転が下手で駐車もできず、見ていられなかったオットーに助けられた事で交流が始まる。
何かとオットーに助けてもらい、ハシゴを借りるとソーニャのスロープを持ち出し怒られる。
ハシゴから落ちて足を折ってしまうが、妻とのデートにはオットーに子守を頼んでいた。
最後はオットーが心臓病で亡くなった事を発見し、彼の遺言に従って家具や車を譲り受けた。
・マルコム(演:マック・ベイダ)
代表作に『サマーキャンプ』、『The Alpha Test』などがあります。
オットーたちの家に毎日チラシ配りをしていた青年。実はトランスジェンダーで複数のバイトを掛け持ちしている。
チラシ配っていた事でオットーからゴミを撒き散らしていると言われ、仕方なく止める事に。
実はソーニャが先生で唯一トランスジェンダーだった自分を認めた人物として説明をした。
家を追い出されてオットーの家に泊まり、不動産会社を追い出す為にみんなと協力した。
最後はオットーから車のチェックを習うと、そのままもらってジミーと一緒に喜んでいた。
・ジミー(演:キャメロン・ブリットン)
代表作に『Camp Takota』、『蜘蛛の巣を払う女』などがあります。
オットーの近所の青年。健康の為に早朝のウォーキングを行っている。見回りするオットーに毎回挨拶する。
ソーニャが生きていた頃からオットーと交流を持っていて、他の近所とも親交を持っている。
雪が降って野良猫が死にそうとなって、飼おうとしたがアレルギーでオットーに譲った。
アニータを助ける為にオットーたちと協力して不動産会社を追い返し、みんなで喜んでいた。
最後はオットーから車を譲ったマルコムと喜び、彼の葬式にはメッセージをカメラに話した。
・アニータ(演:ジャニタ・ジェニングス)
代表作に『ミート・ザ・ブラウンズ』、『モーテル2』などがあります。
オットーを昔から知っている近所。夫が植物状態になって意識がなく、介護をするような日々を送っている。
一人息子が日本へ移住した事で長年に渡って疎遠で、不動産会社から家の売却を迫られる。
なぜか不動産会社に秘密としていたカルテが流れてしまい、そのせいで家を売る事になる。
ジミーから話しを聞いたオットーが気に食わず、友人の為に不動産会社の暴いて助かった。
最後は持病の心臓病で亡くなったオットーの葬式に出て、静かに彼の死を悲しんでいた。
・若い頃のオットー(演:トルーマン・ハンクス)
代表作に『この茫漠たる荒野で』などがあります。
陸軍の身体検査を受けるも持病のせいで却下された。故郷へ帰ろうとした時、ソーニャと運命的な出会いをする。
故郷へ帰る為に駅のホームに立つと、ソーニャが落とした本を届ける為に逆の電車に乗った。
駅員に間違った切符だと言われ、ソーニャから小銭をもらい25セント硬貨をお守りにした。
大学を卒業したと同時にソーニャにプロポーズをして、赤ん坊を授かるも事故で失った。
最後は下半身不随となったソーニャを思うもガンで亡くしてしまい、殻に閉じこもる事に。
・ソーニャ・アンダーソン(演:レイチェル・ケラー)
代表作に『月影の下で』などがあります。
オットーの妻。父親と会う日に駅のホームで大事な本を気づかず落とし、それを見たオットーが拾った。
電車まで追いかけたオットーから本をもらい、切符代の足りない分を小銭で渡していた。
今度はオットーが小銭を返そうと駅で再び会うと、食事に誘ってもらうにして恋人となった。
オットーが大学卒業とともにプロポーズを受けて結婚し、妊娠するも事故で失ってしまう。
最後は下半身不随ながら先生として働き、ガンで死亡するも生徒だったマルコムを助けた。
感想
[個人的な評価]
本作はフレドリック・バックマンの小説『幸せなひとりぼっち』を実写映画化しています。
この作品は『ワールド・ウォーZ』や『プーと大人になった僕』などで知られるマーク・フォースターが監督を務めています。
久しぶりにトム・ハンクスが主演の作品を鑑賞する事になりましたが、基本的に彼の作品にハズレがありません。
その期待を込めて鑑賞しましたが、さすがはトム・ハンクスというだけじゃなく、物語としても非常に良かったです。
自分の一部だった妻を亡くした堅物の男が自ら死を選ぼうとして、あらゆる要素が邪魔をして達成させる事を許さない。
主人公は絶望して生きる気力を失っているのに、周囲がそうさせない運命は皮肉であって彼の為でもあったと思います。
妻のいない世界に意味がないと思っていたからこそ、他人をバカだと考えていたせいで交流がほとんどなかった。
単なるガンコじじいになっていたが、人との出会いによって運命が大きく変わっているところに感動がありました。
決して主人公はいらない存在ではなく、彼だからこそできる事が次々と舞い降りてきた展開は王道ながら上手く演出していました。
堅物の主人公という意味では、ジャック・ニコルソンが主演した『恋愛小説家』に似ているが、本作の方は感動させる内容でした。
あのまま自殺が成功していたら、オットーにとっても結果的に悔いの残るような終わり方だったと思います。
目の前に陽気なメキシコ人が引っ越した事で運命が変わったが、それは亡き妻の思いが主人公の晩年を支えたかもしれない。
大きなモノを失ったから偏屈になったが、実は主人公は元々がお人好しでみんなを助けるだけの人物だと分かる素晴らしい良作でした。
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