作品データ
あらすじ
2020年、東京オリンピックが終了した日本の景気は恐ろしい速さで衰退していた。
金を持つ者だけが生き残り、金のない弱者は簡単に踏み潰され、身を寄せ合う事でなんとか生きていた世の中。
自堕落な生活を送っていたカイジは、帝愛グループ企業の一つを任される社長の大槻と出会うと、一攫千金を掴めるイベントを紹介されるのだった。
登場人物&出演者
・伊藤開司(演:藤原竜也)
近年の出演作に『人間失格/太宰治と3人の女たち』、『Diner/ダイナー』などがあります。
主人公。インフレ状態の日本で貧困に苦しむ。若者の救済イベントを見事に勝ち取った。
若者の救済イベントに誘われると、悪運で勝ち取り、魔法のキーカードに賭ける事になる。
東郷からのスカウトを受けて派遣会社で敵対した黒崎と対決し、ゲーム攻略をしていく。
黒崎を見事に打倒していくが、黒幕である高倉と相対して彼の得意なゲームに挑んでいった。
最後は裏工作で預金封鎖を阻止して報酬を得るが、結局は手助けした遠藤にすべて取られた。
・桐野加奈子(演:関水渚)
代表作に『町田くんの世界』、『コンフィデンスマンJP/プリンセス編』などがあります。
第2回大阪開催の救済イベントで勝利した女性。金は持っていないが前向きに明るい性格。
自分の事を「ラッキーガール」と主張して。不自然な決めポーズでカイジをイラつかせる。
カイジと同じく魔法のキーカードを手に入れると、東郷の預金封鎖を阻止する為に手伝う。
「ドリームジャンプ」に挑んだカイジに番号を伝えるべく、決めポーズで教えていた。
最後は遠藤との取引でカイジの報酬を騙し取り、自分の報酬を確保して立ち去った。
・廣瀬湊(演:新田真剣佑)
近年の出演作に『東京喰種/トーキョーグール【S】』、『十二人の死にたい子どもたち』などがあります。
東郷に仕える秘書の青年。ずっと無表情。東郷の代わりにカイジたちへ説明をしていた。
3年に渡って東郷の秘書を務めていて、誰も知らないような情報まで知っているという。
実は東郷が昔捨てた愛人の子供であり、長年に渡って復讐をしようと機会を伺っていた。
形見だった絵画が東郷の父親としての愛だと知ると、憎しみが解消してカイジに協力する。
最後はゲーム中に倒れて亡くなった父親の代わりに長生きしようとカイジに伝えて立ち去る。
・東郷滋(演:伊武雅刀)
近年の出演作に『麻雀放浪記2020』、『映画 少年たち』などがあります。
通称「不動産王」と呼ばれる人物。余命いくばくもない健康状態で日本の将来を嘆いている。
エリート層しか知らない「預金封鎖」のやり方に反対し、野心を持つカイジたちを集めた。
法案を通す政治家たちに賄賂を送って止める作戦で、カイジたちに増やす事を提案する。
秘書だった廣瀬が愛人の息子だった事を知り、長年に渡って探していたと告白した。
最後はゲームの途中で発作を起こしてしまうと、後事をカイジたちに任せて病院で亡くなる。
・遠藤凛子(演:天海祐希)
近年の出演作に『最高の人生の見つけ方』、『記憶にございません!』などがあります。
元帝愛グループの幹部。カイジから奪った金でエリート層として悠々自適に暮らしている。
たまたま来ていたギャンブル場で遊べず、金を増やそうとしたカイジたちのせいだと話した。
「ドリームジャンプ」の裏工作をカイジたちに教えるが、桐野にある取引を持ちかけた。
最後はカイジの報酬を桐野に奪わせ、ほとんど何もしないまま大金を得る事ができた。
・黒崎義裕(演:吉田鋼太郎)
近年の出演作に『劇場版 おっさんずラブ/LOVE or DEAD』、『劇場版 ファイナルファンタジーⅩⅣ/光のお父さん』などがあります。
良善興業の社長。通称「派遣王」と呼ばれ、日本で最大の派遣会社を経営している大富豪。
実際は帝愛グループに所属する会社の一つであり、以前は金融機関で働いていたという。
高倉と組んで総理大臣たちに「預金封鎖」を推し進め、邪魔する東郷の排除を企んでいた。
「最後の審判/人間秤」で裏工作をして有利に進めいていくが、カイジの攻略で逆転される。
最後は東郷側が見事に勝利してしまい、財産をすべて失って底辺の生活へ堕ちてしまう。
・高倉浩介(演:福士蒼汰)
近年の出演作に『ザ・ファブル』、『旅猫リポート』などがあります。
首相首席秘書官。元経産省の官僚。官僚たちの間で「ゴールドジャンケン」の接待で有名。
黒崎と結託して日本を再生するべく「預金封鎖」を打ち出し、総理大臣たちを説得した。
法案を阻止しようとする東郷やカイジたちの情報を掴み、彼らのゲームを黙って見ていた。
カイジたちがゲームに勝利する前に法案を通して、預金封鎖を実現させて勝利を確信した。
最後はカイジたちの裏工作で法案は取り消され、クズたちに負けた事実を認めて崩れ去った。
感想
[個人的な評価]
本作は福本伸行の漫画『賭博黙示録カイジ』の実写映画3作目となります。
今回は原作者である福本伸行がオリジナルストーリーとして脚本に参加しています。
素直な感想として「ヘタクソかよ」と「大声大会かよ」が真っ先に思い浮かびました。
それしか印象に残らないほど、本作は前2作と比べてゲームに対する心理戦がほとんどない。
まず、日本の運命を決める「最後の審判/人間秤」の攻略が酷くて、その為だけに用意された登場人物たちにガッカリしました。
以前は少ない手持ちのコマを使って、意外性のある攻略法を見出してきたが、今回は本当にその為だけに用意された人員の無意味さしか見えなかった。
それだけじゃなく、カイジとともに攻略していく主要人物たちも同じく役目だけで深みがまったくなかったのもガッカリです。
以前から大声で物事を主張する事はあったけど、本作でもみんながみんな大声を出して説明をしていくだけなんです。
漫画が原作となっているからリアリティは皆無なのは分かるけど、ただ大声で物事を主張して勢いだけでやろうとするところが見え見えすぎた。
だから大声で主張されてもそこに感情がまったくこもっていないという矛盾すら生まれて、途中から競っているのかと思ってしまう。
そして、大前提となるカイジというキャラクターの魅力である自分自身をギャンブルのコマにする犠牲がまったくないのです。
ゲームに負ける=カイジの破滅という構図だからこそ、背水の陣に立たされて奇跡の逆転をするから面白かったのです。
しかし、本作はゲームに負けると一般人が犠牲になるから、カイジの現状は特に変わるような感じはなくて本質的なところが違っていた。
本作でカイジが何をやっても彼に対するリスクがほとんど感じられず、逆に国民のヒーローに仕立てようとする展開も違うと感じてしまった。
とにかく、本作は本来の路線が大きく変えてしまっていて、原作が持っている魅力をすべて殺してしまっている気がします。
原作者の福本伸行が脚本に参加していますが、カメオ出演だけに留まって、余計な事をするべきじゃなかったです。
そもそも、福本伸行はやる気があったのかと疑いたくなるぐらい、ゲームや人間ドラマのクォリティが低かったと思います。
この作品はある意味、シリーズを終わらせるには相応しい出来であり、これで続編はないと諦めさせる説得力があったと感じました。
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