作品データ
あらすじ
1918年、テキサスの貧しい農場に暮らす純真無垢な娘のパールは、映画の中の華やかな踊り子に憧れるが、現実は厳格な母親に支配され、父親の介護と家畜の世話に追われる。
そんなある日、町で若い映写技師と出会い、これをきっかけにパールは外の世界への憧れがますます強くなっていく。
やがて、旅一座のオーディションがあると知り、参加したいという気持ちが抑えられなくなったパールは行動に出るのだった。
登場人物&出演者
・パール(演:ミア・ゴス)
近年の出演作に『X/エックス』、『家をめぐる3つの物語』などがあります。
主人公。テキサスの農場に暮らすドイツ移民の娘。夫は戦場にいる。母親に従い体が不自由な父親を介護する。
ダンサーになるのが夢だが、母親に阻止されている事から早く家を出たい気持ちが高まる。
ミッツィからオーディションの話しを聞いて、夢を膨らませるも母親が邪魔になり排除する。
オーディションで不合格となって関わった人間を殺害し、ミッツィすらも殺害してしまう。
最後は食卓に死んだ両親を並べ、戦争から帰ってきた夫を不自然な笑顔と涙で出迎えた。
・映写技師(演:デヴィッド・コレンスウェット)
代表作に『2つの人生が教えてくれること』、『スーパーマン:レガシー』などがあります。
町で映画を上映する若い青年。ほぼ住み込みのような形で映写室にいて、決まった家を持っていないという。
裏でパンフレットを見ていたパールに声をかけ、気に入るといつでも歓迎すると話していた。
オーディションを受けたいパールがやって来ると、ヨーロッパでの夢について共有をした。
母親に反対したパールが来て肉体関係となり、彼女を家へ送ると異変に気付いて恐怖を持つ。
最後は帰ろうとしてブチ切れたパールに殺され、車ごと湖に沈められワニに食われてしまう。
・ミッツィ(演:エマ・ジェンキンス=プーロ)
本作が長編映画デビュー作となります。
パールの夫が兄で義理の姉妹。実家は豚を養殖していて金持ち。パールと同じくダンサーを夢見ている。
兄が農家へ婿入りして、従軍までした状況を変に思っているが、パールの事は認めている。
パールの家にやって来ると、ダンサーのオーディションがあるとして一緒に行く約束をした。
オーディションの当日は緊張してパールを先に行かせたが、自分が合格するも黙っていた。
最後は豹変したパールから逃げるも追いつかれ、殺されるとワニのエサにされてしまう。
・パールの父親(演:マシュー・サンダーランド)
代表作に『デビルズ・ロック/ナチス極秘実験』、『ザ・ストレンジャー:見知らぬ男』などがあります。
体が不自由で車椅子生活を送っている。意識はあっても会話する力がなく、全面的に娘が面倒を見ている。
以前は妻が面倒を見ていたが、経済的に苦しくなって娘に介護されるが何も意見ができない。
娘がダンサーになりたいという夢を聞かされるが、答える事ができずに一方的に聞いていた。
妻と娘が目の前でケンカして大惨事になるが、何もする事ができずにその殺意に恐怖した。
最後は娘が夢を追う為に邪魔となって殺されるが、戻ってくると食卓に並ばされていた。
・ルース(演:タンディ・ライト)
代表作に『ブラックシープ』、『Out of the Blue』などがあります。
パールの母親。ドイツからの移民で周囲との軋轢を生じないように警戒している。収入が少なく娘に厳しくする。
家の絶対的な存在で娘の行動をすべて制限し、少ない収入とスペイン風邪の危機に直面する。
ずっと娘を監視しているが、彼女が持つ邪悪な心を見抜いていて外に出さないようにした。
オーディションの紙を見つけて行く事に反対してケンカになり、服に火が付いて倒れた。
最後は地下室に放り込まれ死亡すると、不合格となった娘に食卓へ夫とともに並べられた。
感想
[個人的な評価]
本作は同年に公開された『X/エックス』の前日譚で、すでに3作目となる『MaXXXine』が製作中となっています。
この作品は『サプライズ』や『V/H/S シンドローム』で知られるタイ・ウェストが監督と共同脚本を務めています。
続編であるが本作は前日譚となっていて、1作目で主人公を襲ったパールが若い頃の物語となっています。
あの異様な老女をミア・ゴスが二役で演じていたので、当然のように若い頃の彼女を演じる事になります。
どのようにしてパールが狂気に囚われていくか描いているけど、その気持ちは多くの人が理解できる部分があります。
誰もが有名人になりたい気持ちがあるし、認められたい気持ちもあるけど、現実は厳しく結局は普通の暮らしになってしまう。
主人公のパールも悲惨で退屈な人生から抜け出したくて、自分の才能を信じて必ず世界へ羽ばたけると信じている。
こういう夢を持つ人が多いけど、実際に叶えられるのはホンの一握りの人間であり、本当に選ばれた一部だけの特権となります。
そんなパールは信じて疑わなかった才能を真っ向から否定され、そこで一気に壊れていくところが見どころになると思います。
ただ、そこまで行くのが少し退屈な感じになっていて、ちょっと時間がかけすぎたように思いました。
パールが持っている狂気は小出しにしているが、もっと激しい動きがあった方が引きつけるだけのインパクトがあったと思います。
ただ悲惨な人生から出て華やかな世界に出たいと思った人間が、すべてを否定された時の暴走のギャップのインパクトはそれなりでした。
特にラストで見せたパールの狂気を表現する笑顔が最高の演技だと思ったが、そこまでの道のりが遠すぎたのは少し残念でした。
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