作品データ
あらすじ
カナダの看護婦ベッツィは、サトウキビ農園主のポール・ホランドの病気の妻ジェシカの看病をする為にセント・セバスチャン島へ旅立つ。
農園に到着したベッツィはジェシカの診察すると、生ける屍のような状態でインスリン・ショック療法を試しても効果がなかった。
そんな時、女中のアルマからブードゥー教の司祭が同様の症状の患者を治したと聞き、すぐに向かうとポールの母親だと知るのだった。
登場人物&出演者
・ベッツィ・カーネル(演:フランシス・ディー)
代表作に『巴里選手』、『黄昏の惑い』などがあります。
主人公。カナダ出身の看護婦。ハイチの砂糖農園を経営するポールの妻の看病をするべく、海を渡ってやって来た。
悲観的なポールになぜか惹かれていき、美しい妻であるジェシカを治したい気持ちを見せる。
ウェズリーやランド夫人たちとの関係を知っていき、ジェシカをどんな手段でも治したい。
エルマからブードゥーの話しを聞いて実行するが、ランド夫人から無理と言われて納得した。
最後はウェズリーとジェシカの死を知って、悲しむランド夫人と違いポールと見ていた。
・ポール・ホランド(演:トム・コンウェイ)
代表作に『ターザンの黄金』、『原潜vs.UFO/海底大作戦』などがあります。
セント・セバスチャン島の砂糖農園の主。イギリス育ちのアメリカ人。ベッツィが島に渡る時に同じ船に乗っていた。
悲観的な考え方でベッツィの考えを否定したが、島に到着して彼女の優しさに触れていく。
妻の状態を心配しながらベッツィの献身的な姿から、心が動いて彼女と恋仲となっていた。
危険な場所に連れて妻を治そうとするベッツィを知り、彼女の為に島を出るよう進言した。
最後は妻と弟が死体で漁師たちに運ばれると、悲しむ母親と違ってベッツィと見ていた。
・ウェズリー・ランド(演:ジェームズ・エリソン)
代表作に『平原児』、『ジェロニモ』などがあります。
ポールの異父兄弟の弟。兄は財力を持っていて、砂糖農園を手伝っている。人間性で勝負していると豪語する。
島に到着したベッツィと二人だけで食事をする時、家族構成について説明をして仕事に行く。
兄とは不仲でその原因がジェシカであり、彼女が正気だった頃はお互いに愛し合っていた。
ジェシカがブードゥーによって連れ出されようとして、止める兄たちに皮肉を言っていた。
最後は歩くジェシカを外に出して刺殺し、一緒に海で入水自殺を遂げて家に運ばれていった。
・ランド夫人(演:エディス・バレット)
代表作に『生きてる屍』、『夜のストレンジャー』などがあります。
ポールとウェズリーの母親。村にある診療所を経営している。診療所に住んでいて診察以外はなんでもやっている。
酔い潰れたウェズリーたちを見かけると、一緒にいたベッツィに挨拶をして家に同行をした。
ベッツィが診療所を訪れて歓迎して、ブードゥーについて聞かれると詳しい話しをしていた。
実はブードゥーの司祭で地元民たちを治す振りをするが、ジェシカは治させないと告白した。
最後はウェズリーとジェシカが遺体として家に連れて来られると、誰よりも悲しんでいた。
・ジェシカ・ホランド(演:クリスティン・ゴードン)
代表作に『Mission to Moscow』、『Of Human Bondage』などがあります。
ポールの美しい妻。心の病によって自分の意思がない夢遊病となっている。熱病が原因だと言われている。
島にやって来た初日に屋敷の塔へフラッと歩いて、無感情でベッツィに迫るような行動する。
正気だった頃はウェズリーと恋仲になっていて、夫とは不仲で二人で家出しようとした。
ベッツィの提案でショック療法を試すも効果なく、ブードゥーに頼るも意味がないと判明。
最後はブードゥーに導かれ外に出ると、追ったウェズリーに殺され、海から連れて来られた。
・マックスウェル先生(演:ジェームズ・ベル)
代表作に『白い肉体』、『噛む女』などがあります。
ジェシカの主治医。ジェシカが熱病で脊髄をやられ、ゾンビのような生ける屍になっていると診断している。
何も知らないベッツィと会うと、ジェシカの症状に回復の見込みがないとして説明していた。
ベッツィがショック療法を試すべきだと言われ、ポールを説得して実行するも失敗をした。
勝手に動き回るジェシカが行政官の耳に入り、ブードゥーの信者が危険として助言していた。
最後は行政官の決定として連れ出す事を説明し、ランド夫人がブードゥーと言うも論破した。
・エルマ(演:テレサ・ハリス)
代表作に『サンダーボルト』、『紅唇罪あり』などがあります。
ホランドの召使い。島にやって来たベッツィを歓迎する。妹が出産間近になっていて気にしている状態。
目覚めたベッツィの元に朝食を持ってくるが、拒まれても気持ちでやっていると押し通した。
無事に妹が赤ん坊が生まれてみんな喜んでいると、プレゼントをあげたベッツィに感謝する。
ジェシカと似た症状をブードゥーの司祭が治したとベッツィに話し、可能性があると説明。
最後はブードゥーの儀式が行っている場所を示して、無事にたどり着く手はずを整えていた。
感想
[個人的な評価]
本作はアイネズ・ウォレスの小説を原作にしたゾンビ映画となります。
この作品は『ブードゥリアン』という放題だったが、現在は原題を訳した『私はゾンビと歩いた!』になっています。
まさに戦前のゾンビ映画という王道のブードゥー教を使ったゾンビであり、現代のゾンビ映画とはまったく質が違います。
あくまで異国の文化という恐ろしさやミステリアスさを出していて、ゾンビというギミックを使っているだけとなっています。
この時代のゾンビ映画の特徴として、あくまで男女の愛憎劇や人間ドラマを中心にゾンビが少しだけスパイスとして使われています。
演劇のような過剰な演技が多い時代の中で、本作は最初から最後までずっと静かな展開として逆に新鮮と感じます。
ブードゥー教が存在する特徴として太鼓の音があるけど、本作はずっと流れているような印象を受けるぐらい効果的に使っています。
肝心のゾンビは怖さを象徴する長身痩躯の黒人が登場しているが、特殊メイクで目が飛び出したような不気味な姿をしています。
本作におけるホラーの要素を担っていますが、現代のゾンビと違って言葉による命令を受ければ襲う事も途中でやめて帰る事ができる。
もう一人のゾンビとして、農園の主の妻であり、まさに生ける屍という表現がピッタリで生きているけど死んでいるような状態です。
もちろん、生きているので体は腐敗しないし、人間を食べる事はなく、演じているクリスティーン・ゴードンの長身のスタイルが引き立てられています。
特に風が吹いてドレスが靡くシーンでは、彼女の長身と細さが美しいゾンビとして本作でもインパクトを残しています。
物語全体として状況を説明するシーンが多く、同じようなテンポだから途中で退屈になってしまうのが少し残念と言えます。
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