作品データ
あらすじ
パリに住む皮膚移植手術の権威ジェヌシュ博士には、自動車事故で顔に大火傷を負い娘のクリスチアヌがいて、彼女は仮面をつけて森の中の屋敷でひっそりと暮らしていた。
ジェヌシュ博士は若い娘を誘拐し、その顔の皮膚を娘に移植しようとしていた。
最初の皮膚移植手術は失敗してしまうが、二度目の手術は成功するが、日が経つにつれて皮膚が腐っていくのだった。
登場人物&出演者
・ジェヌシュ博士(演:ピエール・ブラッスール)
代表作に『戒厳令』、『真昼に分かつ』などがあります。
主人公。皮膚移植手術の権威。パリに移住して成功するが、娘の顔と妻を交通事故で失う。
娘のクリスチアヌが失踪してしまい、数日後に川で遺体として発見されるが偽装である。
犬を使って皮膚移植の研究をしていたが、娘の顔だけは何度も手術して失敗している。
二度目は成功するも結局は移植した顔が腐敗し、ポーレットの手術をしようとした。
最後は隠れる生活がイヤになったクリスチアヌの反乱で、解き放たれた犬に殺された。
・ルイズ(演:アリダ・ヴァリ)
代表作に『パラダイン夫人の恋』、『第三の男』があります。
ジェヌシュ博士の秘書。外国人と噂されている。実はジュネシュ博士の移植手術を受けた。
元々の顔は別人で皮膚移植に成功した少ない例だが、首の手術痕をネックレスで隠す。
ジュネシュ博士が娘の顔を取り戻すべく、クリスチアヌに近い若い娘たちを誘拐していた。
二度目の手術が失敗したとジュネシュ博士に言われ、クリスチアヌを励ましていた。
最後はポーレットを逃したクリスチアヌに喉を刺され、涙を浮かべながら死んでしまう。
・クリスチアヌ(演:エディット・スコブ)
代表作に『夏時間の庭』、『ホーリー・モーターズ』などがあります。
ジェネシェ博士の一人娘。過去に自動車事故で顔に大火傷を負い白い仮面をつけている。
父親の策略によって死亡した事になると知って、隠れる生活に絶望を抱いていた。
新たな顔を父親が移植手術でできると言われ、二度目は成功させて素顔を見せていた。
結局は手術が失敗して移植した顔が腐敗すると、精神的なショックが大きく受ける。
最後はポーレットを解放してルイズを殺害し、犬を解放して父親が殺されて去っていく。
・ジャック(演:フランソワ・ゲリン)
代表作に『Give Me My Chance』、『The Aristocrats』などがあります。
クリスチアヌの元婚約者。ジュネシュ博士と共同で皮膚の移植手術について研究していた。
失踪していたクリスチアヌが死体で見つかり、悲しみの中で葬儀に参加していた。
何度もかかってくる無言電話で、名前を呼ばれると、クリスチアヌの声だと感づく。
パロ刑事に相談してジュネシュ博士が若い娘をさらっている疑いを相談していた。
最後はポーレットが退院していた事が分かり、ジュネシュ博士の疑いが晴れていた。
・エドナ(演:ジュリエット・メニエル)
代表作に『いとこ同志』、『秘められた好奇心/テーブルの下の誘惑』などがあります。
友人と一緒にパリへ来ていた女子学生。パリで一人暮らしする為の部屋を探していた。
クリスチアヌの新しい顔としてルイズに狙われ、親切にされて屋敷まで行ってしまう。
気絶させられていると、その間にジュネシュ博士によって顔の皮膚を剥がされた。
最後は食事を持ってきたルイズを気絶させ、顔を失った事に絶望して飛び降り自殺した。
・ポーレット(演:ベアトリス・アルタリバ)
代表作に『黙って抱いて』、『勝負をつけろ』があります。
窃盗で捕まっていた若い女性。あまり害がないという事で警告だけを受けて帰った。
ジュネシュ博士が怪しいとジャックから相談され、再び呼び出されて協力させられる。
頭痛で病院に入院してジュネシュ博士の興味を引くが、そのまま退院させられた。
帰り道にルイズが送るとして車に乗るが、気絶させられて屋敷へ連れて行かれてしまう。
最後は手術の寸前に中断され、クリスチアヌによって解放されて生還を果たした。
・パロ刑事(演:アレクサンドル・リニョー)
代表作に『ドン・カミロ頑張る』、『パート2』があります。
若い女性が失踪している事件を担当する。ジュネシュ博士の娘を発見して呼び出した。
ジュネシュ博士が娘だと断定すると、他の失踪事件について調査を本格的にやる。
ジャックからジュネシュ博士が怪しいと言われ、ポーレットを使って囮捜査をする。
最後はポーレットが退院して問題ないと分かると、ジュネシュ博士の疑いが晴れた。
感想
[個人的な評価]
本作はジャン・ルドンの同名小説を原作にして、後年に演劇化もされています。
元々ジャン・ルドンは映画の脚本家で、この小説は彼にとって唯一の作品となります。
1960年代の作品というのはあまり鑑賞していないが、逆に新鮮な気持ちで臨む事ができた。
ストーリーとしては単純で分かりやすく、映像技術が発達していないのでグロテスクな描写はかなり少ないです。
今なら顔がなくなったヒロインのクリスチアヌをハッキリ出すが、さすがに当時はNGだったのかぼやけた感じでした。
ただ、唯一のグロテスクな描写として囚われた女性の顔の皮膚を手術で剥がすシーンは強烈だと思います。
しかしながら、物語が淡々としているので、全体的に迫力不足なのは否めないでしょう。
古典のホラー映画としてコアなファンを獲得していますが、現代においてはそこまで面白い作品だと言えません。
逆に言ってしまえば、アクの強さがないからホラー映画が苦手でも問題ないし、上映時間も90分を切っているから気楽に鑑賞できる。
現代でもしリメイクするならば、登場人物の個性がもっと強くなって、ストーリーももう少し複雑になるかもしれない。
あとは、なんと言っても顔をなくしたヒロインの被っている仮面が不気味だが、日本だと『犬神家の一族』のスケキヨを連想させるだろう。
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