作品データ
あらすじ
周囲から孤立した小さな島“猪狩島”に妻子とともに暮らす泉圭太は、営む農園で「黒イチジク」が評判を呼び、過疎に苦しむ島の復興に大きな期待が高まっていた。
そんなある日、怪しげな男が働き口を求めて島にやって来るが、圭太とその親友・田辺純、二人の後輩で島に赴任したばかりの新米警官・守屋真一郎らがもみ合って殺してしまう。
三人は島の未来の為に死体の隠蔽を決意し、ふらりと来た男の行方を気にする者はいないと圭太たちが思っていた矢先に彼を探す刑事たちがやって来るのだった。
登場人物&出演者
・泉圭太(演:藤原竜也)
近年の出演作に『鳩の撃退法』、『太陽は動かない』などがあります。
主人公。孤島“猪狩島”で家族と暮らす。農園で作った“黒イチジク”が評判を呼んで島の復興を期待される。
小御坂が娘に手を出したと思って問い詰め、純たちが来ると揉み合いで誤って殺してしまう。
真一郎の提案で隠蔽する事になって、島をどうしても守りたい事から主導して計画を立てる。
畠山に疑われる状況で純の提案で農園に死体を隠したが、メールでバレて逮捕されていた。
最後は面会に来た加奈から娘の絵を見せられ、純を信じるように言い渡して服役に戻った。
・田辺純(演:松山ケンイチ)
近年の出演作に『川っぺりムコリッタ』、『大河への道』などがあります。
圭太の友人。孤島“猪狩島”に暮らす青年。普段は害獣駆除の猟師として山に出かけて猪などを狩っていた。
圭太たち家族と非常に仲が良く、害獣駆除がない場合は農園の手伝いを積極的にやっていた。
小御坂を誤って殺してしまい、真一郎の提案でなかった事にしてみんなで隠蔽をしていく。
動揺する真一郎を励ますが、実はすべてを手に入れた圭太に嫉妬して彼に罪をすり替える。
最後は圭太が服役する中で加奈たちと一緒に暮らすが、畠山から正体を見破られていた。
・守屋真一郎(演:神木隆之介)
近年の出演作に『Dr.コトー診療所』、『GHOSTBOOK/おばけずかん』などがあります。
駐在員。圭太と純の後輩で孤島“猪狩島”に赴任した新米警官。元々は猪狩島で育っていている。
圭太と小御坂が揉み合っているところに来て、誤って殺した状況を見て隠蔽する事に賛同。
県警捜査一課から畠山たちがやって来ると、雑用的な立場で彼らと一緒に行動していた。
ウソをつく事が重荷なってしまい、純に相談すると死体を農園に移した事を知らずにいた。
最後は畠山が純の冷蔵庫を調べると知り、ウソはつけないとして自白して自殺を遂げた。
・泉加奈(演:黒木華)
近年の出演作に『余命10年』、『先生、私の隣に座っていただけませんか?』などがあります。
圭太の妻。中学生の頃に両親を海での事故で亡くしている。その時に圭太から励まされて結婚する事になる。
過疎化と高齢化で落ち込む島を復興させる救世主となった夫と寄り添うように農園を手伝う。
夫たちのせいで小御坂が死んだ事を知らず、まだ生きていると思っていて心配していた。
警察たちの存在で不安に駆られて島を出たいと夫に話すが、結局は説得されて残る事になる。
最後は夫が殺人で逮捕され、純が父親代わりをするが、それでも帰りを待つ宣言していた。
・横田庄吉(演:柄本明)
近年の出演作に『ある男』、『夜明けまでバス停で』などがあります。
猪狩島に住んでいる年寄り。もうボケが始まっている。自分のせいで猪を轢き殺しても罪の意識を持たず。
徘徊していると小屋に死体を運ぶ圭太と純を見かけ、猪と言われるもまったく信じなかった。
町長に解決してもらおうと死体の事を話すが、まさかの暴走で聞いていられず乱入した。
小屋を出ようとした町長にナタの一撃を与えるが、反撃でスタンガンを食らって倒れた。
最後は心臓発作を起こして死ぬ間際に圭太たちへ島の事を頼み、心不全として処理された。
・庄司華江(演:余貴美子)
近年の出演作に『犬も食わねどチャーリーは笑う』、『冬薔薇(ふゆそうび)』などがあります。
猪狩島の町長。過疎化と高齢化が進んでいた島で圭太の作る黒イチジクが評判になって復興材料にしようとする。
駐在員となった真一郎の歓迎会で地方創生推進特別交付金を説明し、5億円が入ると話した。
庄吉から圭太たちが死体を運んでいると知って、純の小屋に無理やり入って事実を確認した。
純にすべての罪をなすりつけ、自分が圭太の農園をもらうと提案して帰ろうとしていた。
最後は庄吉のナタを左肩に食らい、背後から純のシャベルで殺され、翌日漁船で見つかる。
・青木千尋(演:伊藤歩)
代表作に『GANTZ』シリーズ、『関ヶ原』などがあります。
県警捜査一課の女性刑事。行方不明となった小御坂と保護司を探すべく先輩刑事の畠山と捜索していた。
猪狩島までやって来ると、圭太たちに小御坂と保護司に心当たりはないか質問と説明をした。
保護司の死体が発見されると、犯人である小御坂が島内にいるとして所在を捜索していた。
庄吉の葬式にやって来るが、島民たちから批判を受けてしまい、畠山とともに立ち去った。
最後は圭太の犯行を示すメールから捜査員たちと農園を掘り、ビニールハウスで死体を発見。
・畠山努(演:永瀬正敏)
代表作に『息子』、『隠し剣/鬼の爪』などがあります。
県警捜査一課のベテラン刑事。保護司と小御坂が行方不明になった事で、捜査を担当して青木と居場所を探る。
圭太の農園が怪しいと考えて猪狩島まで来て、青木の質問を聞きながら状況を探っていた。
保護司の死体が発見して小御坂が野放しとなった事で、今度は殺人犯として探す事になった。
圭太と純を疑うような動きをして、真一郎を使ってDNAによる鑑定で追い詰めいようとする。
最後は圭太の犯行を示すメールから死体を発見し、すべては純が仕掛けた罠だと見抜いた。
・小御坂睦雄(演:渡辺大知)
代表作に『色即ぜねれいしょん』、『勝手にふるえてろ』などがあります。
少女暴行で有罪になった元受刑者。保護司に連れられ第二の人生をスタートさせる為に猪狩島までやって来た。
圭太の農園で働かせてもらう為に保護司が訪ねるが、留守だと分かって別の場所に向かう。
途中でベルトを使って保護司を絞殺し、徒歩で島内を歩いていると圭太の娘を見て発情した。
その後は農園のビニールハウスでエロ動画を見ていると、圭太が来て娘の居場所を聞かれた。
最後は純や真一郎たちが加わって揉み合いになり、倒されて石段に頭をぶつけて死亡した。
感想
[個人的な評価]
本作は筒井哲也の漫画『ノイズ【noise】』を実写映画化した作品となります。
この作品は『ナミヤ雑貨店の奇蹟』や『彼女』で知られる廣木隆一が監督を務めています。
ミスリードを前提に壮大な前フリを使っているパターンの作品で、ラストで裏切りについてのネタバレがされます。
それまで村社会のような閉鎖的な島の状況を描いていて、過疎化と高齢化で経済的な面で落ち込んでいく特有の流れとなっています。
これは決してフィクションの表現ではなく、日本各地に存在する限界集落が直面している問題も描いていると思います。
その中で起きた事故による殺人のタイミングが悪く、島の復興を期待される主人公が取った行動は決して悪意からではない。
ただ、それは自分の犯した罪をすり替えるような責任転嫁のように見えて、これを島の人間に分ける事で共犯者を増やして一体感を生み出そうとする。
この手法はカルト教団などに見られるようなモノで、共通の秘密を持った事で同じ志を得て裏切りを許さないような恐ろしい心理状況になっていると思います。
主人公が島を守る救世主だと思い込んだところから危険な思想になっていくが、それ以上に親友の方がヤバいと判明します。
更に町長がマトモと思ったら、こちらも島の発展の為なら犠牲は仕方ないとして暴走していくところにも恐ろしさがある。
つまり、この島は一見して平和のように見えて、実は裏で人間関係が絶妙なバランスで保っていて、崩れてしまうとあっという間に壊れるという状態になっています。
殺人で大きく流れが変わっていくが、その連鎖で死体が増えてしまっていくが、ここら辺が中途半端に終わってしまったと思う。
特に親友がこれを理由して主人公を罠にハメる展開となるが、あまりにもオマケみたいな感じで興味深いとは思えなかった。
どうせやるなら、もっと計画的な展開で主人公たちを完璧にハメて、気づくのは刑事一人だけにした方がワクワクするような構成になったと思いました。
やはり、漫画を邦画で実写映画化してしまうと、ちょっと微妙な感じになる典型と言えるような作品でした。
リンク
コメント