作品データ
あらすじ
王宮奪還を果たしてから半年後、隣国の魏が国境を越え秦へ侵攻を開始した。
秦軍の決戦の地・蛇甘平原で迎えつつ、天下の大将軍を目指す戦災孤児の若者・信は歩兵として初陣に臨む為に戦場へ向かう。
道中で同郷の尾平・尾到と再会した信は、頼りない伍長の澤圭と女戦士の羌瘣と組むが、彼らが戦場に到着した頃、戦の天才である呉慶将軍が率いる魏軍が圧倒していたのだった。
登場人物&出演者
・信(演:山崎賢人)
近年の出演作に『夏への扉/キミのいる未来へ』、『狂武蔵』などがあります。
主人公。下僕出身の若者。半年前に秦王の嬴政と山の民出身の河了貂、死王・楊端和と協力して王宮を奪還した。
嬴政への刺客をあっさりと倒すと、魏が侵攻した事を受けて蛇甘平原での初陣に向かった。
「伍」を作っていたが勝手に飛び出し、羌瘣と殿をして二人だけで逃げて話しを聞いていた。
縛虎申が宮元を討つ為に無茶な突撃を仕掛け、騎馬として参戦して見事に勝利を導いた。
最後は王騎からの言葉で将軍同士の戦いを見届け、修行が必要として新たな一歩を踏み出す。
・羌瘣(演:清野菜名)
代表作に『TOKYO TRIBE』、『今日から俺は!!劇場版』などがあります。
蛇甘平原の戦いに参戦した謎の女戦士。当初は誰にも声をかけず、余り者として信たちの「伍」に入った。
蛇甘平原での戦闘が始まっても涼しい顔で対応し、戦車部隊の登場で初めて策を提案した。
信とともに殿として逃げ延び、戦う意味について語り合って羌象の復讐だと説明していた。
尾平たちを逃す為に単独で殿を買って出て、なんとか彼らを生還させる為に力を使った。
最後は魏にいる敵を追うべく、戦場を後にしようとして信に呼び止められて再会を誓った。
・尾平(演:岡山天音)
代表作に『帝一の國』、『ポエトリーエンジェル』などがあります。
蛇甘平原の戦いに参戦した信と同郷の青年。尾倒の兄。出っ歯で槍を獲物にするも今回が初陣となっている。
一人で勢いに乗っていた信を見かけると、行方不明で死んでいたと思ったが再会して喜んだ。
澤圭を中心に「伍」を作るも信と羌瘣がいなくなり、尾到たちと仕方なく三人で応戦した。
縛虎申の突撃に参戦させられるが、逃げる為に羌瘣が殿をしたおかげで生還を果たした。
最後は将軍同士の激突を解説する王騎の話しを聞き、現場に向かった信を見送っていた。
・尾到(演:三浦貴大)
近年の出演作に『Winny』、『もっと超越したところへ。』などがあります。
蛇甘平原の戦いに参戦した信と同郷の青年。尾平の弟。兄より少しだけ体格がよく、今回が初陣となっている。
一人で叫んでいた信を見つけ、行方不明で死んだと思っていたが再会して兄とともに喜んだ。
「伍」を組んで初めての戦闘に挑んだが、先行した信と羌瘣がいなくなって三人で応戦した。
縛虎申の突撃になんとか付いていき、ケガした兄を羌瘣に助けるように頼んで一人で奮闘。
最後は将軍同士の激突を解説する王騎の話しを聞いていて、向かった信をみんなで見送った。
・澤圭(演:濱津隆之)
近年の出演作に『怪奇タクシー/風の夜道に気をつけろ!』、『世にも奇妙な物語’22/夏の特別編』などがあります。
蛇甘平原の戦いに参戦した伍長。頼りない見た目で「伍」を組む時にいつも余り者同士で組んでいた。
仕方なく信たちと「伍」を組んで挨拶するが、馴染まなかった羌瘣に自己紹介を促していた。
無茶な戦闘で歩兵が多く倒れる中で「伍」の基本で戦い、数少ない中でなんとか生き残る。
縛虎申の強引な突撃でも参戦して、信たちを先に行かせて数十人と残って応戦していた。
最後は将軍同士の激突を遠くから見ていて、近くまで向かった信を黙って見送っていた。
・壁(演:満島真之介)
近年の出演作に『アキラとあきら』、『ふたりのウルトラマン』などがあります。
蛇甘平原の戦いに参戦した千人将。半年前に嬴政の玉座を取り戻す戦いで活躍し、今回は千人将に任命されていた。
初陣を飾ろうとした信の前を通っていくと、久しぶりの再会を経てゆっくりと会話していた。
縛虎申が部隊を招集して戦闘を開始しようとして、無茶な提案に割って入って止めていた。
歩兵たちが全滅に近い状況になっても待機命令され、早く助けないといけないと焦っていた。
最後は突撃命令が出て戦場に赴いて、縛虎申が宮元を倒した状況を見て勝利に喜んでいた。
・縛虎申(演:渋川清彦)
代表作に『そして泥船はゆく』、『偶然と想像』などがあります。
麃公将軍配下の千人将。疲れてきた歩兵を休ませたい兵士を斬り伏せ、新参者の壁に注意されていた。
作戦通りに歩兵部隊を意味もなく突撃させ、劣勢になっても待機命令でじっと機会を待った。
信たちが戦車部隊の一部を倒し、反撃に転じたと知って騎馬隊を率いて宮元を目指していく。
丘の本陣を数騎だけで目指して弓矢を食らいながら、宮元を見事に討って戦況を変えていた。
最後は残ろうとする信に勇猛と無謀の違いを説明して、部下たちが見守る中で息を引き取る。
・河了貂(演:橋本環奈)
近年の出演作に『湯道』、『春に散る』などがあります。
山の民出身。半年前に嬴政の玉座を取り戻す戦いに参加し、吹き矢を手に入れて訓練を積んでいた。
嬴政を狙う刺客たちを信が倒していき、生き残っていた一人に吹き矢を使って救援していた。
魏軍が秦国へ侵攻する話しを聞いて、信がいよいよ初陣を飾る時に城へ残るように言われる。
伝令から歩兵部隊がほぼ全滅した事を聞いて、所属していた信の安否を嬴政と心配する。
最後は何もできなかった事を悔しく思い、信をサポートする為に軍師になる事を決意した。
・嬴政/漂(演:吉沢亮)
近年の出演作に『ファミリア』、『ブラックナイトパレード』などがあります。
秦国の若き王。半年前に王弟・成蟜に王宮を追われるが、信や河了貂、楊端和の力を借りて奪還している。
何者かが寄越した刺客の奇襲を受けるが、護衛として信がやって来てあっさりと倒していた。
続けて魏軍が秦国へ侵攻していると伝令を聞いて、昌文君たちにすぐ対処させようとした。
伝令から歩兵部隊がほぼ全滅した事を聞いて、河了貂とともに信の安否を心配していた。
最後は魏軍の勝利するが、刺客を寄越した呂不韋がやって来るも責められずに調査を任せる。
・麃公(演:豊川悦司)
近年の出演作に『仕掛人・藤枝梅安』シリーズ、『あちらにいる鬼』などがあります。
秦国の大将軍。主に辺境の地を主戦場としている。魏軍が秦国へ侵攻する際に昌文君の指示で迎撃する。
まだ軍が完全に集まっていない状態で戦闘を開始させ、圧倒的に不利な状況となっていく。
歩兵部隊が魏軍の戦車部隊によって壊滅させられ、信たちの動向を知って気にしていた。
縛虎申が宮元を討った事で戦況が大きく傾いて、呉慶将軍との直接対決の為に出陣した。
最後は信の加勢で呉慶将軍と一騎打ちで倒し、声をかけてきた王騎将軍と祝杯を上げる事に。
・王騎(演:大沢たかお)
近年の出演作に『妖怪大戦争/ガーディアンズ』、『AI崩壊』などがあります。
秦国の大将軍で「六大将軍」最後の一人。長らく戦場から離れていたが、勝手に軍を出して蛇甘平原に出た。
宮元を討って丘を奪取した信たちの前に現れ、縛虎申の残党に加勢を頼まれるが断っていた。
あくまで見晴らしの良い丘を求めていただけで、出撃の許可を取っていないという理由に。
麃公が本能で戦う将軍で、呉慶が知略で戦う将軍として観戦していた信たちに解説していた
最後は呉慶将軍を一刀両断で倒した麃公将軍に声をかけ、一緒に酒を飲むように強制された。
・宮元(演:高橋努)
代表作に『クローズZERO』シリーズ、『新解釈・三國志』などがあります。
魏国の将軍で呉慶将軍の副将を務める。知略を授けられて丘に陣取って、縛虎申の歩兵部隊と対峙していた。
歩兵部隊に無茶な突撃をさせる縛虎申を静観し、圧倒的な数で勝る事から余裕を持っていた。
信たちの思わぬ活躍で戦車部隊の一部が倒されるが、結果的に歩兵部隊をほぼ全滅させた。
反撃に転じた信たちの動きを知りながらも無視し、突撃する縛虎申に対して油断していた。
最後は本陣まで突撃した縛虎申を自ら手にかけるが、命をかけた彼の反撃で逆に倒された。
・呉慶(演:小澤征悦)
近年の出演作に『KAPPEI/カッペイ』、『水上のフライト』などがあります。
魏国の大将軍で「魏火龍七師」の一人。顔に独特のペイントを施し、長い白髪で主に知略で戦を仕掛ける。
秦国と隣接する城を一瞬で落とすが、麃公たちが来るとあっさり捨てて住民たちを抹殺した。
素早く蛇甘平原に軍を展開させ、丘に陣取って完璧な迎撃態勢となって麃公の軍を待った。
圧倒的に有利な戦況で進んでいき、副将の宮元が歩兵部隊を蹂躙するも倒されて形勢が傾く。
最後は丘を降りて陣を敷くと、突撃した麃公と一騎打ちを挑むも一刀両断されて死亡した。
感想
[個人的な評価]
本作は原泰久の同名漫画を実写映画化した続編となります。
この作品は『第35回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞』にて石原裕次郎賞、助演女優賞を受賞しています。
今回のメインとなるのは蛇甘平原での戦いで、主人公である信にとっても初陣を飾るエピソードとなります。
原作の方は何度も読み返すほど大好きな作品であり、どこまで切り取って再現していくのか注目していました。
日本における漫画の実写映画化では「るろうに剣心」が成功している部類だが、こちらも原作が大好きであるけど、個人的にはあまり評価していません。
どうしても原作に対する強い想いがあるせいで登場人物の再現度の低さ、キャラクターの変更についてかなり敏感になっています。
本作では主人公の信を演じる山崎賢人は相変わらず安定した演技で、前作からの吉沢亮と橋本環奈は出番が減ったものの悪くなかったです。
問題となるのは本作から新たに登場するキャラクターであり、蛇甘平原での戦闘シーンをどれだけ再現していくか気になっていました。
特に原作でも大人気のキャラクターである羌瘣の出来次第では、本作の成功か失敗を左右するぐらい重要なモノだと思っていました。
結果として、信の初陣で組む「伍」の仲間たちは非常によくできていて、本来のイメージを大事にしていたと思います。
そして、なんと言っても羌瘣を演じる清野菜名についてだが、原作ファンでも充分に満足できるぐらい成り切っていました。
ここが失敗すると作品としての質が大きく落ちてしまうが、重要な戦う意味をしっかりと理解していて、アクションについても及第点と言えるだろう。
本作はここが一番の盛り上がるポイントであり、もう一人の主人公とも言える羌瘣が大きく成長した作品として非常に良かったです。
ただ、蛇甘平原がメインとなる為に決着をつけないといけないが、ここら辺がちょっと蛇足になってしまったのは残念でした。
特に本作で不満を持ったのは麃公将軍を演じた豊川悦司で、野性的なイメージとまったく合っていないから最後まで違和感しかなかったです。
そのせいでラストの一騎打ちも大して盛り上がらず、ここら辺の詰めの甘さが出てしまい全体的に微妙な印象を残しました。
壮大な物語を映画化するのは非常に難しいし、魅力的なキャラクターが多いせいでまとまりにくいシリーズだと思います。
どこかで原作の面白さを失わず思い切った脚色をしないと、本作のように散漫な状態になってしまうと危惧があると感じさせる内容でした。
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