作品データ
あらすじ
突如発生したゾンビパンデミックから逃げたモティカは、ビジネスウーマンのヴェスナ、国民的女優のフランカ、スキンヘッドのマクスたちと出会う。
モティカたちはゾンビから逃れる為、クロアチアの国境地帯を目指すもマクスが噛まれ、ゾンビと人間のハーフになってしまう。
窮地の陥ったモティカたちはそれでも国境を目指していくと、4人はゾンビで国家を滅亡させる計画に巻き込まれていくのだった。
登場人物&出演者
・ミラノ・モティカ(演:クレシミル・ミキッチ)
代表作に『緑の丘のミステリー』、『グラウンド・デス』などがあります。
主人公。父親が世界的に有名な「クロアチア水」を発見し、それを政府に売って莫大な資産を手に入れている。
ゾンビに噛まれてもゾンビ化せず、逃げている間に病院へたどり着きフランカと出会った。
熱狂的な「フルヴォイカ」のファンで、フランカと会って興奮するも実物にガッカリした。
難民キャンプで治療薬を作るが、彼らが新セルビア人となって襲ってくると逃げ出した。
最後は人間爆弾から助かってしまうと、フランカとダルコたち手を繋いで笑顔で歩いていた。
・フランカ・アニック(演:フリスティーナ・ポポウィッチ)
代表作に『The Parade』、『鉄道運転士の花束』などがあります。
国民的女優で映画「フルヴォイカ」の主演で有名。シリーズとして4作目まで製作され、現在は5作目の撮影している。
映画とは違ってドラッグ漬けで過剰摂取したせいで死んだと思われ、病院に運ばれていた。
死体を取りに来たモティカに見つかって目を覚まし、状況が分からず説明を聞いて納得した。
難民キャンプまで来ると治療薬の可能性を訴えるも無視され、ダルコに任せて成功させた。
最後は新セルビア人から逃げて人間爆弾をかわし、モティカとダルコと楽しく歩いていた。
・マクス(演:ダド・チョシッチ)
代表作に『The Reaper』、『灼熱』などがあります。
病院に避難していたスキンヘッドの男。体にタトゥーを彫っていて、ゾンビに対して強い警戒心を持っていた。
モティカが噛まれても変化しない事に警戒するが、レミから治療薬の可能性を言われ止めた。
噛まれてゾンビ化するも一時的に治るが、実はセルビア人とのハーフで状態が入れ替わる。
セルビア人の血とブランデーの治療薬を飲むと、ゾンビ化が改善されるも目が赤くなる。
最後は新セルビア人と宣言して世界征服を宣言するが、人間爆弾により跡形もなく消滅した。
・ヴェスナ・ズドフス(演:ティハナ・ラゾヴィッチ)
代表作に『灼熱』、『アレクシ』などがあります。
赤毛のビジネスウーマン。マクスの車に轢かれたせいで病院で治療を受け、ゾンビのせいで出られずにいた。
病院を抜け出す時もトランクを離さず、実は衛星電話を持っていたが通じないと言い訳した。
その正体は「ユナイテッド・ウォーターズ」の社員で、ゾンビウイルスをバラ撒いた張本人。
正体がバレる前に難民キャンプを出るもゾンビに噛まれ、マクスから治療薬をもらっていた。
最後は新セルビア人になってモティカを追うが、人間爆弾を食らって肉体が消滅してしまう。
・レミ(演:ボジャン・ナボジェック)
代表作に『愛人のいる生活』、『サラエヴォの子供たち』などがあります。
病院に勤務する医者。病院へ入ろうとしたモティカに言われて、治療薬が作れる可能性を見て中に迎え入れた。
噛まれてもゾンビ化しないモティカの可能性を信じて、処分しようとしたマクスを説得した。
モティカの血で治療薬が作れると思ったが、連れてきた少女に同僚が噛まれてゲイを告白。
救急車で病院を救急車で抜け出して、同僚がゾンビ化して処分された事に悲しみを見せた。
最後はフランカに思い出と語っていたが、ゾンビ化したマクスの運転で斧が頭に刺さり死亡。
・イリーナ・ドラキュラ(演:マリーナ・レゼポヴィッチ)
代表作に『私に構わないで』、『鉱夫』などがあります。
「ドラキュラホテル」を経営するデアンの妻でセルビア人。主にキッチンで料理などを担当している。
敷地に入ってきたモティカたちと話す夫に割り込んで、銃口を向けるも客と分かり歓迎する。
モティカたちを部屋に案内して高い料金をもらい、ヴェスナのトランクの中身を探っていた。
ヴェスナが同志だと知って一緒にブランデーを飲んだが、ゾンビの襲撃でみんなで逃げ出す。
最後はブランデーを売るセルビア人にブチ切れ、銃撃戦の末に夫とともに銃弾の前に倒れた。
・デアン・ドラキュラ(演:ドゥサン・ブカン)
代表作に『ブラッドレイン/血塗られた第三帝国』、『ピーターラビット』などがあります。
「ドラキュラホテル」を経営しているセルビア人。セルビア人である事に誇りを持ち、隣人のクロアチア人に厳しい。
モティカたちがやって来ると、警戒しながら銃口を向けるが、金を払うと聞いて泊める事に。
地下の貯蔵庫でブランデーを製造していて、隣国のセルビア人に売って仲良くしていた。
ゾンビがホテルまで押し寄せてくると、どうする事もできず、みんなで国境まで逃げていた。
最後はブランデーを売るセルビア人にブチ切れ、お互いに銃撃して妻とともに死亡した。
・ダルコ(演:ティン・グレゴリック)
代表作に『Uzbuna na Zelenom Vrhu』などがあります。
世界連合軍が設営した難民キャンプに避難していた少年。テントを抜け出していろんな物を盗み出している。
フランカがフルヴォイカだと分かって救世主と信じて、師匠と名乗るモティカの頼みを聞く。
衛星電話とブランデーを持ってくると、フルヴォイカから感謝されて素直に喜んでいた。
マクスに治療薬を渡すも新セルビア人となって、モティカたちと難民キャンプから脱出した。
最後は人間爆弾がクロアチアに落とされるが、なんとか助かってモティカたちと歩いていた。
・リー将軍(演:セルゲイ・トリフノヴィッチ)
代表作に『セイヴァ』、『ラヴァーズ』などがあります。
世界連合軍の将軍。ゾンビ化したクロアチア人の治療薬を研究する一方、最終手段の為に待機していた。
世界に向けた記者会見で「人間爆弾」という発言をして、最悪の事態に備えていると説明。
実は「ユナイテッド・ウォーターズ」の飼い犬であり、彼らの指示があればどんな事もする。
治療薬でゾンビたちが新セルビア人になってしまい、止められないとして判断を下す事に。
最後は「ユナイテッド・ウォーターズ」の幹部たちとカウントダウンして人間爆弾を落とす。
・マイク(演:ドラジェン・クセク)
代表作に『Snivaj, zlato moje』、『Narodni heroj Ljiljan Vidic』などがあります。
「ユナイテッド・ウォーターズ」の最高幹部。世界で大人気となっている「クロアチア水」を売っている。
宇宙ステーションに会社が存在し、幹部の中でリーダー的な存在で交渉や指示を直接出す。
クロアチアにウイルスをバラ撒いたヴェスナと連絡を取り合い、彼女を助ける為の指示する。
助けが来ないヴェスナから治療薬があると脅迫され、将軍と連絡を取って証拠隠滅を指示。
最後は他の幹部とクロアチア水で乾杯しながら、クロアチアに人を消す爆弾を落として喜ぶ。
感想
[個人的な評価]
本作は珍しいクロアチア産のゾンビ映画となります。
この作品はプレドラグ・リチナにとって長編映画監督デビュー作となっています。
どうやらゾンビ映画であるけど、物語の根幹にあるのはバルカン半島での長い歴史に対する風刺を強く反映させています。
そうなってくると、まずはバルカン半島の歴史やクロアチア人とセルビア人との関係性を分かっていないと風刺の意味が分かりません。
当然ながら日本人なのでバルカン半島の紛争は聞いた事がある程度で、クロアチア人とセルビア人の違いもよく分からないような人間に歴史など分かるはずもないです。
つまり、本作はバルカン半島の歴史がベースにあって、それに対する皮肉にするネタを笑いにしているところに面白さがあると思います。
ただ、残念ながら何一つ元ネタが分からないから楽しむ事ができず、だからと言ってゾンビ映画としても微妙な印象でした。
何より本作で最も強く感じたのはテンポの悪さで、こういう軽いノリの作品はスムーズな流れが命なのに重要視していません。
テンポが悪いまま次々と登場人物を出していくので、更に悪くなって視点が飛び散ってしまい主人公たちの印象も薄くなってしまう。
ゾンビはあくまで表現を変えているだけで、実際はクロアチア人とセルビア人の間にある大きな問題を描写しているのだと思います。
上映時間が88分と決して長くはないですが、テンポと構成の悪さも相まって、2倍以上の長さに感じてしまいました。
終盤になっていくと設定が余計に複雑な感じにしている点でも、詰め込みすぎて悪い意味で軽いノリを失っていると思います。
当然ながら細部での展開や設定にもツッコミどころ満載であるけど、ゾンビメイクは一応頑張っているようなkな字でした。
そもそも、本作をゾンビ映画にした意味がよく分からず、ちゃんとしたゾンビ映画を観たいと思っていると痛い目に遭う作品でした。
リンク
コメント