作品データ
あらすじ
ある日の地震を境に町では子供たちの失踪事件が相次ぎ、一緒にいた子供が「大きなマスクを着けてハサミを持っていた女」だと証言した事から「口裂け女」の噂が広まる。
そんな中、町の小学校教師の山下は家庭に問題がある生徒・美佳を家まで送り届けるも口裂け女に連れ去られてしまう。
山下は美佳を助ける為に同僚の松崎と口裂け女について調査を開始するが、その一方でまたも子供の失踪事件が起きるのだった。
登場人物&出演者
・山下京子(演:佐藤江梨子)
代表作に『模倣犯』、『Diner/ダイナー』などがあります。
主人公。小学校の教師。夫と離婚して一人娘の親権も取られ、ほとんど会えない状態。
娘が夫に付いていくと言われて反射的に叩いてしまうが、過剰な愛情だと暴論を吐いた。
母親から虐待を受ける美佳が嫌いだというと、反射的に声を荒げるなど気性の荒さを露呈。
昇と口裂け女に囚われた美佳を見つけ出すが、あっさりと返り討ちに遭って気絶する。
最後は昇と美佳の母親に助けられ生還を果たすが、娘の前で口裂け女に変化してしまう。
・松崎昇(演:加藤清彦)
代表作に『今日から俺は!!』、『回路』などがあります。
京子と同期の教師。転任してきたばっかりの京子を気遣う言葉をかける。施設で育っている。
小さい頃に母親から虐待を受けていて、兄と姉も被害者だが、いつの間にか消えていた。
口裂け女の声が聞こえるとして京子とともに行方不明となった児童たちを探していく。
母親の亡霊が口裂け女の正体だと知って、小さい頃に住んでいた家に行って美佳を見つける。
最後は瀕死状態になりながらも、口裂け女を倒し、母親が言ったように首を切り落とし絶命。
・佐々木美佳(演:桑名里瑛)
代表作に『東京マリーゴールド』、『新宿スワン』などがあります。
真弓の娘。母親の問いに黙っていると、容赦ない言葉の暴力と最終的に鉄拳制裁をされる。
学校では殴られた痕を隠す為にマスクをしていたが、そのせいで志穂たちにからかわれる。
集団下校で最後になって京子と一緒にいたが、母親を嫌いだと言って逆に怒られてしまう。
口裂け女が現れると、抵抗している素振りを見せ、何もしない京子の前から誘拐された。
最後は囚われていた家に来た母親や昇の犠牲と、何もしない京子とともに生還を果たした。
・田村夏樹(演:桑江咲菜)
代表作に『携帯彼氏』、『珍遊記』などがあります。
美佳の同級生。口裂け女が小学生を誘拐した事件で朝礼の時、マスクする美佳を心配する。
口裂け女の噂で志穂たちのターゲットにされる美佳を助けるが、殴られたアザを見て引いた。
美佳が行方不明になると、彼女の父親とともにビラ配りをして協力を惜しまなかった。
誰もいない公園を歩いていたが、口裂け女の亡霊に取り憑かれた母親によって連れ去られる。
最後は口裂け女に口を挟みで裂かれ、用なしになって行方不明になった公園に戻された。
・中島志穂(演:紗綾)
代表作に『かにゴールキーパー』、『民暴』シリーズなどがあります。
美佳の同級生。仲良し三人組のリーダー格。噂になる口裂け女について三人で談笑していた。
マスク姿の美佳を見て口裂け女だと三人で嘲笑い、教室で強引に取るもアザを見て引いた。
美佳が行方不明になってしまうと、からかった事を反省して率先してビラ配りをする。
最後は通りかかった公園をフラフラ歩いていた夏樹を発見し、驚きながらも彼女を保護した。
・喜多正俊(演:川瀬裕斗)
本作が長編映画デビュー作となります。
美佳たちと同じ小学校に通っている男子児童。口裂け女のデータをノートに書き溜めて友達に話していた。
口裂け女が別の小学校の男子児童に連れ去れたニュースについて、全校集会で友達に説明。
家で口裂け女のニュースを見ていると、京子たちが来て連れ去れる寸前に助け出された。
口裂け女を倒したがマスクを付けた普通の主婦と分かり、京子たちにノートを渡していた。
最後は美佳の居場所を知っていると警察に聞かれ、知っている事をすべて教えていた。
・佐々木真弓(演:川合千春)
代表作に『くまちゃん』、『戦闘少女/血の鉄仮面伝説』などがあります。
美佳の母親。何も答えない美佳にイライラして、容赦なく言葉と鉄拳の暴力を振るっている。
口裂け女が復活する地震が発生すると、なぜか母性が働いて美佳を抱いて一緒にやり過ごす。
美佳が口裂け女に誘拐されたと知り、警察を頼るも手がかりがなくて疑問視していた。
独自に調査をして口裂け女の噂から居場所を突き止めると、警察の目を潜って向かっていく。
最後は美佳を庇って刺され、新たな口裂け女になるも昇に刺され、首を切り落とされて死亡。
・口裂け女/松崎タエコ(演:水野美紀)
近年の出演作に『スローな武士にしてくれ』、『おじいちゃん、死んじゃったって。』などがあります。
昇の母親。子迎山に子供三人を育てるシングルマザー。気管支の病気でずっと咳をしている。
咳が酷くなると子供たちに一方的な暴力を振るい、兄と姉を家の地下室に監禁して殺害する。
昇に暴走する前に殺すように話し、豹変し襲った拍子に口を切り裂かれ、腹を刺されて死亡。
なぜか亡霊となって母親たちに取り憑いて、子供を誘拐して家の地下室に監禁していた。
最後は昇により首を落とされて呪いが消えると思ったら、今度は京子が口裂け女になった。
感想
[個人的な評価]
本作は1979年の春から夏にかけて日本で広まった『口裂け女』の都市伝説が基になります。
翌年には続編が公開され、韓国では『名古屋殺人事件』のタイトルで公開され、2016年にはアメリカでリメイクされました。
有名な都市伝説と白石晃士監督のコラボならば、絶対に面白いだろうと期待したら、まさかの無難な作りにガッカリしました。
もっと尖った作品を期待したのですが、なぜか本作は誰でも鑑賞できるようなマイルドな内容になってしまいました。
多分、資金集めの際にスポンサーからの要望を聞くしかなく、白石晃士監督にとっても不本意な作品になったと思います。
『テケテケ』や『ひきこさん』のような低予算だけど、そこに魅力のあるチープさとバカらしさはあまりなかった。
スポンサーの要望に応えて真面目に作った結果、キレイな口裂け女の水野美紀、子役たちの低レベルな演技、主演二人の微妙な演技が逆に目立ちました。
覚えたセリフを述べるだけで必死な子役、説明口調のセリフばっかりの加藤晴彦、悲劇のヒロインになろうとなれなかった佐藤江梨子など、白石晃士監督の投げやりが伝わる。
何より水野美紀に口裂け女を演じさせたのは失敗で、決めゼリフの「ワタシキレイ?」は意図的にハッキリと言っていません。
なぜなら、本作のアレンジとして本当は「私を切って」となっていて、息子となる昇との関係性を現しています。
本作の特徴として登場する母親のほとんどが子供に暴力を振るい、それを「過剰な愛情」という暴論で片付けようとしていました。
そんな事よりもネタにできないぐらいつまらないし、口裂け女のルールも都合良くねじ曲げられて制限がほとんどなかった。
口裂け女に出会うと動けなくなるのは能力なのか、単純な演出なのか分からないが、一方的にほぼ無抵抗で傷つけられる時点でギャグじゃないかと思ってしまう。
どうにも本作は白石晃士監督にまったくやる気を感じず、スポンサーの要望に応えた最低限の作品になってしまったように思える。
やはり、白石晃士監督が持つ自由な発想を実現してこそ面白いのであって、このようなスポンサーの意向に沿った職業監督みたいな事はダメだと分かりました。
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