作品データ
あらすじ
10年ぶりに地元へ帰ってきた村崎十三は、小学生の頃、赤井トールから凄まじいイジメを受けた過去から復讐を果たす為に戻ってきた。
早速と赤井と同じ職場に入って機会を伺うも、十三は存在すら忘れられてしまい、またしてもイジメを受ける事になった。
しかし、十三の体内にはまったく別の人格で凶暴な“13号”が潜在し、赤井を殺す事で復讐を達成しようと徐々に凶暴性を増していくのだった。
登場人物&出演者
・村崎十三(演:小栗旬)
近年の出演作に『キングダム/大将軍の帰還』、『GTOリバイバル』などがあります。
主人公。小学生の頃にトールから壮絶なイジメを受けていた。そのせいで凶暴な人格を生み出している。
トール一家と同じアパートに引っ越して、同じ職場に入って復讐を考えるもイジメられる。
13号の勝手な行動を把握しておらず、戸惑いながら必死に抑えるも限界を迎えようとする。
トールの息子を好意で預かるも、13号の暴走を止められず監視した死神とともに殺害した。
最後は呼び出されたトールから謝罪の言葉を受け、13号が体から離れて元の人格に戻った。
・13号(演:中村獅童)
近年の出演作に『八犬伝』、『シネマ歌舞伎/唐茄子屋 不思議国之若旦那』などがあります。
10年前から十三の体内に宿る凶暴な人格。左の顔面は醜く焼けただれており、左目も白濁している。
十三の意識と関係なく勝手に動き回り、意図的にリミッターを外して怪力を発揮できる。
徐々に十三よりも表へ出るようになって、秘密を知った人間を次々と殺害をしていった。
ついにトールの息子を十三が預けた事で殺害し、彼を小学校まで呼び出して殺そうとした。
最後は息子を失ったトールが反省して、過去のイジメを認めて謝罪した事で閉じ込められた。
・関肇(演:石井智也)
代表作に『風の色』、『恋するふたり』などがあります。
十三やトールと同じ工務店で働いている。元々は漫画家志望であるが、生活の為に仕事をしている。
職場ではトールからイジメの対象にされるが、同じく気弱な十三に仲間意識を持っていた。
トールのせいでケガした十三を心配してアパートに来て、気持ちを共有して安心していた。
その時に13号の存在に気づいて、トールに話そうとするも聞いてもらえず無視された。
最後は現場に来た十三と話すも13号であり、秘密がバレた事によりその場で殺害された。
・死神(演:松本実)
代表作に『あずみ』、『ワイルド7』などがあります。
暴走族の総長。先代のトールを尊敬しており、今でも良き子分として何かと手伝っている。
実は以前から妻のぞみに片思いするも黙っていて、ずっとトール一家を見守っていた。
過去に単独で暴走族へ殴り込みして、トールにカッターで顔を切りつけられるも誇りにする。
トールとのぞみがデートする際に息子を預かろうとするが、十三の存在を知って監視する。
最後は子供を溺死させようとして止めるが、13号の圧倒的な怪力の前に返り討ちとなった。
・赤井のぞみ(演:吉村由美)
代表作に『犬と歩けば/チロリとタムラ』、『ヘブンズ・ドア』などがあります。
トールの妻。息子とともに三人家族で仲良く暮らしている。以前はレディースでトールと付き合っていた。
息子が生まれた事で更生して常識人となる一方、たまに暴走するトールを抑える役をする。
同じアパートに住んでいた十三に好印象を持っていて、息子とともに挨拶を交わしていた。
十三から映画のチケットをもらい、息子の世話を頼むも連れ去られた事でショックを受ける。
最後は13号によって息子を殺されてしまい、自分の責任だと考え精神的に壊れてしまった。
・赤井トール(演:新井浩文)
近年の出演作に『台風家族』、『散り椿』などがあります。
小学生の頃に十三をイジメていた同級生。2人の子分を引き連れ、十三の顔に塩酸をかけてケガさせている。
過去に暴走族の総長を務めるが、結婚して子供が生まれると生活する為に就職している。
現場では頼れる存在ながら気弱な従業員をイジメるが、十三が同級生だと覚えていなかった。
妻と映画へ行くも息子の面倒を十三が見ていると知って、部屋に入ると危険だと判断した。
最後は13号に呼び出されて息子の遺体と再会し、過去のイジメを謝罪して十三と和解した。
感想
[個人的な評価]
本作は井上三太による同名漫画の実写映画となります。
この作品は井上靖雄にとって長編映画監督デビュー作となっています。
元々は漫画が原作となるので、物語としてはかなりぶっ飛んでいるような内容だと言える。
主人公は過去のイジメから別の人格を作り上げて、更にイジメをした人間に強い憎しみを持つ狂気さと凶暴さを持っています。
完全に漫画的な設定であるが、本作において異様な雰囲気を醸し出している意味としてもインパクトがあります。
そんな狂気に満ちた凶暴性の人格を中村獅童が演じていますが、本当にヤバいと感じさせるだけの怪演だと言えます。
最初から正気じゃないと分かるような顔つきであり、常識やモラルに囚われない言動は常人とはかけ離れていました。
一方で気弱な青年である主人公を小栗旬が演じていますが、今と違って初々しいような印象が役柄に合っていました。
今の令和と違った昭和の雰囲気がまだ残る平成中期の作品として、当時の生々しさがなんだか印象に残りました。
主人公は意識的に凶暴な人格を抑えられず、勝手に出てきて悪さをしていくが、それがエスカレートしていく展開を淡々と描いています。
そこまで派手なシーンはないのですが、逆にリアリティへ寄せた演出によって独特な不気味さを生み出していると思います。
なんと言っても、中村獅童が最大のインパクトを生み出しているが、復讐相手となる新井浩文もかなりのハマり役だと言える。
そもそも、新井浩文は本物の犯罪者になってしまったので、それだけのリアリティがあるのは当然かもしれない。
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