作品データ
あらすじ
霧に包まれたロンドンの街で連続猟奇殺人事件が発生し、容疑者として四人の名前が挙がったが、その内の一人は別の事件で死亡していた。
事件を追う刑事のキルデアは、この人物が犯人であれば話しは早いと判断し、その容疑者の一人を殺害したという女の裁判に出向く。
しかし、裁判の過程を見守っていたキルデアは彼女の無実を確信すると、真犯人の解明に乗り出すのだった。
登場人物&出演者
・ジョン・キルデア警部補(演:ビル・ナイ)
近年の出演作に『ニューヨーク/親切なロシア料理店』、『名探偵ピカチュウ』などがあります。
主人公。ベテラン刑事。軽犯罪課から異動している。同性愛者の噂で出世コースから外れた。
ロバーツ警部補の代わりとしてゴーレム事件を担当する中、リジーの事件に関係性を見出す。
容疑者が残したメモを発見して、容疑者たちの筆跡を調べていくがすべてハズレとなる。
リジーからジョンがゴーレムだとハッキリさせて、その証拠である劇の脚本を手に入れた。
最後はリジーこそがゴーレムだと知って助けるのを辞めるが、結果的に彼女を有名にした。
・リジー/エリザベス・クリー(演:オリヴィア・クック)
代表作に『呪い襲い殺す』、『レディ・プレイヤー1』があります。
ヒロイン。大衆演劇の人気女優。元々は劣悪な環境で育ち、母の死で演劇場に就職した。
当初は雑用係をしていたが、喜劇の才能を認められて一躍演劇場の人気女優となっていく。
夫が服毒自殺するもアヴァリーンの証言で容疑者となるが、ゴーレム事件の解決に協力する。
夫を疑わない姿勢からキルデアが無実を証明すると言われ、一度は絞首刑が中止になる。
最後は切り裂きゴーレムだとキルデアが気付き、絞首刑にされるも最期まで演じ切った。
・ジョージ・フラッド(演:ダニエル・メイズ)
代表作に『ヴィクター・フランケンシュタイン』、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』などがあります。
キルデア刑事の捜査を補佐する警官。ジョン・クリーの事件でリジーを逮捕させた。
ゴーレム事件の担当となったキルデアと組むが、彼がゲイである噂を聞いて警戒していた。
リジーが夫を殺していないと考えるキルデアに従い、ゴーレム事件に必要な情報を集める。
ゴーレム事件を捜査する中で、キルデアがリジーを助けようとする行動に不信感を持った。
最後はキルデアがリジーの汚名を晴らす活躍した事を言い聞かせ、その後は関わらず。
・ダン・リーノ(演:ダグラス・ブース)
代表作に『ノア/約束の舟』、『高慢と偏見とゾンビ』などがあります。
人気俳優。リジーの師。容疑者の一人。大人気の大衆演劇でダントツの人気を誇る役者。
アンクルが連れて来たリジーを雑用係として雇い、彼女の持つ喜劇の才能を知って育てた。
リジーがジョンと結婚した事をよく思わず、アヴァリーンとの関係も快く思っていない。
キルデアの捜査で容疑者になるも外れ、リジーとアンクルにあった出来事を聞くように言う。
最後はリジーの人生を描いた劇を披露し、アヴァリーンが死んでも続行させて喝采を浴びた。
・ジョン・クリー(演:サム・リード)
代表作に『ヘッドハント』、『ベルファスト71』があります。
リジーの夫。記者で無名の劇作家。容疑者の一人。服毒自殺するも妻が容疑者になった。
ゴーレム事件の容疑者となり、毒殺したリジーから馴れ初めをキルデアにすべて話される。
いつまで経っても劇の脚本を一つも完成できないが、リジーの為になんとか書こうとした。
妻としての役割を果たさないリジーの代わりにアヴァリーンと満たすが、心が離れていく。
最後はリジーの正体を知ってしまい、何も言えないまま彼女によって毒殺される事になる。
・アヴァリーン・オルテガ(演:マリア・バルベルデ)
代表作に『エクソダス:神と王』、『ガルヴェストン』があります。
クリー家でメイドをしている。元女優でジョンの愛人。リジーを夫殺害の容疑者にする。
元々は大衆演劇で人気を博していた女優で、ジョンとは個人的な付き合いをしていた。
女優として今一つでリジーにジョンも取られたが、彼女の依頼で夫の情婦となっていた。
ジョンとリジーの状況を知っていて、彼女こそがゴーレムだと分かって報復しようとした。
最後はリジーの人生を描いた劇の主役をするが、絞首刑で安全装置が外れて本当に死ぬ。
・アンクル(演:エディ・マーサン)
代表作に『ハッピー・ゴー・ラッキー』、『シャーロック・ホームズ』シリーズなどがあります。
大衆演劇の支配人。金の管理を一人でこなし、役者たちに給料や食事を与えている。
演劇場が大衆に受けるようにサポートしていて、女性に対しても優しく接する紳士である。
実際はその正体は演劇場に所属する女優たちを部屋に誘い、ムチで打たれる事に快感を得る。
人気女優となったリジーも誘っていたが、実際は彼女の悪事をバラさない代わりに求めた。
最後は加齢による死とされたが、実は邪魔な存在になったときてリジーに殺されている。
感想
[個人的な評価]
本作は『トロント国際映画祭』にてプレミア上映されています。
更に『未体験ゾーンの映画たち2018』にて上映された作品となります。
19世紀末のロンドンを舞台にしていますが、この時代はなんだか魅力的な雰囲気がある。
それに薄暗い感じや当時の服装もまたオシャレで、どこか優雅なイメージがあります。
実際は当時のヨーロッパは不衛生極まりない状況で、そのせい伝染病が多かったという。
つまり、実際に住むにはかなり厳しい環境でイメージとは真逆の時代だったのです。
しかし、それも含めて魅力の一つだろうし、なんと言ってもミステリーが非常に合う。
本作では「切り裂きジャック」ならぬ「切り裂きゴーレム」の事件と、夫殺しの罪を着せられた人気女優の事件が同時進行していく。
主人公である事件を捜査するビル・ナイですが、ベテラン俳優らしく安定した立ち回りをしているが、決して出しゃばらないのがいい。
そこに悲劇のヒロインとも言うべきオリヴィア・クックがいい感じでバランスを取っている。
物語の大半はゴーレムの正体を追っていくところだが、容疑者となった者たちがその場面を再現するシーンはそれぞれ違っていて面白い。
同時に観ている側にも彼らへの疑いを持たせて、ラストで分かる真犯人のオチを効果的にしてくれていました。
一見して華やかな時代に見えますが、そこには貧困と男尊女卑が当たり前のようにある背景もしっかりと物語に組み込まれている。
単純な男女のもつれから発生した事件だと思ったら、もっと根深い事情がありました。
主人公が助けようとしたヒロインこそが真犯人であるが、そういう仕掛けに関してはそこまで物珍しいワケじゃない。
ただ、本作はヒロインの人生を振り返りながら判明していくので、もう一度確認の為に鑑賞させるだけの上手さがあると思います。
結局、これはサイコパスの物語であり、ヒロインが正体を暴かれて、今までの回想に彼女の殺しが入るとなかなかのインパクトがあり、サイコパス映画として悪くない作品でした。
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