作品データ
公開年月 | 2019/11/01 |
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ジャンル | SF/アクション |
原作 | なし |
監督 | ティム・ミラー |
脚本 | デヴィッド・S・ゴイヤー、ビリー・レイ、ほか |
製作 | ジェームズ・キャメロン、デヴィッド・エリソン |
製作国 | アメリカ |
鑑賞方法 | 購入Blu-ray |
あらすじ
メキシコ・シティの自動車工場で働く21歳の女性ダニーは、未来からやって来たターミネーター“REV-9”の襲撃を受けてしまう。
絶体絶命の窮地に強化型兵士のグレースが送り込まれ、更に伝説の女戦士サラ・コナーが駆けつけてREV-9を撃退する。
ダニーの命には人類の未来がかかっているとグレースに言われ、三人の前に旧型ターミネーターの“T-800”が姿を現すのだった。
登場人物&出演者
感想
[個人的な評価]
本作は『ターミネーター』シリーズ生誕35周年記念作品として、1991年公開の『ターミネーター2』の正統な続編となります。
これまで何本も『ターミネーター2』の続編として作られてきましたが、本作では原作者のジェームズ・キャメロンが製作として正式に参加しています。
何度も焼き直されたシリーズの3作目ですが、本作は残念ながら「ポリティカル・コレクトネス」の犠牲になりました。
通称「ポリコレ」は近年のハリウッドで急速に取り入れられた結果、あまりにも不自然で歪なキャストを生み出して作品の良さを台無しにしています。
まず、物語の中心人物であるダニエラが女性という点の配慮、次に白人だけじゃなく、ラテン系という点の配慮により求められている水準をクリアしています。
しかし、これに対する必然性がまったく感じられないし、ダニエラが将来残った人類を率いて機械を倒すほどの説得力がありません。
サラ・コナーが強い女性になったのは積み重ねがあるからであって、本作におけるダニエラが同じ運命をたどっても同じようにはならないと感じた。
ただ、危惧していたグレースという強化型兵士のキャラクターは意外にも良くて、終始に渡るダニエラを守るという一貫した目的を最後までやったのは素晴らしい。
悪役となるレヴ・ナインもポリコレの影響で白人じゃなくなって、なぜかダニエラたち意外とはフレンドリーな口調にされている。
T-1000は容姿を人間に化ける事ができても、中身は感情のない機械だとすぐに分かり、それがキャラクターの魅力に繋がっていると思います。
レヴ・ナインに人間みたいなユーモアを与えたのは過ちで、差別化を図ろうとしたけど、残念あがら完全に裏目に出ていると感じました。
そして、正統な続編として宣伝される要因となるサラ・コナー役のリンダ・ハミルトンと、T-800役のアーノルド・シュワルツェネッガーは期待を見事に裏切ってくれました。
サラ・コナーはリンダ・ハミルトンが演じる事で期待しましたが、冒頭でジョンが簡単に殺されてしまい、ダニエラたちと合流した理由もまた軽すぎた。
確かに女戦士としての強さはあるかもしれないが、相手がターミネーターや強化型兵士では単なる足手まといになっていました。
T-800がジョンを殺してから、家族を持ったカールという人間として暮らす設定にムリがありすぎてギャグかと思いました。
以前のターミネーターと違って、単なる気のいい爺さんになってしまい、そのせいでアクションから伝わる迫力が失せてしまいました。
どうしても本作は『ターミネーター2』がベースになっているせいで、同じような事を繰り返しているようにしか見えなかった。
しかも、過去になかった事にされた作品から良い要素だけを摘み取って、寄せ集めにした点でも目新しさがなかった。
このシリーズはコアなファンが多いせいでサービスをしているだろうけど、これはシリーズを鑑賞した事ない人の方が楽しめるかもしれない。
それぐらい過去作と似たような展開や設定が多く、その時点で上回るワケがなく、サラやT-800のムダ使いにも感じられてしまう。
まだ「3」や「ジェニシス」の方が新たな事をやろうとしているし、期待感を得られたが、本作は残念ながらそのような気持ちよりも矛盾の方が気になりました。
もう「正統な続編」という言葉は通じないし、今後は続編にしても、リブートにしても、シリーズとして終わったと感じさせる作品となりました。
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