作品データ
公開年月 | 2017/01/20 |
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ジャンル | ホラー/サスペンス |
原作 | なし |
監督 | M・ナイト・シャマラン |
脚本 | M・ナイト・シャマラン |
製作 | M・ナイト・シャマラン、ジェイソン・ブラム、ほか |
製作国 | アメリカ |
鑑賞方法 | レンタルDVD |
あらすじ
ケイシー、クレア、マルシアの女子高生3人は、友達の誕生パーティの帰り道に見ず知らずの男に拉致監禁されてしまう。
やがてカギのかかった薄暗い部屋に閉じ込められた3人の前に誘拐犯が女性の格好で現れる。
その後も潔癖症の青年や9歳の無邪気な少年など、現れる度に格好ばかりか性格まで変わってしまう誘拐犯は23人もの人格が宿っており、24番目の“ビースト”と呼ばれる人格も潜んでいたのだった。
登場人物&出演者
感想
[個人的な評価]
本作はM・ナイト・シャマランが監督、脚本、製作を務めた最新作となります。
M・ナイト・シャマラン監督と言えば、『シックス・センス』は大ヒットして一躍世界的に有名な人物となりました。
その後は『アンブレイカブル』、『サイン』などのサスペンスもヒットし、大物監督の仲間入りしています。
しかし、続く『ヴィレッジ』は不評を買い、『レディ・イン・ザ・ウォーター』はついに興行的に失敗して地位は失墜します。
近年は監督業からプロデューサー業に徹していたが、原点回帰となった『ヴィジット』は低予算ながら好評となりました。
そんなM・ナイト・シャマラン監督にとって本作も低予算映画となりますが、解離性同一性障害をテーマにした作品となります。
もちろん、本作はM・ナイト・シャマラン監督が得意とするサスペンス要素が組み込まれる。
解離性同一性障害はかつて“多重人格障害”と呼ばれていて、一人の人間に何人もの人格が宿る精神疾患の一つと言われています。
個人的にもかなり興味深い解離性障害だと思い、過去に調べて高い可能性を知っていました。
そんな個人的な考えをまさかM・ナイト・シャマラン監督が実写映画化したのは素晴らしい反面、先にやられてしまったという思いもあります。
とにかく、本作のカギを握っているのは解離性同一性障害を患うケヴィンを演じているジェームズ・マカヴォイだろう。
ただでさえマトモに一つの役を演じられない役者がいる中、本作でのジェームズ・マカヴォイは素晴らしい演技をしています。
服装だけじゃなく、表情や話し方などもまったくの別人を短い時間で演じ分けています。
特に潔癖症のデニス、女性のパトリシア、子供のヘドウィグ、そして、最後に登場したビーストとの違いはひと目ですぐに分かります。
同じ人間でありながら違った人格を持つキャラクターをジェームズ・マカヴォイは完璧に演じていると思います。
そんな圧倒的な存在感を持つ主人公に対して、ファイナルガールとなったケイシーを演じたアニヤ・テイラー=ジョイも負けていない。
どうしてもジェームズ・マカヴォイに注目されるが、アニヤ・テイラー=ジョイも過去に傷を持った女の子をきちんと演じている。
強さの中にある絶望的な現実を漂わせ、追い込まれて助かっても、そこにまた厳しい現状がある事を思わせる最後の表情も良かったです。
あとは精神科医のフレッチャーを演じたベティ・バックリーもいいバランスを保っています。
危険な一面を持ったケヴィンの人格たちに唯一踏み込める人物だったが、最後に存在を否定したビーストに倒されたのは残念でしたが。
本作はM・ナイト・シャマラン監督のセンスが再び光輝いていて、何よりラストに登場した『アンブレイカブル』のダンには正直痺れた。
M・ナイト・シャマラン監督はもうダメだと思っていたが、近年の原点回帰は素晴らしく、サスペンスにちょっとしたアメコミのテイストを加えたオリジナリティはさすがだと感じさせる作品でした。
欲を言えば、もっとケヴィンに宿る人格たちが観たかったし、もっと“動”の部分で感情を激しく揺さぶる場面があれば、緩急によってもっと楽しめたかもしれない。
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