作品データ
あらすじ
第二次世界大戦末期、ナチスの侵攻により焦土と化したフィランドを旅する老兵アアタミ・コルピと愛犬ウッコは、掘り当てた金塊を運ぶ途中で戦車隊に見つかる。
窮地に立たされたアアタミは所持するツルハシを使いながら、戦場に落ちている武器と知恵をフル活用してナチス戦車部隊に応戦する。
アアタミは絶体絶命の状況でも諦める事なく、多勢の敵を相手にも怯まない不屈の精神力で生き残りを賭けた死闘を繰り広げるのだった。
登場人物&出演者
・アアタミ・コルピ(演:ヨルマ・トンミラ)
代表作に『レア・エクスポーツ/囚われたサンタクロース』、『ビッグゲーム/大統領と少年ハンター』などがあります。
主人公。フィランドの老兵。愛犬と馬たちとラップランドで黄金を一人で探している。体中に傷を持つ。
ついに大量の黄金を地下から大量に発見すると、目的を果たして町へ持ち帰ろうとしていた。
道中に戦車部隊を率いるブルーノ大尉に遭遇するが、そのまま素通りして後方部隊と遭遇。
後方部隊を片付けるが、ブルーノ大尉たちの追撃から逃げるが地雷原で馬と黄金を失った。
その正体はフィンランド特殊部隊で、過去にソ連軍の侵攻で家族と家を失い復讐をしていた。
ブルーノ大尉たちに黄金の事をバレると、何度か襲撃に遭うもその度に兵士を倒していた。
愛犬に手榴弾を付けられ、すぐに取るも目の前で爆発して気絶し、縛り首にされるも死なず。
アイノに銃を渡して兵士たちを片付けさせ、飛行機で逃げたブルーノ大尉を追っていった。
最後はブルーノ大尉を爆弾の投下で倒し、飛行機が墜落しても生還して黄金を紙幣に変えた。
・アイノ(演:ミモサ・ヴィッラモ)
代表作に『サマー・ヴェンデッタ』、『アウロラ』などがあります。
ナチス・ドイツ軍の捕虜となったフィランド人女性の一人。ドイツ兵の慰安婦としてレイプされていた。
ブルーノ大尉たちがアアタミと遭遇すると、兵士が数人殺された事を聞いて期待を持った。
ナチス・ドイツ軍がアアタミに襲われない為に、もう一人の女性と前を歩かされていた。
縛り首になったはずのアアタミがまだ生きていると知り、ドイツ兵たちに向けて笑っていた。
アアタミが何者で恐ろしい存在である事を話すと、兵士たちがあっさりと処分されてしまう。
銃を持ってきたアアタミから受け取ると、運転手を倒して彼の合図で他の兵士を殺戮した。
アアタミを迎え撃ったヴォルフが命乞いすると、他の女性たちとやって来て彼を捕まえた。
最後はナチス・ドイツ軍の戦車とともに捕虜となったヴォルフをフィンランド軍に引き渡す。
・ヴォルフ(演:ジャック・ドゥーラン)
代表作に『セメタリー・ジャンクション』、『ロンドンゾンビ紀行』などがあります。
ナチス・ドイツ戦車部隊の兵士。捕虜にしたフィンランド人女性と楽しんだ後、アアタミを見かける。
射殺しようと狙撃銃を構えるが、後方部隊が片付けてくれるとしてブルーノ大尉が止めた。
銃声を聞いた事から引き返してみると、全員が殺された状態でブルーノ大尉が黄金を発見。
上官に事情を報告して、ノルウェーへ引き返す命令を受け取るもブルーノ大尉に従った。
川へ逃げたアアタミに銃撃するも当たらず、ブチ切れて重機関銃をぶっ放すも倒せずにいた。
愛犬を使ってアアタミを気絶させ、自前の縄を使って縛り首にしてブルーノ大尉と満足した。
アアタミの襲撃で他の兵士が殺され、ブルーノ大尉の命令で戦うもあっさりと負けてしまう。
最後はアアタミに殺されず、アイノたちがやって来て捕まりフィンランド兵の捕虜となった。
・ブルーノ中尉(演:アクセル・ヘニー)
近年の出演作に『ザ・トリップ』、『ドアマン』などがあります。
ナチス・ドイツ戦車部隊の将校。すれ違うアアタミを見かけるが、後方部隊に後始末を任せようとした。
後方部隊がアアタミによって全滅させられると、彼が黄金を持っている事を知って追う事に。
地雷原で馬を失ったアアタミが黄金を拾い集めてからヴォルフに射殺命令するも失敗する。
残されたドッグタグからアアタミが伝説の男だと知るが、黄金をどうしても欲しがって追う。
ナチス・ドイツ軍の敗北が決定的で、黄金で生き延びるチャンスとして部隊を駆り出した。
愛犬を使って手榴弾でアアタミを気絶させ、ヴォルフの縄で縛り首にして処刑を思い込んだ。
実はアアタミは死んでおらず部下たちが殺され、手配した飛行機に行くとシュルツを殺害。
最後は飛行機に乗り込んだアアタミと対決し、爆弾とともに地上へ落下して爆死を遂げた。
感想
[個人的な評価]
本作は世界で話題となったフィンランド産のアクション映画となります。
この作品は『レア・エクスポーツ/囚われたサンタクロース』で知られるヤルマリ・ヘランダーが監督と脚本を務めています。
非常に珍しいフィランドの戦争アクション映画となっていますが、独特な構成で非常に面白い作品だと感じました。
主人公のアアタミ・コルピは見つけた黄金を手に入れるが、道中にナチス・ドイツ軍に遭遇した事で物語が始まります。
まず、主人公であるアアタミ・コルピはほぼセリフを言わず、表情だけで魅せてくれるところが非常にいいと感じました。
多くを語らず行動で魅せる意味では強烈なインパクトを生み出していて、演じているヨルマ・トンミラは説得力を与えています。
さすがにサブタイトルとなる「不死身の男」に相応しいぐらい諦めが悪く、数で勝っているはずのドイツ兵が恐怖を覚えるぐらいという感じでした。
基本的に主人公のアアタミ・コルピは銃を使わず、ナイフとツルハシを巧みに使い、ドイツ兵たちを殺害していきます。
しかも、不死身の男と言っても普通にケガをするが、強引な方法で無理やり治療する姿もまた恐ろしさを与えます。
何より主人公から考えを反映するようなセリフがなく、あくまで第三者から語られるところに意味がありました。
どうしても主人公が自ら話してしまうと安っぽくなるが、本作のように第三者が認める点では説得力を増しています。
とても単純な動機で敵を倒していく主人公ですが、そこには徹底した信念があるからこそ納得してしまいます。
たまに本作のような複雑さを取り払った単純な作品があるけど、心理描写をほぼ語らない意味では難しいと思います。
そこを主人公の演技と、絶妙な間を用いた本作の上手さがしっかりと伝わっていて、フィンランド作品の存在感をしっかりと示した秀作だと思います。
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