【叫(さけび)】RE-3437

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作品データ

公開年月 2006/09/03
ジャンル ホラー
原作 なし
監督 黒沢清
脚本 黒沢清
製作 一瀬隆重
製作国 日本
鑑賞方法 レンタルDVD

あらすじ

連続殺人事件の捜査に当たる刑事の吉岡は、犯人を追っているはずの自分の影が揺れている事に気付いてしまう。
被害者の周辺に残る自分の痕跡、更には自らの記憶すらも自身の潔白を確信させてくれない。
苦悩を深めていた吉岡は、第一の殺人現場に舞い戻ってくると、そこで不気味な女の叫び声を耳にするのだった。

登場人物&出演者

吉岡登(演:役所広司)

近年に出演作に『バイプレイヤーズ/もしも100人の名脇役が映画を作ったら』、『すばらしき世界』などがあります。

主人公。刑事。湾岸近くの古びたアパートに住み、恋人の春江が時々来て一緒に過ごす。

殺人事件が起きて現場にやって来ると、見覚えのある状況に疑問を持って捜査をしていた。
被害者の女性と同じ服装の幽霊にまとわりつかれ、記憶にない殺人に頭を悩まされてしまう、
東京を離れようと春江を先に行かせるが、実は半年前に事件と同じように彼女を殺害した。
最後は春江の骨を拾い上げて、赤い服の女の骨も拾い、誰もいない街を一人歩いていた。

宮地徹(演:伊原剛志)

近年に出演作に『劇場版 シグナル/長期未解決事件捜査班』、『ある船頭の話』などがあります。

吉岡と組んでいる刑事。赤い服の女が溺死させられて、吉岡とともに事件を捜査していた。

同じように海水を使った殺人事件が発生すると、雑すぎるやり方に関連性を疑っていた。
また同じ手口で殺人事件が発生し、吉岡を疑うもすぐに容疑者が特定されて謝っていた。
何かに気付いている吉岡に事件を聞くもはぐらかされるが、当然納得せずに監視していた。
最後は吉岡のアパートに行くと、置いてあったタライを見て、赤い服の女に連れて行かれた。

高木(演:オダギリジョー)

近年に出演作に『懲戒免職』、『アジアの天使』があります。

精神科医。赤い服の女の幽霊が見えていた吉岡が相談に来るが、問題はないと診断を下した。

単なるストレスだと断定し、吉岡が主張した幽霊が内なる真実の声だと説明をつけていた。
若い警官が何かに怯えて診察に来ると、落ち着かせる為に鎮静剤を与えて大人しくさせる。
再び吉岡がやって来て赤い服の女が他の人間にも見えていると言われ、頭が混乱していた。
最後は吉岡の言葉をそれ以上聞かないように診察を強引に終わらせ、彼をそのまま帰した。

仁村春江(演:小西真奈美)

代表作に『阿弥陀堂だより』、『UDON』などがあります。

吉岡の恋人。別の場所に住んでいて、仕事もあって、吉岡とは定期的に会っているような状態。

結婚を考えていない吉岡とずっといるだけで充分てあり、なんでもない時間を過ごしている。
赤い服の女に付き纏われる吉岡が身の危険を感じると、遠くへ行くと誘われるも断った。
実は赤い服の女に取り憑かれた吉岡に半年前に殺害されるが、彼に恨みを持っていない。
最後は骨をカバンに入れられて、赤い服の女と一緒にされてしまい、何か叫んでいた。

赤い服の女(演:葉月里緒奈)

代表作に『パラサイト・イヴ』、『梟の城』などがあります。

海水に顔をつけられて溺死させられた被害者の女性。幽霊として吉岡の前に姿を現した。

自分を殺害したのは吉岡だと主張して、身に覚えのない彼を外堀から追い詰めていく。
被害者の女性が別人だと判明し、以前フェリーで通勤していた吉岡が見るアパートの住人。
誰にも認知してもらえず、フェリーに乗っていた人間に取り憑いて身内を殺害させていた。
最後は吉岡に認知されると許して、彼に骨を拾われるも他の人間をすべて消し去っていた。

感想

[個人的な評価]

評価 :3/5。

本作は『ヴェネツィア国際映画祭』など各国の映画祭で上映された作品となります。
黒沢清監督の描き出すホラー映画というのは、独特な世界観があってハマる人はハマる。
個人的には表現しようとしている世界観は理解できるが、娯楽作としては面白くない。
そういうイメージを持っていて、あくまで玄人が楽しめる作品を作る人だと思っています。
そんな本作はまさに黒沢清監督ワールド全開で、ほとんど説明がないまま勝手に物語が進む。
観ている側が理解しようがしまいが、関係なくやりたい事をやっている印象がありました。
主人公が事件の犯人だと思えば違っていて、そこに謎の幽霊の女が出て、余計にワケが分からなくなってしまう。
ようやくラストで大体の事が判明していくが、最初からすべてを説明するつもりがない潔さは黒沢清監督だからでしょう。
それと、黒沢清監督といえば、余計な演出をせず、特殊効果も最低限だけで表現する演出は健在でした。
特にBGMを一切使わないシーンで、より登場人物たちの心理状態が伝わってきます。
決して気楽に鑑賞できる作品ではないし、テンポや構成が上手いワケじゃないが、独特のスタイルを貫き通すところは黒沢清監督だから許されている部分がありました。
常連である役所広司はさすがと言えるが、物語の中核を担った赤い服の女を演じた葉月里緒奈の使い方が非常にインパクトがありました。
ただ、ラストの意味不明な主人公の相棒を消すシーンの意味がまったく分からない。

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