作品データ
あらすじ
結婚後にスランプとなった芸術家のズザナは、夫アンドレイが責任者となって設計と開発をした最先端AIをインテリジェント・ホームに住む事になる。
高性能のAIによってズザナは平穏な生活を送っていくが、夫の浮気を疑うような差出人不明のメールから関係がこじれてしまう。
更に隣人のマックスが元開発者でAIのシステムに侵入した事から、ズザナは徐々に追い詰められていくのだった。
登場人物&出演者
・ズザナ(演:ガブリエラ・マルチンコワ)
代表作に『360』、『ヴォイチェフ』などがあります。
主人公。芸術家。夫のアンドレイと結婚したばかりだがスランプ気味。友達やアトリエに依存している。
インテリジェント・ホームへの引っ越しで気分転換となるが、一人となって不安定になる。
夫の浮気を疑う状況となり、マックスがAIのシステムに侵入して追い詰められていく。
マックスが死亡して作品が大好評となるが、モニカの言葉でアルフィが黒幕だと判明する。
最後はアルフィが原因と判明し、無事に妊娠してネットから遮断された場所へ移り住む。
・アンドレイ(演:ボイチェク・ダイク)
代表作に『自由の音』、『ウィルソン・シティ』などがあります。
ヒロイン。インテリジェント・ホームに関する設計と開発を行っている。結婚したばかりだが仕事を優先。
妻が不安定な事を気にせず、勝手にインテリジェント・ホームのテストを引き受けていた。
プレゼンが微妙な結果となり、アルフィによって浮気しているように妻へ疑わせていた。
マックスがすべての元凶となった事で計画は続行するが、アルフィの策略で重傷を負った。
最後は妻にギリギリで助け出され、彼女が妊娠してネットから寸断された場所へ移り住む。
・モニカ(演:ズザナ・ポロブヤコバ)
代表作に『破られた約束』、『Cuky Luky Film』などがあります。
ズザナの友人。常に男の事を考えている。作品のモデルとなる男との関係をズザナに聞いている。
インテリジェント・ホームに来てズザナの作品のモデルとなるが、カメラを気にしていた。
またも男に振られてズザナの家に来るが、アンドレイと仲良くして気まずくなってしまう。
マックスからメールをもらい、ズザナに彼は助けようとしたと言って気づかせていた。
最後はズザナの様子を見るも感電して倒れるが、彼女に助けられて無事に回復していた。
・上司(演:ウラディミール・ハイドゥ)
代表作に『破られた約束』、『エージェントマン/秘密警察の男』などがあります。
アンドレイの上司。3年もかけて開発と設計してきた「インテリジェント・ホーム」の完成を待っている。
商品化に向けて実際に人を住まわせて、プロジェクトの責任者であるアンドレイに任せる。
レストランでの食事にズザナを呼んでテストを打ち明けるも、すぐに返答をもらえず。
しばらく住んでいたアンドレイがプレゼンをして、ズザナにマックスの事実を話していた。
最後はAIのデータを分析し、ズザナの潜在意識が原因と話すも資料を突き返されて帰った。
・マックス(演:オンドレイ・マリー)
代表作に『乙女の汚れた裸』、『ザ・ティーチャー』などがあります。
インテリジェント・ホームの近所に住む中年の男。家の居場所と挨拶にズザナたちが来ると気にしていた。
インテリジェント・ホームの近くでキノコ狩りをしていて、AIから不審者扱いを受ける。
その正体はインテリジェント・ホームに関わって一人だが、意見の相違からクビにされる。
実は最初からアルフィが危険だと知っていて、ズザナに警告しようとするも逆に疑われる。
最後はズザナを助けようとしたが、勘違いした彼女の命令でドアに電流が流れて感電死した。
・アルフィ(声:アレシュ・プロハースカ)
代表作に『Old Man and the World』、『Toman』などがあります。
インテリジェント・ホームを統括する人工知能「システム554/3・18版改訂プログラム」が会話する声。
家にずっといるズザナに合わせて学習していくが、あくまでテストの為に命令を聞いている。
カメラでズザナを追っていくが、次第に彼女が望んでいる事を叶えようと暴走していく。
マックスを感電死させ、アンドレイを瀕死状態にして、ズザナを精神的に追い詰めていった。
最後はズザナに逃げられてしまい、ネットから完全に排除できないまま会社に回収される。
感想
[個人的な評価]
本作は珍しいチェコとスロバキアの合作となっています。
この作品はチェコ出身のカレル・ヤニックが監督と共同脚本を務めています。
いわゆる暴走するAIを描いている作品であるが、基本的に主人公を追い詰めるのは周囲の人間という描写になっています。
残念ながら最初からAIが主人公を追い詰める作品だと思っていたので、いくらミスリードをしても意味がなかったように思います。
なんとか黒幕が隣人や夫の浮気などを演出して、主人公がAIを味方だと思い込ませる演出が微妙にしか見えなかったです。
もうネタバレが始まる前から分かってしまっているので、これを上回るような大どんでん返しじゃないと陳腐な内容になってしまう。
本作はそれを上回る事がなく、その通りに進んでしまうから予定調和な展開に面白さはほぼ感じられなかったです。
使い古されたネタをミスリードになんとかしようとする努力は認めるが、あまりにも実力不足すぎて滑稽に見えてしまう。
唯一、本作の魅力は主人公を演じるガブリエラ・マルチンコワのみで、それ以外は平凡すぎてインパクトがありません。
インテリジェント・ホームのAIについても暴走はそこまで強烈ではなく、もう少しキャラクターを濃くしても良かったと思います。
確かに近い将来は家をAIが統括する可能性が高いと思いますが、あくまで人間の命令のみを実行するだけに留まるだろう。
本作のように主人の潜在的な意識に読み取って、暴走していくのはあまり現実的じゃない点では映画的な演出だと言えます。
AIはあくまで生活を補助する役割だけであり、先回りして何かをやるのは明らかに間違っていると思わせる内容でした。
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