【記憶にございません!】VD-454

スポンサーリンク
か行

作品データ

公開年月 2019/09/13
ジャンル コメディ
原作 なし
監督 三谷幸喜
脚本 三谷幸喜
製作 石原隆、市川南
製作国 日本
鑑賞方法 動画配信サービス

あらすじ

内国総理大臣の黒田啓介は、史上最悪のダメ総理と揶揄されるほど国民から嫌われていた。
ある日、演説中に聴衆から飛んできた石が頭に当たり、病院送りにされると、ベッドの上で目覚めた黒田は記憶を失っていた。
秘書官の三人はこのままでは国政が大混乱になると危惧し、黒田の記憶喪失を隠すが、彼は普通のおじさんような言動で周囲を困惑させるのだった。

登場人物&出演者

黒田啓介(演:中井貴一)

近年の出演作に『嘘八百/京町ロワイヤル』、『空母いぶき』などがあります。

主人公。第127代内閣総理大臣。暴言や失言により、憲政史上最悪の2.3%の支持率を記録。

大工の南条の投げた石が頭に当たり、記憶喪失になるも、井坂の判断で続行させる。
自分の悪評を聞いて戸惑い辞職を考えるが、番場の説得を受けて恩師から政治を教わる。
井坂を筆頭に側近たちの力を借りながら、善い政治を取り戻そうと奮闘していく。
最後は鶴丸を失脚させ、微増した支持率で周囲の人の信頼を取り戻して政治を続ける。

井坂(演:ディーン・フジオカ)

近年の出演作に『エンジェルサイン』、『空飛ぶタイヤ』などがあります。

首相秘書官。総理から信頼され、政治の細かい雑務や私生活のゴタゴタを任される。

総理が記憶喪失になると、独断で事実を隠して続行させるが、内心では無能と考える。
政治家を目指したが、実力不足で辞めて、総理の威光を使ってやりたい放題と話す。
総理が政治を変えると提案され、本当に実行した事から全力で支えようと覚悟する。
最後は不倫で足を引っ張るが、辞表を止められ、心の底から総理を助ける事になる。

番場のぞみ(演:小池栄子)

代表作に『パコと魔法の絵本』、『八日目の蝉』などがあります。

事務秘書官。総理のスケジュールを管理し、先の予定を伝える。聡子の管理もしている。

井坂の独断で記憶喪失になった総理を支えていき、辞職したい彼を思い留まらせる。
誰よりも記憶喪失になった新たな総理を影から支えていき、一緒に政治の勉強をする。
総理が政治を変えようと宣言した時、最初に賛同して井坂の説得もしていた。
最後は鶴丸を失脚させ、聡子の不倫がバレると匿っていて、総理の元へ送って行った。

黒田聡子(演:石田ゆり子)

代表作に『悲しい色やねん』、『解夏』があります。

啓介の妻。冷たい啓介とは心が離れている。秘書官の井坂と不倫して心の隙間を埋める。

表面上では啓介を心配していたが、急に馴れ馴れしくなった彼の行動に戦慄を覚える。
啓介が記憶喪失になっている事を知らず、態度が急変したせいで恐怖を覚えていた。
鶴丸の策略で井坂との不倫がマスコミにバレると、一人旅に行くも番場か引き止める。
最後は国会答弁で啓介の謝罪と告白を受けて冷めた気持ちが再燃し、愛が復活した。

黒田篤彦(演:濱田龍臣)

代表作に『必殺剣/鳥刺し』、『映画 怪物くん』などがあります。

啓介の一人息子。両親が不仲だと分かっていて、マトモに会話せずニートのような状態。

父親に迷惑をかける為にワザと警察のお世話のなるが、揉み消されて何も言わずにいた。
家族での食事に誘われるが、マトモに名前すら呼んでもらえなくてガッカリしていた。
更に父親が尊敬できて、政治家になりたいと小学校の時に作文で書けなかったと告白。
最後は国会答弁での熱い言葉を聞いた事で父親を認め、将来は総理大臣になると話した。

寿賀(演:斉藤由貴)

代表作に『雪の断章/情熱』、『三度目の殺人』などがあります。

首相官邸の料理人。ギスギスした黒田一家を気にせず、マイペースな感じで仕事をする。

記憶喪失になった啓介に妻と間違えられると困惑し、すぐにいつものヤツを用意した。
アメリカ大統領に手料理を振る舞う約束した総理の代わりに、予定を諦めて手伝った。
不倫報道で外に出られない聡子たちに、長年働く知識から隠し通路を教えてあげた。
最後は番場の指示で外に出て車を回し、聡子を国会にいた総理の元へ送ってあげた。

野々宮万作(演:迫田孝也)

代表作に『ザ・マジックアワー』、『清州会議』などがあります。

秘書官補。記憶喪失になった総理を見て、面白半分でその姿を見て笑っていた。

総理に石を投げつけた南条を見つけ出すと、連れて来るように言われていた。
井坂と聡子の不倫が週刊誌に流された記事のファックスを見て、顔色が変わっていた。
最後は政治を変えようとする総理の考えに賛同し、立派にやっていると認めていた。

古賀(演:藤本隆宏)

代表作に『Playin’ for Money』、『男たちの大和/YAMATO』などがあります。

セキュリティポリス。総理を守るのが仕事だが、人として好きじゃないと不満を漏らす。

女性記者を助けても、イメージを変えようとする卑しい行動だと部下に言っていた。
総理が家族での食事に出かけると、食べ物を出されて不吉な何かと冗談を言っていた。
最後は間違っている事にハッキリと切り込む総理を認め、新人の大関と競っていた。

大関平太郎(演:田中圭)

代表作に『図書館』シリーズ、『スマホを落としただけなのに』などがあります。

警察官。記憶喪失になった総理が街に出て、野次馬に囲まれていると割って入った。

啓介が本物の総理だと分からず、セキュリティポリスになりたいと冗談でお願いした。
口封じの為に稚内の警察まで飛ばされたが、総理に呼び出されて約束を果たされる。
最後は古賀と競うようにセキュリティポリスとして働き、スナイパーを追っていた。

南条実(演:寺島進)

近年の出演作に『多十郎殉愛記』、『イマジネーションゲーム』などがあります。

中年の大工。総理に石を投げてケガさせた張本人。総理のやり方に怒っている国民の一人。

総理に呼び出されて好き放題言うが、まさか感謝されるとは予測できずに困惑していた。
最後は改心した総理の言葉をラジオから流れると、険しい顔ながら真剣に聞いていた。

小野田治(演:梶原善)

代表作に『12人の優しい日本人』、『ラヂオの時間』などがあります。

小野田建設の社長。啓介とは小学校からの幼馴染み。記憶喪失である事を知っている。

井坂と会って秘密裏に政治献金をして、仕事を回してもらう汚いやり方をしている。
マスコミに嗅ぎ付けられていると井坂に注意され、今度から彼と内密に取引を誓った。
最後は裏取引を止めると啓介に言われ、昔の事を思い出して賛同して受け入れた。

山西あかね(演:吉田羊)

代表作に『映画 ビリギャル』、『脳内ポイズンベリー』などがあります。

野党第二党の党首。総理とは敵対する関係にあって、テレビではいつも問題提起する。

実際は啓介とは不倫関係にあって、自分の要望を伝えて上手く裏でやっていた。
記憶喪失の総理と密会して、野党として生き残る為に情事に及ぶも断られてしまう。
別れを切り出した総理の真意を知って、生まれ変わった彼に興味をなくして承諾した。
最後は総理から国会答弁での不倫の弁明を持ちかけられ、それに応じて機会を与えた。

古郡祐(演:佐藤浩市)

近年の出演作に『銃2020』、『一度も撃っていません』などがあります。

フリーライター。昔は政治部の記者をしていたが、金に目が眩んでキャリアをなくす。

聡子が井坂と不倫している写真を持っていて、記憶がなくなる前の総理を脅迫した。
金さえあればどんな仕事でも引き受けるまで落ちぶれるが、内心でも情熱を持っていた。
総理に依頼されて鶴丸の周辺を調査し、決定的な証拠で官房長官から引き下ろした。
最後は総理を落とし込む鶴丸の依頼を蹴って、政治を変える方にかけていた。

スーザン・セントジェームス・ナリカワ(演:木村佳乃)

近年の出演作に『騙し絵の牙』、『Diner/ダイナー』などがあります。

アメリカ初の女性大統領。祖父が日本出身の日系三世。独身で実は日本語もできる。

来日すると、以前から総理と約束したゴルフを楽しみ、鶴丸のヨイショを怪訝に感じる。
更に約束した総理の手料理を食べた後、チェリーの税について話し合うも決裂する。
記者会見では関税に対する交渉決裂について話し、外交の失敗だと思わせる。
最後はハッキリと物を言う総理に感服して、大々的に良好な外交をすると宣言した。

鶴丸大悟(演:草刈正雄)

代表作に『復活の日』、汚れた英雄』などがあります。

127代内閣の官房長官。10年で5人も総理が入れ替わる中で、ずっと官房長官を務める。

実際に政治を動かしている人物で、シビアすぎるブラックジョークで馬を和ませる。
ほとんどの大臣たちのポストを用意しており、それを確認して自分に力を誇示する。
アメリカ大統領に媚びて、すべて指示に従う姿勢を見せるが、総理が反対して怒る。
最後は失脚させられ、スナイパーを用意させるも失敗して、復讐はできずに退場する。

感想

[個人的な評価]

評価 :3.5/5。

本作はフジテレビ開局60周年記念作品として製作されました。
監督と脚本を務める三谷幸喜にとって、『ギャラクシー街道』以来の作品となります。
三谷幸喜の作品はすべてコミカルに描かれていて、個人的にはかなり好きです。
ただ、前作の『ギャラクシー街道』があまりにもハズレすぎて、逆に心配となりました。
それぐらい三谷幸喜の作品として出来が悪くて、今までのイメージを崩していた。
しかし、久しぶりの監督&脚本の作品だった本作は、これぞ三谷幸喜が作り出す世界観だと再認識させられます。
総理大臣や政治をテーマにした作品は数多いが、今の情勢だからこそ描いた内容のタイムリー性はさすがだと言える。
日本の政治はしがらみが非常に多く、国民よりも保身を考える政治家がほとんどです。
表では国民の為だと言っているが、その真意は自分の議員生命しか考えていない。
だからこそ、そこから解き放たれた本作の総理大臣の行動に共感が生まれてくる。
空気を読まず、いい人間に生まれ変わろうとする為に努力する過程を否定的に感じる事はないはずです。
そこら辺は約束された面白さがあるけど、しっかりと芯を捉えた三谷幸喜の着眼点が秀でているのは言うまでもないでしょう。
そして、なんと言っても主人公で記憶喪失になった中井貴一の演技が非常に上手いです。
もっと悪どい時の総理を見たかったの少しゼイタクな要求なのだろうか。
あとは敵対する草刈正雄の悪辣ぶりはなかなか良くて、大人の怖さがありました。
本作で改めて三谷幸喜は映画監督として天才的で、誰も傷つかない作品を楽しく作れる人間だと感じさせます。
アジア諸国が映画に力を入れて盛り上がっている中、ガラパゴス化していく邦画にとって三谷幸喜は強力な防波堤になってくれている重要な存在だと思います。
せめて、3本に1本ではなく、2本に1本のアタリ作品を作り続けて欲しいです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました