【湯を沸かすほどの熱い愛】RE-3588

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作品データ

公開年月 2016/10/29
ジャンル ヒューマンドラマ
原作 なし
監督 中野量太
脚本 中野量太
製作 深瀬和美、若林雄介
製作国 日本
鑑賞方法 レンタルDVD

あらすじ

銭湯“幸の湯”を営む幸野家は、父の一浩が一年前に蒸発してしまい、現在は休業状態。
母の双葉は代わりにパン屋でパートをしながら中学生の娘・安澄を育てていた。
そんなある日、突然倒れた双葉はガンで余命二ヶ月と宣告を受けるが、ショックを受けつつも現実に立ち向かう。
夫の捜索、銭湯の再開、学校でイジメに遭っている娘を叱咤して独り立ちさるなど、やらないといけない事を次々とこなしていくのだった。

登場人物&出演者

幸野双葉(演:宮沢りえ)

近年の出演作に『日本独立』、『人間失格/太宰治と3人の女たち』などがあります。

主人公。安澄を一人で育てるシングルマザー。夫の一浩が一年も蒸発するも居場所はすでに知っていた。

末期ガンだと宣告されてショックを受けるが、娘の為に残された短い時間でやるべき事をやる。
安澄に勇気を与えてイジメを覆させ、母親が来ない鮎子を抱きしめ、拓海に目的を与えていた。
君江に娘を会わせて迎えに行くが、ついに限界を迎えて倒れ、そのまま長期入院を強いられる。
最後は一浩たちの行動に感動し、病気に勝てず亡くなると、銭湯で火葬されて風呂を沸かした。

幸野安澄(演:杉咲花)

近年の出演作に『青くて痛くて脆い』、『弥生、三月/君を愛した30年』などがあります。

双葉の娘。高校一年生。一浩が蒸発したせいで銭湯が経営できず、母親の苦労を誰よりも知っていた。

学校ではイジメを受けても立ち向かえず、制服を盗まれて登校拒否するも母親に勇気をもらった。
戻ってきた一浩を許せずにいたが、腹違いの妹である鮎子の悲しみを受け止めて考えを変える。
双葉から君江こそが実の母親だと言われショックを受けるが、習っていた手話で意思相通する。
最後は亡くなった双葉の代わりを務め、君江や鮎子と仲良くやって、家族の絆を取り戻した。

片瀬鮎子(演:伊東蒼)

代表作に『貞子3D2』、『ギャングース』などがあります。

一浩が浮気した女性の娘。たった一度の浮気で生まれた娘だと言われるが、一浩が父親だと思っていない。

末期ガンとなった双葉が一浩を呼び戻すと、一緒にやって来るもずっと他人行儀な態度を見せる。
銭湯のお金を盗んでいたが、実は一浩と住んでいたアパートに母親が来ると思って待っていた。
結局は母親が迎えに来ず、心配した双葉と安澄が迎えに来て家族の一員として受け入れられた。
最後は亡くなった双葉の葬儀で母親として見送り、安澄を姉と呼んで一つの家族となっていた。

向井拓海(演:松坂桃李)

近年の出演作に『いのちの停車場』、『空白』などがあります。

ヒッチハイクで旅をしていた若い青年。赤い車が好きという事で双葉たちに声をかけて乗せてもらう。

駐車場でなかなか車を捕まえる事ができず、ようやく双葉に乗せてもらって店を案内していた。
素性についてウソを付いていると双葉に見抜かれ、複雑な家庭環境を告白して目標を与えられた。
目標を達成して銭湯を訪れると、安澄から双葉が末期ガンだと言われて住み込みでバイトをする。
最後は葬儀では一浩のサポートをして、双葉の願いで銭湯の窯で遺体を焼いて風呂を沸かした。

酒巻君江(演:篠原ゆき子)

代表作に『深夜食堂』シリーズ、『ミセス・ノイズィ』などがあります。

高足ガニの食堂で働いている。聴覚障害者でボディランゲージで接客をする。常にホワイトボートを持つ。

安澄と鮎子に高足ガニを食べさせる為に来るが、会計時になぜか双葉に顔をビンタされてしまう。
実は一浩との間に安澄を生んだ実の母親で、耳が聞こえないせいで育てる自信がなく蒸発した。
双葉のおかげで安澄とは手話で会話が出来て、その心遣いに感動をして娘と話し込んでいた。
最後は亡くなった双葉の願いで定期的に娘たちと会って、一浩たちのサポートを惜しみなくやる。

滝本(演:駿河太郎)

代表作に『デトロイト・メタル・シティ』、『浅田家!』などがあります。

私立探偵。妻を病気で亡くして一人娘と一緒に仕事場へ来る。双葉の依頼で下着泥棒の調査をしていた。

すぐに下着泥棒の正体を掴んで双葉に報告し、次に幼い頃に生き別れになった母親を探していく。
末期ガンを宣告された双葉に母親を見つけたと話し、会わせようとするも拒否された事を伝える。
一浩の願いで病院に入院していた双葉の為に組体操のピラミッドを作る手伝いをしていた。
最後は亡くなった双葉の遺体を葬儀用の車で運ぶが、火葬場じゃなく銭湯の窯で焼く協力をした。

幸野一浩(演:オダギリジョー)

近年の出演作に『サタデー・フィクション』、『アジアの天使』などがあります。

銭湯「幸の湯」を経営していた双葉の夫で安澄の父親。パチンコに出ると言って一年も姿をくらましていた。

末期ガンを宣告された双葉にアパートが知られていて、安澄の為に家へ呼び戻される事になる。
双葉が安澄に真実を話す旅をさせるが、病院に入院した彼女をお見舞いする勇気が出ずにいた。
新婚旅行をエジプトに行きたかった双葉の為に、組体操のピラミッドで最大の贈り物をした。
最後は亡くなった双葉の願いで遺体を銭湯の窯で火葬し、みんなの助けで家族の面倒をみていく。

感想

[個人的な評価]

評価 :4/5。

本作は『第40回モントリオール世界映画祭』、『第21回釜山国際映画祭』などで正式出品された作品となります。
この作品で監督と脚本を務めた中野量太にとって商業用長編映画デビュー作となります。
以前から鑑賞しようと思ってそのまま放置していましたが、ようやくその機会が訪れました。
当初のイメージは泣かせに来る感動作だという事を分かっていたので、ちょっとばかり身構えての鑑賞となりました。
ハッキリ言って、これはもっと早く鑑賞するべきだと思ってしまうほどの良作となりました。
宮沢りえの魅せる演技が非常に素晴らしく、物語の中心人物となった双葉というキャラクターに女優魂を感じました。
序盤は少し問題のある母子家庭だという感じだが、中盤を過ぎて色々と内情が分かってくると、宮沢りえの母親像が大きくなります。
余命3ヶ月と宣告されて最初は受け止める事ができなかったが、そこから決意して娘の為に動く姿は母親の強さを感じました。
更に双葉が抱えていた暗い過去の事実に立ち向かい、娘とは血が繋がっていなくて、彼女の為にやっていた事が分かってくると尚更スゴイ人だと思うようになる。
何より強い母親が病気のせいで弱っていく姿は胸を抉られるぐらいに痛いし、決意したのに生きたい彼女のセリフの重さがありました。
そして、そんな強い母親と違って学校でイジメを受けて、立ち向かう勇気のなかった娘の安澄が成長する姿も胸を打たれます。
娘の安澄を演じた杉咲花の演技力が凄まじく、宮沢りえとは本当の親子に見えるぐらい入り込んでいたと思います。
本作では例え血が繋がっていなくても、家族としての絆が関係ないと思わせる母親の熱い愛情が充分に伝わってきました。

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