作品データ
あらすじ
歌舞伎町で一般人を巻き込む中国マフィアとヤクザの抗争が発生し、現金輸送車が謎の組織に襲撃され、金を強奪される事件も発生する。
二つの事件に何か共通するモノを感じた刑事の城島は徹底的に捜査を始めると、捜査線上に中国残留孤児三世の龍一が浮かび上がる。
ある日、龍一グループと警察が銃撃戦を繰り広げ、龍一の弟が射殺され、復讐に燃えた彼は城島の妻と娘を自動車ごと爆破し、お互いのプライドをかけた死闘を繰り広げるのだった。
登場人物&出演者
・城島猛(演:哀川翔)
近年の出演作に『Zアイランド』、『25/NIJYU-GO』などがあります。
主人公。刑事。ヤクザと中国人マフィアとの取引を知る。捜査するも手出しができない状態。
娘が重い心臓病を患っていて、莫大な手術費を必要とするがなんとかすると妻に話す。
ヤクザと中国人マフィア、現金輸送車襲撃事件に繋がりがあるとして独自に捜査をする。
犯罪を見逃す代わりにヤクザから手術費を入手するが、弟を殺された龍一に妻子を殺される。
最後は妻と娘の復讐をするべく龍一と対峙し、エネルギー弾とロケットランチャーで相打ち。
・城島夕子(演:杉田かおる)
代表作に『青春の門』、『大奥』などがあります。
城島の妻。専業主婦。娘のミナが重い病気を患い、手術費が非常に高く頭を抱えている。
憔悴しきった感じで莫大な手術費を城島に相談するが、頼りにならない返事に不満を持つ。
ずっと心配していた手術費を手に入れた城島によってようやく解放される。
娘と手術する為にアメリカへ行こうと車に乗り込むが、龍一の復讐で爆破されて死亡。
・城島ミナ(演:倉沢桃子)
本作が長編映画デビュー作となっています。
城島の娘。高校生。心臓に重い病気を持っている。手術をしないといけない危険な状態。
自分が病気で死にそうな現実に対して絶望感を抱き、生きる力を失っていた。
城島が手術費を手にした事で、希望を持つようになって少しだけ前向きになる。
その矢先、弟の復讐として夕子とともに自動車を爆破されて呆気なく死ぬ。
・井上(演:寺島進)
近年の出演作に『アンフェア/the end』、『エイプリルフールズ』などがあります。
刑事。城島の部下。非番の時は息子と一緒に過ごしている。なぜか左手をケガしている。
ヤクザと中国人マフィアとの捜査で銃撃戦に遭遇するが、城島と連絡がつかずに待機する。
銃撃戦が終わった頃に飛び出し、蜂の巣にされるが最後に放った弾丸で冬二を殺した。
・青木(演:石橋蓮司)
近年の出演作に『トマトのしずく』、『彼岸島デラックス』などがあります。
桜井組の若頭。中国人マフィアと麻薬の取引をやっている。スカトロプレイを好む。
城島と繋がりを持っていて、好き放題する代わりに歌舞伎町を仕切っている。
娘の手術費が必要となった城島に、犯罪を見逃すという条件で大金を貸す事になる。
最後は龍一グループの襲撃に遭うも生き残るが、城島によって射殺される。
・佐竹誠二(演:小沢仁志)
代表作に『覇王/凶血の系譜I II』、『CONFLICT/最大の抗争』などがあります。
龍一グループの一人。吃音症の持ち主。将来の夢は誰かを幸せにする事である。
金を持ち逃げした松島に対して、その裏切った行為を許せず厳しい態度を取った。
ヤクザと繋がっている中国人マフィアの始末をする際に無傷で全滅させた。
最後は家族の復讐にやって来た城島とチキンレースするも競り負け、背後から射殺される。
・本上冬二(演:柏谷みちすけ)
代表作に『なにわ金融事件簿/悪銭喰い』などがあります。
龍一の弟。中国残留孤児三世。アメリカに留学していたが、久々に日本へ帰ってきた。
大学で真面目に勉強しているが、仲間の松島を射殺した龍一と距離を取る事になる。
ヤクザと中国人マフィアを襲撃した際、思わぬ窮地に陥った龍一を助けた。
捜査していた城島の部下を蜂の巣にするが、死に間際の銃弾によって倒れてしまう。
・本上龍一(演:竹内力)
代表作に『難波金融伝・ミナミの帝王』シリーズ、『大帝の剣』などがあります。
中国残留孤児三世。同じ中国残留孤児を仲間としてグループを組んで犯罪を行う。
弟の冬二を出迎えるが、ギャングのような彼のやり方を嫌われて距離を取られている。
中国人マフィアがヤクザと取引しているライバルを消す為に雇われて襲撃をした。
その際に捜査していた城島の部下に冬二を殺され、復讐の為に城島の妻と娘を殺した。
最後は復讐の為にやって来た城島と対決し、生成したエネルギー弾で相打ちとなる。
感想
[個人的な評価]
本作は多作である三池崇史監督が世に放った作品の中で一、二位を争うインパクトを残した映画だと思います。
近年の三池崇史監督は大作を撮るイメージがあるけど、実際は本作のような作品が彼の持ち味だと言えるでしょう。
バイオレンスが最初に来て、次にエロが来て、そこにアクションが割り込み、お情け程度のドラマなんかがあります。
本作はまさしく三池崇史監督が持つ世界観を凝縮した作品だと思います。
冒頭での世界観を説明する展開が秀逸であり、そこにシリアスながらギャグを入れてくる。
普通の監督ならばやらない演出と堂々とやっていて、それを画面に中心へ持ってくるのは三池崇史監督だけでしょう。
そんな悪趣味な演出が何ヶ所も存在し、普通ならば目を背けたくなるような内容を当たり前のようにやっています。
本作にはVシネマ界の大物である哀川翔と竹内力を起用し、脇にもVシネマの常連を据えた豪華なキャストになっています。
そのおかげでハチャメチャな事をやっても、地に足が付いている展開になっています。
メインとなる主人公が抱える家族の問題を控え目に出し、一方で唯一の肉親で仲違いする弟との関係を描いてドラマを構築している。
普通なら両者ともシリアスな展開であるが、それをラストの為に消費する無茶な扱いである。
本作のすべてはラストの為にあるようなモノで、あの展開を再現する為の伏線でしかない。
まず、誰もが予想できないラストについて、あれは笑うシーンなのだろうかと考える。
多分だが、あのラストは脚本になかったと思うが、現場のノリでやってしまっただろうか。
色々と考えさせるラストであるけど、間違えなくインパクトは凄まじいと言えます。
本作はラストの為にあるようなモノであり、これが許せるならば本作は面白いと思います。
逆にラストの展開を許せないならば、本作は一気にクソ以下のゴミ映画に成り下がる。
とにかく、本作はラストを観ない事には始まらないし、そこから本作を逆算して考えるべき作品だと感じました。
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