作品データ
あらすじ
新宿で車上生活を送る名越進は、記憶も感情も失い、謎めいた研修医の伊藤学と出会って頭蓋骨に穴を空ける“トレパネーション”という手術を受ける。
しかし、それは禁断の実験で、名越が右目を手で覆い、左目だけで見ると他人の心の歪みが視覚化された人間の異形の姿“ホムンクルス”に変貌していた。
こうして、否応なしに人間の心の闇と対峙するハメになった名越は、様々なトラウマを抱えた者たちとの出会いで混乱していくのだった。
登場人物&出演者
・名越進(演:綾野剛)
近年の出演作に『ヤクザと家族/The Family』、『ドクター・デスの遺産/BLACK FILE』などがあります。
主人公。車で路上生活している記憶をなくした男。普段は車で寝泊まりするが、クレジットカードで金には困っていない。
奇抜な姿の伊藤に目をつけられ、彼から「トレパネーション」という手術の実験体を頼まれる。
生きる気力もなく手術に応じると、額に穴を空けられ、他人の深層心理を形として見る事になる。
徐々に記憶が復活し、病院で奈々子と出会って彼女と肉体関係を結んだ事で能力を失ってしまう。
最後は自分で額に穴を空け、奈々子の正体を知るもすべてを許して二人で人生を再スタートした。
・伊藤学(演:成田凌)
近年の出演作に『街の上で』、『まともじゃないのは君も一緒』などがあります。
開業医の息子で研修医をしている。奇抜な服装とアクセサリーで路上生活をしていた名越に声をかけた。
名越こそが自分の求めていた実験体として手術を説明し、車を取り上げて強制的に協力させた。
当初は勘が良くなった名越の能力に興奮して、彼が深層心理を形にする事をホムンクルスと表現。
実は父親から期待されておらず、中身のない自分に焦っていて、名越との繋がりに縋っていた。
最後は名越に深層心理を見抜かれるが、自分で手術を施して違う世界を見た事で笑っていた。
・チヒロ/奈々子(演:岸井ゆきの)
代表作に『悪の教典』、『ストレイヤーズ・クロニクル』などがあります。
伊藤を探そうと病院に来た名越が見かけた女性。実は名越と同じく記憶をすべて失っていた。
名越が記憶を取り戻していく過程で存在を知られ、自分が何者か言われて納得して彼と結ばれる。
実は名越と同じく「トレパネーション」の手術を受けていたが、記憶を失っていただけになる。
伊藤がやって来て記憶をすべて取り戻し、自分のせいで名越の恋人が死んだと告白していた。
最後は事実をすべて知った名越に許されると、彼の為に奈々子として生きる事を選んだ。
・ユカリ(演:石井杏奈)
アイドルグループ「E-girls』の元メンバーで、映画の代表作に『ガールズ・ステップ』があります。
現役の女子高生。歌舞伎町にある本物の女子高生を扱う風俗店に「1775」という番号でアルバイトをしていた。
実験の為に伊藤が連れて来た名越が見ると、左足が砂のような状態になるホムンクルスと判明。
接触する為に伊藤から声をかけられるが、全身に蕁麻疹を出した彼が童貞だと見抜いていた。
スマホを取り戻す為に路上生活する名越の車に入ると、砂じゃなく文字だと彼に見抜かれる。
最後は過保護な母親への対抗心で処女を捨てる事と判明し、名越が実現させて心が解放された。
・組長(演:内野聖陽)
代表作に『(ハル)』、『きのう何食べた?』があります。
歌舞伎町のナワバリにするヤクザの組長。ホムンクルスを見ていた名越に突き飛ばされて怒りを買った。
路地裏に名越を連れ出し、気に入らないヤツの小指を77本も切り落としたと舎弟たちに言われた。
能力を発揮した名越からロボットのホムンクルスだと言われ、涙を流しながらその場を去った。
舎弟たちに名越を事務所に連れて来るよう指示され、ようやく見つかって理由を聞いていた。
最後は過去に友人の小指を切り落とした罪悪感を名越に解放され、ケジメで小指を切り落とした。
感想
[個人的な評価]
本作は山本英夫の同名漫画を実写映画化した作品となります。
劇場公開された後、Netflixにて全世界に独占配信されています。
どうやら漫画の方はかなりの人気があったらしいが、残念ながら今回で初めて知りました。
今まで数多くの漫画を実写映画化していますが、こちらに関してはハリウッドのアメコミの実写映画と比べて微妙な作品が多い。
そんな本作では『呪怨』シリーズでジャパニーズ・ホラーを支えた清水崇が監督を務めています。
しかし、近年の清水崇監督はホラー映画の作り方が分からなくなっていて、完全に迷走してしまっています。
そうなれば、本作はどれだけ原作の面白さを実写化できるか期待してしまうが、現実はそんなに甘くなかったです。
原作アリの作品だと、監督がどれだけ世界観を把握して、映画としてアレンジしていくのかが最大の見せ場となります。
やはり、しっかりと原作の世界観や設定、登場人物を深く理解した実写映画は当然のように面白く仕上がっています。
物語を原作になぞっていくけど、そこは時間が限られている映画だからこそ、アレンジしていく監督の腕がすぐに分かります。
ですが、もう迷走状態の清水崇監督には荷が重かったらしく、原作の良さを上手く表現できていなかったと思います。
世界観や設定に面白さの片鱗があったのに、これをツギハギにしたストーリーでは魅力が伝わってこないです。
それでも、主人公の名越を演じる綾野剛、手術をする伊藤を演じる成田凌の演技は良かったのは最低限の救いと言えるだろう。
全盛期から迷走状態の清水崇監督の凋落ぶりには心を痛めてしまうぐらい、映画としての面白さも感じられなかったです。
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