作品データ
あらすじ
江戸時代の姫路藩、本の虫で書庫番を務める片桐春之介は、人と話すのが苦手で書庫にこもって本をばっかりを読んでいた。
ところが藩では姫路から大分の日田への国替えという一大事が勃発すると、財政が逼迫していたせいで莫大な費用と労力に予算を用意できずにいた。
そんな国の存亡の危機に引っ越しを取り仕切る奉行の重責を片桐が押しつけられ、幼馴染みの鷹村と於蘭の力を借りて一大プロジェクトに挑むのだった。
登場人物&出演者
・片桐春之介(演:星野源)
代表作に『箱入り息子の恋』、『地獄でなぜ悪い』などがあります。
主人公。姫路藩の書庫番。本の虫で一日中書庫番で様々な書物を読み漁って楽しくやっていた。
極度の人見知りで唯一マトモに会話できる鷹村に引っ張り出され、引っ越し奉行にされてしまう。
マトモなアイデアが出ず、先代の板倉に謝罪をした事で於蘭から協力を得て引っ越しが始まる。
於蘭と結婚して15年の時を経て石高が元に戻り、約束通り百姓となった藩士たちを出迎えた。
最後は藩の為に尽くした経験から、直矩から国家老を命ぜられて全員が納得して甘んじて受ける。
・於蘭(演:高畑充希)
代表作に『怒り』、『DESTINY/鎌倉ものがたり』などがあります。
ヒロイン。先代の引っ越し奉行・板倉重蔵の娘。国替えの達しが来て片桐に協力を求められた。
下士だった父親の功績をすべて奪われた事に怒っていて、頼みに来ていた片桐を追い返した。
片桐が父親の墓前で頭を下げた事で協力し、父親の書き記した手引きの書をすべて持ってきた。
引っ越しが行われる中で藩と縁がなくなっていたが、片桐と結婚する事で一緒に向かっていった。
最後は片桐との間に息子が生まれて無事に元服し、石高が元に戻った事で一緒に喜んでいた。
・鷹村源右衛門(演:高橋一生)
近年に出演作に『スパイの妻/劇場版』、『ロマンスドール』などがあります。
姫路藩の御刀番。武芸に秀でいて春之介と幼馴染み。国替えの大任を片桐が相応しいと提案した。
書庫に引きこもっていた片桐を引っ張り出し、於蘭に協力を求めるべきだと助言をしていた。
見事に於蘭から協力を得てから若い武士たちを引っ越しに使い、借金まで順調に進んでいた。
あまりにも順調すぎる事に対して不満を持つが、隠密の襲撃で期待通りの状況に成敗した。
最後は石高が元に戻って片桐が国家老に任ぜられると、冗談を挟んで場の雰囲気を和ませた。
・中西監物(演:濱田岳)
近年に出演作に『おらおらでひとりいぐも』、『喜劇/愛妻物語』などがあります。
姫路藩の勘定頭。佐島の元で藩の金勘定をしていたが、引っ越し奉行となった片桐に注目していた。
佐島の家財道具を減らして意気揚々と帰っていた片桐たちの前に出て、協力を申し入れた。
奉公が終わった後に町へ出て独自に商家を回って、借金できそうなところを調べ尽くしていた。
引っ越しの一員として仲間入りをして、借金する際には暴走する鷹村を止める役を務めた。
最後は石高が元に戻って家臣たちが帰り、片桐が国家老となってみんなと一緒に喜んでいた。
・山里一郎太(演:小澤征悦)
近年に出演作に『水上のフライト』、『一度死んでみた』などがあります。
姫路藩の藩士で優秀な祐筆。勉強熱心で書庫番である片桐からも出世すると思われている。
独り身という事で片桐から帰農して土地に残るように言われ、理不尽な決定に困惑していた。
優秀で人望がある人物として片桐から信頼され、いつか戻る時に同じ境遇の者たちを頼まれた。
片桐が苦しい決断をした事を察して、ただの山を15年かけて立派な田畑に変えて家庭も持った。
最後は石高が元に戻って片桐が迎えに来ると、国家老に任ぜられた彼に納得していると説明した。
・仲田小兵衛(演:山内圭哉)
代表作に『瀬戸内少年野球団』、『花戦さ』などがあります。
姫路藩の江戸留守居役。江戸からの通達を姫路城まで持ってくる役目を担っている。
悪夢にうなされて起きた直矩の元に国替えだけじゃなく、減封になると渋い顔で伝えていた。
まったく原因が思い当たらなかったが、直矩が柳沢を袖にした事が元凶と知って責めた。
引っ越し費用を当初の計画より半分にした片桐の手腕を認め、一緒に酒を飲んで褒めていた。
最後は15年後に加増を伝えて、元の石高に戻ったとして片桐たちに急いで伝えていた。
・佐島竜五郎(演:正名僕蔵)
代表作に『それでもボクはやってない』、『ジェネラレル・ルージュの凱旋』などがあります。
姫路藩の勘定奉行。国替えをすると知ると、上から目線で藩の財政事情について説明をする。
引っ越し奉行となった片桐たちを見下していて、なんとかできないと切腹だと圧力を与えていた。
自身の屋敷では高級な骨董品を多く置いてあるが、片桐たちの仕返しにほとんど没収される。
実は以前の引っ越し奉行だった板倉が下士だった事で、すべての手柄を自分のモノにしていた。
最後は襲ってきた隠密たちに皿を武器に使われて、止めようとしても何もできずに嘆いていた。
・藤原修蔵(演:西村まさ彦)
近年に出演作に『大コメ騒動』、『アパレルデザイナー』などがあります。
姫路藩の次席家老。江戸から国替えの達しが届くと、引っ越し奉行を誰にするか選んでいた。
最初は鷹村が若いという理由で提案するが、書庫番の片桐が相応しいとして指名を受け入れた。
片桐から妙案が一切出ない場合は切腹しかないと話し、軽い感じでプレッシャーを与えていた。
実は裏で柳沢と内通していて、松平家の取り潰しを狙って旗本になろうと画策していた。
最後は小兵衛に悪事が暴露されると、逃げようとしたところで隠密の苦無によって殺された。
・松平直矩(演:及川光博)
近年に出演作に『君は月夜に光り輝く』、『七つの会議』などがあります。
姫路藩の藩主。越前松平家の親藩。全国を守護する命を受けて何度も国替えを経験している。
幼い頃に国替えをしている途中で父親を亡くしていて、それを時々悪夢として見ている。
突然の国替えを言い渡されるだけじゃなく、石高も半分以上も減封されて厳しい決断をする。
実は参勤交代の時、小納戸役だった柳沢吉保を袖にしたせいで、国替えと減封の原因を作った。
最後は見事に国替えを成功させ、15年後に石高が元に戻り、帰ってきた家臣たちに涙をした。
感想
[個人的な評価]
本作は土橋章宏の小説『引っ越し大名三千里』を原作にした作品となります。
この作品では原作者である土橋章宏が脚本として参加しています。
時代劇を舞台にしたアクションではなく、日常を描いた作品も少なくありません。
例えば『武士の家計簿』、『武士の献立』、『超高速!参勤交代』シリーズ、『駆込み女と駆出し男』などがあります。
このように派手な殺陣のシーンがほとんどなく、武士の日常をテーマにした時代劇もあります。
これに関して、ファンタジー寄りのアクションがない分、時代考証をしっかりやっていている作品が非常に多いです。
そうなれば、まったく知らなかった当時の人々の暮らしが分かって、娯楽だけじゃなく、ちょっとした勉強にもなります。
しかも、こういう作品というのはコメディと相性が良くて、軽快なテンポで物語が展開する具合もまた面白いです。
そんな本作で主人公の片桐春之介を演じる星野源はドラマで話題になりましたが、実は今回で初めて彼の演技をみました。
主人公の人見知り具合が星野源とハマっていて、それによって物語全体のレベルを引き上げている効果があります。
映画というのは主演の実力次第で物語全体の演技レベルが決まるので、客寄せパンダのアイドルが主演を務めていないだけでも全然違う。
その星野源に引っ張られて物語の雰囲気もコメディながら、ちゃんとしたドラマがあるし、勉強にもなる内容だから面白さが倍増している。
ただ、ものすごく目立つようなキャラクターがいないのも正しい演出で、あくまで藩士たちの忠義を最終的に描いているのは素晴らしい。
邦画は10本のうち1本が面白いような体たらくだが、時代劇はしっかりと作り込めば、確実に面白いモノができる見本といえる作品でした。
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