作品データ
あらすじ
天候が不順で雨が降り続く夏の東京、離島の実家を家出した高校生の森嶋帆高はバイトが見つけられず都会の厳しさにうちのめされていた。
そんな時、帆高は小さな編集プロダクションを経営する須賀圭介に拾われ、住み込みで働く事でなんとか食いつなぐ事に。
帆高は事務所で働く女子大生の夏美とともに怪しげなオカルト雑誌の取材を任され、そこで弟と二人で暮らす明るい少女の天野陽菜と出会うのだった。
登場人物&出演者
・森島帆高(声:醍醐虎汰朗)
代表作に『兄に愛されすぎて困ってます』、『灯台の子』などがあります。
主人公。島から東京に家出をした高校生。青空を追いかけて、それを知りたいから家でした。
アテもなく東京の怖さを身に沁みながら、出会った須賀に雇われてなんとか生活を確保する。
ハンバーガーをおごってくれた陽菜と再会し、彼女の持つ晴れる能力を使って金を稼ぐ。
陽菜が人柱になって消えてしまうと、警察に捕まりながら抜け出して、彼女を助け出した。
最後は高校を卒業して東京にやって来ると、水没した責任はないと肯定して陽菜と再会する。
・天野陽菜(声:森七菜)
代表作に『東京喰種トーキョーグール【S】』、『ライアー×ライアー』があります。
ヒロイン。弟の凪と二人暮らしする自称18歳。某ハンバーガーチェーンでバイトをしていた。
家出をして行くアテのなかった帆高にハンバーガーを奢るが、色々あってクビになった。
風俗で働こうとしたところを帆高に連れ出され、晴れる能力を買われて金稼ぎを始める。
母親が亡くなった時から晴れる能力を開花し、夏美から人柱になる事実を聞いて悩む。
最後は東京を助けようと人柱になるが、帆高の説得で彼を選んで狂った天気を放置した。
・須賀夏美(声:本田翼)
近年の出演作に『新聞記者』、『空母いぶき』があります。
女子大生。須賀の姪。抜群のスタイルと陽気な生活を持つ。就職活動をするも連敗している。
家出していた帆高から連絡を受けて、須賀から新しいアシスタントという雑用から脱却する。
豊満な胸をチラ見される帆高を指摘してからかい、晴れ女である陽菜との出会いに喜ぶ。
警察から逃げていた帆高をバイクでサポートし、ありえない運転技術で線路まで送った。
最後は大学を卒業しても就職に失敗したのか、生まれ変わった須賀の事務所に働いている。
・天野凪(声:吉柳咲良)
代表作に『初恋ロスタイム』などがあります。
陽菜の弟。小学校5年生。女の子からモテモテでサッカー少年。誰よりも大人な考え方。
小学校にはバスで登校していて、その際には二人の女の子から言い寄られて侍らせている。
陽菜が連れて来た帆高に対して当初は嫌悪感を持つが、晴れる能力を使ってから仲良くなる。
帆高が陽菜に気がある事をすぐに見抜き、誕生日プレゼントのアドバイスを的確にした。
最後は帆高が陽菜を連れ帰る為に児童保護施設を抜け出し、女の子に変装して手伝った。
・須賀圭介(声:小栗旬)
近年の出演作に『人間失格/太宰治と3人の女たち』、『Diner/ダイナー』などがあります。
「K&Aプランニング」のCEO。小さな編集プロダクションを姪の夏美と二人で切り盛りする。
ズボラな性格で夏美に注意されるが、実は妻を事故で亡くし、子供とは別居している。
雨の日には会えない子供たちの為、陽菜の晴れる能力を利用して面会を実現させている。
帆高の無謀な行動を止めるが、陽菜を追う彼に触発されて警察たちを止めて行かせた。
最後は編集プロダクションが大きくなって、久々に訪れた帆高に気楽な話しをしていた。
・立花冨美(声:倍賞千恵子)
代表作に『男はつらいよ』シリーズ、『幸福の黄色いハンカチ』があります。
「晴れ女サービス」を使った老婦人。夫の初盆の日を晴れにして欲しいと依頼を書き込んだ。
仕事で家を訪れた帆高と陽菜に「空の上に死者が住まう彼岸がある」という話しをした。
実は立花瀧の祖母であり、祖父の初盆に来ていて、帆高と陽菜たちと夕食を共にした。
最後は大雨で自宅が水没し、元々海だった事を帆高に言って、彼の罪を肯定する遠因を作る。
・高井刑事(声:梶裕貴)
近年の出演作に『PSYCHO-PASS サイコパス 3 FIRST INSPECTOR』、『キミだけにモテたいんだ。』があります。
安井刑事と捜査をする若い警部補。リーゼントヘアが特徴で、短気ですぐにブチ切れる。
捜索願が出ていた帆高を探し回っていて、監視カメラで銃を構えていた写真を持ち歩く。
須賀の家まで捜索していくが帆高たちはおらず、街中で見つけると追いかけて捕まえた。
陽菜を探したい帆高の話しを無視したが、油断した隙に逃げられるという失態を犯した。
最後は廃ビルで銃を向ける帆高に銃を向けたが、殴りかかった須賀に止められてしまった。
・安井刑事(声:平泉成)
代表作に『大魔神怒る』、『その男、凶暴につき』などがあります。
高井刑事と組むベテランの刑事。穏やかな性格で血気盛んな高井刑事を宥める役になる。
あくまで相手の立場になって物事を考えており、確実な捜査で帆高の居場所を潰していく。
須賀の仕事場を訪れるも知らないと言われ、陽菜の家でも同じ事を言われても怒らない。
廃ビルで銃を向ける帆高を見つけたが、銃を構えるも彼に向ける事はしなかった。
最後は抵抗した須賀を逮捕したが、大雨になった空をみんなと一緒に見上げていた。
感想
[個人的な評価]
本作は監督と脚本を務める新海誠にとって7作目のアニメーション映画となります。
前作の『君の名は。』は過大評価されたおかげで大ヒットしたが、本作はようやく化けの皮が剥がれて冷静な評価を受けて微妙なヒットとなっています。
まず、監督と脚本を務める新海誠という人の特徴として、童貞をこじらせたセカイ系のストーリーやキャラクターが共通しています。
『君の名は。』はそこら辺の設定が上手く噛み合い、一般受けして多くの人たちが観て大ヒットを巻き起こしました。
ただ、個人的に「セカイ系」はどのジャンルよりも嫌いな部類で、主人公とヒロインの関係がそのまま世界の運命を握る設定が大嫌いです。
その点では『君の名は。』はファンタジー寄りだった事もあったのか、個人的には名作にならなくても良作だったのは確かです。
しかし、本作は現実世界を舞台にしてしまった事により、新海誠が描く世界観の気持ち悪さが露呈してしまったと思う。
主人公の帆高は強い理由もなく、青空を追って島から東京に家出をして、ご都合主義すぎる人との出会いで目的を見つけていきます。
生きる意味を持っていなかった主人公が何かを見つけて、それを一心不乱で追いかけていく王道のテーマとしては悪くないです。
ですが、そのやり方に大きな問題があって、架空の世界ならばいいとしても、現実にある地名や店などを使っている時点で事情が変わってきます。
ハッキリ言って、主人公の帆高が取っていた行動はあまりにも時効中心的であり、他人への迷惑など一切考えずに己の欲望だけに突っ走っているのです。
これを「若さ」と片付けてしまう人もいるだろうが、東京という実在する場所で彼がやった数々の犯罪行為、迷惑行為は見過ごす事ができない。
それ相応の罰を受けるなら分かるが、あまりにも軽い罪だけに留まり、自分のせいで大都市が水没しても何も思わず、逆に肯定する考え方が怖くなりました。
新海誠監督は自分のやりたい事をどんな手段を用いても実現させるべきというメッセージを込めているが、そのリスクに関して無責任なほど放置している。
やたらと大人を批判的な目線で描いている作品だが、だからと言って主人公たちがルールを破っていい理由にはなりません。
『君の名は。』では主人公はヒロインたちを救う行動をするが、本作の主人公はヒロインが欲しい為に大都市を犠牲にしてもいいという破壊行為をしている。
前作とは真逆のテーマを掲げたのは新海誠監督の意図だろうけど、これは単なる天の邪鬼で一般層から反感を買われても仕方ないと感じました。
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