作品データ
公開年月 | 2019/10/04 |
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ジャンル | サスペンス/ドラマ |
原作 | ボブ・ケイン、ビル・フィンガー、ジェリー・ロビンソン(キャラクター創作) |
監督 | トッド・フィリップス |
脚本 | トッド・フィリップス、スコット・シルヴァー |
製作 | トッド・フィリップス、ブラッドリー・クーパー、ほか |
製作国 | アメリカ |
鑑賞方法 | 購入Blu-ray |
あらすじ
大都会の片隅で体の弱い母親と2人で慎ましく暮らしている心優しいアーサー・フレック。
コメディアンとして成功を夢見ながら、ピエロのメイクで大道芸人をして日銭を稼ぐアーサーはどん底の生活に苦しんでいた。
そんな中、同じアパートに住むシングルマザーのソフィーに心惹かれるアーサーはある日、暴行を受ける中で相手を射殺した事で人生が一変するのだった。
登場人物&出演者
感想
[個人的な評価]
本作はDCコミックスの『バットマン』に登場する最凶の悪役である『ジョーカー』を主人公にした作品となります。
『第76回ヴェネツイア国際映画際』にて金獅子賞を受賞し、『ゴールデングローブ賞』では主演男優賞を受賞しています。
とにかく、本作は昨今のアメリカン・コミックという枠を大きく超えた作品であり、歴史的に不変である問題を提示しています。
マーベルが展開するド派手でエンターテイメント全開の作品と違い、DCコミックスの作品は昔から暗くてどんよりした雰囲気があります。
それを上手く継承しながら社会派に近い作風にしたのは、クリストファー・ノーラン監督の『ダークナイト』だろうと思います。
主人公であるバットマン以上に、悪役のジョーカーを演じたヒース・レジャーが示した新たなキャラクターがアカデミー助演男優賞を受賞しています。
それ以前にもジョーカーを演じたジャック・ニコルソン、その後に演じたジャレッド・レトなども狂気を見事に演出していました。
そして、ついに“悪のカリスマ”であるジョーカーの単体映画が作られ、その重要な役を演技派俳優のホアキン・フェニックスが演じました。
世間の評判は非常が高く、必然的に期待値を上げてしまうが、あくまで自分自身の目で確かめないとなんとも言えなかった。
ハッキリ言って、本作は世間の評価は少し持ち上げすぎている感じがして、冷静に鑑賞するとジョーカーたるキャラクターとしての狂気が足りない気がしました。
それに加え、個人的に記憶しているジョーカーの持っている狂気は決して外的な影響ではなく、あくまで本来持っていたモノが覚醒しているイメージです。
なので、本作のジョーカーは完全に外的要素で形成されており、自分が思い描いているジョーカーとは少し違っています。
本作は他の作品との繋がりを無視しているので、ユニバースとしての制限を受けていないから自由度が高い分、ちょっとした矛盾も生じてしまっている。
なんと言っても、アーサー・フレックとブルース・ウェインの年齢差が気になってしまう。
原作の設定では両者はそこまで年齢が変わらず、同じ世代として善と悪に別れて戦っているので、本作だと親子ぐらいの違いもあって本来の形と違っています。
ある考証サイトでは本作のジョーカーはみんなが知っているバットマンの敵じゃなく、その師にあたる人物という考え方は面白いと思いました。
やはり、ホアキン・フェニックスの演技は凄まじく、劇中で何度も笑っていますが、ラスト以外の笑いは本心から笑っていない。
その昔、ティム・バートン監督の『バットマン』でジョーカーを演じたジャック・ニコルソンのセリフで「顔は笑っているが心は笑っていない」的な発言を見事に体現していました。
ただ、本作のジョーカーは劣悪な環境で形成されて持ち上げられただけのキャラで、強引にウェイン家に繋げたのはいらなかった。
ちょっとばかり余計な肉付けをしてしまった点、自分が持つジョーカーとのイメージの相違点など含め、残念ながら世間ほどの高評価にはならなかったです。
それでも、本作が世間に与えた衝撃は素晴らしいと思いますし、DCコミックスのイメージをしっかりと捉えているから今後はこの路線で突っ走って欲しいと思いました。
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