作品データ
あらすじ
貧しい地域に住むサンチャカは父の死と母の失踪で孤独の身になり、大人になって警備員になると雷に打たれた事で超人的な力を身に着けてしまう。
一方、幼い時に廃墟に捨てられ、悪評高い児童養護施設に入れられたペンコールは、仲間の孤児たちを暗殺者に育て上げてマフィアのボスとなる。
街の状況が悪化し、国中に不正が蔓延する中、サンチャカは虐げられる人々の為にヒーローとなって立ち上がろうとするのだった。
登場人物&出演者
・サンチャカ/グンダラ(演:アビマナ・アルヤスティア)
代表作に『シャドー・オブ・ナイト』、『悪魔に呼ばれる前に』などがあります。
主人公。父が死んで母が失踪して天涯孤独となる。同じ境遇にある年上のアワンから格闘術を習う。
成人してから警備員として働き、格闘術を正義の為ではなく自分の為だけに使っていた。
力があるなら他人の為に使うべきあとアグーンに言われ、隣人のウランたちを偶然助ける。
チンピラの報復を受けて倒されるが、雷に打たれ超人的なパワーを手にしてグンダラとなる。
最後はペンコールの野望を打ち砕き、町を守るスーパーヒーローとして活動しようと決める。
・ウラン(演:タラ・バスロ)
代表作に『ゴールデン・アームズ/導かれし者』、『悪魔の奴隷』などがあります。
ヒロイン。サンチャカが住むアパートの隣人。弟のテディと一緒に住むもチンピラに狙われる。
市場で団結する為に演説していたが、仕事があるサンチャカが来てテディを連れてきた。
チンピラたちをサンチャカが追い払ったが、ペンコールの手下に市場を焼き払われてしまう。
以前は南東部で看護師として働き、出稼ぎで働いていたサンチャカの母親を知っていた。
最後はペンコールの人質になってしまうが、雷の力を発揮したグンダラに助け出された。
・テディ(演:ビマセナ・プリサイ・スシロ)
代表作に『Lampor: Keranda Terbang』、『Pelukis Hantu』などがあります。
サンチャカが住むアパートの隣人。姉のウランと一緒に住んでいてチンピラに付きまとわれる。
いつも他人事として首を突っ込まなかったサンチャカに助けられ、親近感を持ってしまう。
ウランが市場を守る為に抗議しようとして、強引にサンチャカの家に預けられ親交を深める。
サンチャカと同じく雷が怖く母親もすでに死んでいて、同じ境遇の彼と更に親近感を持つ。
最後はペンコールの人質になってしまうが、雷の力を発揮したグンダラに助け出された。
・アグーン(演:プリット・ティモシー)
代表作に『Moonrise Over Egypt』、『The Science of Fictions』などがあります。
サンチャカが働いている工場での警備の先輩。機械が故障しても整備士より警備員が重要と話す。
チンピラとケンカしてケガを負ったサンチャカの傷を治療し、何があったのか聞いていた。
雷の力で超人的なパワーを手に入れたと言われるが、当初はあまり信じずに聞き流していた。
実際にサンチャカが雷に打たれパワーアップすると、ようやく信じてスーツ作りを手伝った。
最後はペンコールに人質となって背中を刺され、倒れる前にサンチャカに強い言葉を与えた。
・リドワン・バーリ(演:ルクマン・サルディ)
代表作に『虹の兵士たち』、『分かち合う愛』があります。
ベテランの政治家。ペンコールの軍門に下っていて、友人のフェリーにいつも注意を促している。
若手の政治家がやって来ると、ペンコールと握手をしない態度に問題があるとして注意した。
見せしめとして若手の政治家が殺されると、批判していたフェリーにまたしても忠告する。
ペンコールが国を支配しようとする計画で殺されそうになり、グンダラによって目を覚ます。
最後はグンダラを襲おうとしたペンコールを銃撃し、黒幕の存在を聞いて戦おうと覚悟する。
・フェリー・ダニー(演:アルスウェンディ・ナスティオン)
代表作に『3: Alif, Lam, Mim』、『グルグル・ゴキル/はちゃめちゃ教師』などがあります。
ベテランの政治家。全員がペンコールの支配下に身を置く中、なんとか悪事を暴こうとする。
若手の政治家が挨拶回りにやって来ると、将来はペンコールの軍門に下ると皮肉っていた。
ペンコールによる見せしめで若手政治家が殺されると、陰口を言うも本人を前にして黙る。
友人であるリドワンがペンコールの支配下にいても、政治家としての付き合いを忘れない。
最後は国を支配しようとしたペンコールの指示を受けた孤児の仲間によって殺された。
・アワン(演:ファリス・ファジャル)
代表作に『Satria Heroes: Revenge of the Darkness』、『Wiro Sableng 212』などがあります。
浮浪者の少年。イジメっ子軍団にリンチされていた幼いサンチャカを格闘術で助け出した。
以前は金持ちの養子として暮らしていたが、虐待を受けていた事から逃げ出し自由になった。
そのせいで誰よりも金持ちの人間を嫌っていて、全員が悪人としてサンチャカに教えていた。
年に一度南東部へ向かう列車に乗って、安全な地域で暮らそうと考えてサンチャカに話した。
最後はなぜかギリギリになって列車に乗り込み、サンチャカが乗れず言葉だけを残し去った。
・ペンコール(演:ブロント・パララエ)
代表作に『それぞれの正義』、『悪魔の奴隷』があります。
悪役。悪評高い児童養護施設で育ち、同じ孤児たちを鍛え上げてマフィアのボスとして君臨する。
児童養護施設では子供たちを束ね、大人たちを殺すように仕向けて権力を握る事に成功した。
成人した後も児童養護施設出身の者が忠誠を誓い、指示一つで全員が動く権力者となった。
腐敗した国を手に入れようと米を汚染させ、妊婦たちの子供を支配下に置く薬を用意した。
最後はグンダラに計画を阻止されリドワンに撃たれ、死ぬ間際に黒幕の存在を話し絶命した。
感想
[個人的な評価]
本作は『第44回トロント国際映画祭』のミッドナイト・マッドネス部門にて上映されています。
この作品はインドネシアのコミックヒーローが原作で、どうやら「ブンミラゲット・シネマティック・ユニバース」の第1弾となります。
原作を抱えている「ブンミラゲット」は1954年に設立し、それ以降は1,100以上のキャラクターがいるらしい。
つまり、アメリカン・コミックスでの二大巨頭である「マーベル」や「DCコミックス」のような歴史を持っています。
満を持して今回は「ブンミラゲット・シネマティック・ユニバース」を展開させ、本作はその第一作目として製作されました。
インドネシアでは絶大な人気を誇っているかもしれないが、残念ながら日本や世界にとってほぼ無名と言ってもいいだろう。
なので、本作は自分たちが抱えているスーパーヒーローや世界観を紹介する作品となったが、正直言って失敗すると思っています。
あの「DCコミックス」が「DCエクステンデッド・ユニバース」を始動させたが、結局は失敗して現在は単独作品に切り替えています。
更に同じユニバースの概念では古典ホラーをリメイクした「ダーク・ユニバース」も予想以上にコケて、こちらも単独作品に路線変更している。
この「ブンミラゲット・シネマティック・ユニバース」は8作も製作する予定だが、本作の出来から考えるとムリだと思います。
世界的なアメコミという映画ジャンルが大成功を収めたが、これは緻密な計算と観ている側を意識した作品作りが根底にあるからです。
しかし、本作は完全に製作側だけのワガママだけで作っていて、初めて知る観客をほとんど意識していません。
豊富なキャラクターを出したい気持ち、次回作へ繋げる気持ちは分かるが、まずはファンを獲得するような作品にしないといけません。
残念ながら本作には製作側の過剰な自意識が見えてしまい、よく言えば丁寧な作りだが、悪く言えば独りよがりな内容になっていました。
主人公の幼少期だけで30分も使い、スーツを着るまで1時間もかかるので、観ている側としては退屈で仕方ありません。
製作側と観客の温度差が明確に出てしまい、興味を持つ前に退屈さの方が強くなり、これで残り7作を続けるのは非現実だと感じました。
まずは単独の作品で引き込まないといけないが、続編を意識しすぎたせいで本作が単なる序章にしかならなかったのは痛いです。
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