作品データ
あらすじ
パリでまったく絵が売れず苦闘するフィンセント・ファン・ゴッホは、出会ったばかりのゴーギャンの言葉を信じて南仏アルルへ向かう。
ゴーギャンの合流を待ちわびながら、精力的に創作活動に励むゴッホだったが、地元の人々とのトラブルを何度か引き起こしていた。
そんな中、ようやくゴーギャンもアルルにやって来て、共同生活を送りながら二人で絵画制作に没頭していくのだった。
登場人物&出演者
・フィンセント・ファン・ゴッホ(演:ウィレム・デフォー)
近年の出演作に『マザーレス・ブルックリン』、『トーゴー』がある。
主人公。画家。牧師の家系に生まれるが、絵の才能に気付いてひたすら量産していた。
人より自然が大好きで孤独に絵を描いているが、唯一の理解者である弟のテオを愛する。
ゴーギャンとアルルの黄色い家で共同生活するが、彼が出ようとして自分の耳を切る。
療養生活を送る中で、牧師から退所の判断をされる時に聖書の言葉を引用していた。
最後は妄想の中で何者か撃たれ、主治医のカシェと弟のテオに看取られて息を引き取る。
・テオドロス・ファン・ゴッホ(演:ルパート・フレンド)
代表作に『リバティーン』、『必殺処刑人』などがあります。
フィンセントの弟。画商。人付き合いが苦手な兄のフィンセントを唯一理解している。
誰よりも兄が持つ絵の才能を認めているが、一枚も売れなくても彼の生活を援助した。
田舎でトラブルに遭って入院した兄の為に遠くから来て、不安だった彼を安心させた。
療養生活から退所した兄をパリに出迎えるが、田舎に行きたいという希望を聞いた。
最後は何者かに撃たれた兄の元にやって来て、息を引き取るのを看取って葬式を挙げた。
・牧師(演:マッツ・ミケルセン)
近年の出演作に『ポーラー/狙われた暗殺者』、『残された者/北の極地』などがあります。
療養生活を送っていたフィンセントの元に来た。彼の話しから退所を決める判断を任される。
ゴッホが画家で彼の描いた絵を見て、不愉快だと正直に否定して言動を見ていた。
最後はゴッホが語る独自の聖書に対する持論を聞き、問題ないと判断して退所を許可。
・ポール・ガシェ医師(演:マチュー・アマルリック)
代表作に『007/慰めの報酬』、『グランド・プダペスト・ホテル』などがあります。
療養生活を終えたゴッホの主治医を務める。良き友人として彼と上手く接していた。
肖像画を描いてもらうぐらいに仲が良くなり、様々な症状に苦しむゴッホを診ていた。
最後はゴッホが何者かに撃たれ治療するが、治る見込みがなくテオと最期を看取った。
・マダム・ジヌー(演:エマニュエル・セニエ)
代表作に『フランティック』、『赤い航路』などがあります。
カフェを経営する。常連客だったゴッホが家を探していて、黄色い家を彼に貸した。
シェークスピアを読んでいた彼の為に、メモ帳代わりの何も書いていない帳簿を渡した。
当初はゴッホに快く接していたが、あまりにも不潔で家賃の支払いが遅れ仲が悪くなる。
ゴーギャンから肖像画を描くと言われて快く引き受けるが、ゴッホには描かせなかった。
最後はゴッホがもらった帳簿を返され保管していたが、そこに彼の作品が書かれていた。
・ポール・ゴーギャン(演:オスカー・アイザック)
近年の出演作に『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』などがあります。
画家。パリで討論される芸術に辟易し、どこか絵の技術がない島に行こうと考えていた。
芸術論についてゴッホと意気投合し、田舎へ行く彼から共同生活に誘われていた。
ついにゴッホとの共同生活を送っていくが、芸術の方向性の違いから仲違いしてしまう。
パリに戻ろうとするところでゴッホが発狂し、自分の耳を切った事から距離を置いた。
最後は二度とゴッホと会う事はなかったが、手紙でのやり取りは地味に続けていた。
感想
[個人的な評価]
本作は『第75回ヴェネツィア国際映画祭』と『ニューヨーク映画祭』にて上映されました。
世界的に有名な画家であるフィンセント・ファン・ゴッホの半生を描いた作品となります。
残念ながら美術に関して興味がないので、ゴッホはせいぜい『ひまわり』や『自画像』ぐらいでどんな人かよく分からない。
そこで登場するのがゴッホの半生を描いた本作であり、彼についてあまり知らない人間にはいい勉強となります。
やはり、画家らしく、人付き合いが苦手で唯一の理解者が弟のテオで彼からの資金援助で生活ができていた。
ゴッホは生きていた時に絵は一枚しか売れておらず、死ぬまでずっと貧乏で弟の援助で生活していたというのです。
イメージとしてゴッホを演じたウィレム・デフォーのハマリ役と言ってもいいが、あくまで伝記映画なのでストーリーは平坦すぎる。
伝記映画は描かれる人物について分かるのはいいけど、あった出来事を時系列に並べているのが精いっぱいのイメージが強い。
本作でもゴッホが死ぬまでの出来事を淡々と見せているだけで、ドラマに関してはほとんど描かれていません。
ゴッホの内面をあまり描かない代わりとして、映像の方で彼の見ている世界を再現しようという演出が施されています。
ただ、この演出はカメラの手ブレ以上の画面酔いしてしまい、ある意味、ゴッホが患っていた症状を追体験できるような仕上がりになっている。
あとはゴッホ最大の特徴である「黄色」を意識した彼の視覚も再現されているが、これはなかなか面白いと思いました。
画面酔いする演出はあまり良くないが、映像を黄色にして彼が主張する正しい世界が絵に投影される意味が分かる。
ウィレム・デフォーの熱演は良かったけど、演出はハマっておらず、ストーリーも彼の人生を知っていれば新鮮味はないと感じました。
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